METライブビューイングの前に鉄オタ視察
この夜は早朝覚醒などもあったが、二度寝で目覚ましを設定していた8時手前まで意地で就寝。若干頭の重さはあるが、まあまあの目覚め。
昨日に買い込んでいたミートスパを朝食として摂ると、朝風呂で体を温める。なかなか快適。これがあってのこのホテルよ。
さて今日の予定だが、今日はコンサートでなくて映画館のはしごになる。まずはMETライブビューイングの今シーズンのラスト。モーツァルトの「魔笛」の新演出が上映される。「魔笛」に関しては今まで何度か見ているのでもう良いかとの気持ちもあったが、新演出とのことなので演出でどれだけ作品が変わるかを見るために出向くことにした。
上映は11時10分からなんだが、ホテルをやや早めに出ることにする。少し立ち寄ろうと考えたから。関空特急はるかなどは今まで新大阪から貨物線を使用して、大阪駅をパスするルートで運航されていたのだが、これらが停車できる地下ホームがJR大阪北にできたという。そこでそれを見に行ってやろうという鉄オタ的興味。
環状線ホームの西端に下に降りるエスカレーターがついている。そう言えばこの部分はかなり以前からずっと工事中だったのを思い出す。
それを降りると1階の連絡通路がある。場所的に桜橋口のさらに西に連絡通路が出来たということになる。
ここに西出口もあるが、さらに北に進むと下りのエスカレーターがある。
これが結構深く潜ることになるが、すぐに登りエスカレーターへ。どうやら大阪駅北側の道路を潜っているらしい。
道路北側に出ると、ここに北出口と地下ホームへの下りエスカレータがある。とりあえず地下ホームに降りてみると、関空特急側はホームドアがあり、久宝寺方面行き普通列車乗り場にはホームドアがない構造になっている。
地下出口にはニュースなどで話題になっていた顔認証改札がある。ただしこれって意味があるんだろうか? 当然のように私は事前登録なんてしていないので利用不可。そもそもこの改札口を利用するもの自体がほとんどいない。
北出口から出ると、左手に当たる北側はまだ工事中なのかシャッターが降りている。右手すぐにある階段から地上に上がってみると思いがけないところに出てくる。いずれはこの辺りにも商業施設ができるんだろうが、現在はまだ工事中ばかりのエリア内に孤立した状態。である。
今回の地下ホーム建設は、大阪の貨物駅跡の再開発に連動した工事なのだろう。これで関空から大阪キタに直行できることになるが、再開発でさらなる集客力アップを目指すキタの振興策だろう。ただキタへの一極集中化振興策でもあり、今でも地盤沈下気味のミナミのさらなる地盤沈下につながる気もする。
これで大阪駅の視察は終了したので大阪ステーションシティシネマに向かうことにする。ただあまりに早く出過ぎたようである。結局は劇場で1時間ほどつぶす必要に迫られることに。しかも昔は座れる椅子があったはずなんだが、混雑するためか完全に撤去されていて立ちんぼ。上映開始前に疲れる羽目に。
ようやく上映時間だが、ゾロゾロと大勢が入っていくことに驚く。100席ぐらいある劇場が8割以上ぐらい入っている様子。モーツァルト人気か、三連休の日曜だからか、大阪ステーションシティシネマの場所柄か。いつもガラガラのキノシネマ神戸国際とはかなりの違いである。もっともキノシネマでも前回の「ドン・ジョヴァンニ」は今までの作品に比べて入りが多かった(と言っても20人ぐらいだが)から、やはりモーツァルト人気はあるんだろう。そう言えばここの劇場では先週、ロイヤルオペラハウスの「フィガロの結婚」の上映もあったはずなんだが、それはどのぐらい入ったんだろう?
METライブビューイング モーツァルト「魔笛」
指揮:ナタリー・シュトゥッツマン
演出:サイモン・マクバーニー
出演:エリン・モーリー、ローレンス・ブラウンリー、トーマス・オーリマンス、キャスリン・ルイック、スティーヴン・ミリング
モーツァルトの有名な人気の大衆向けオペラであるが、今回の上映では新演出になっているのが特徴である。マクバーニーによる演出は現代翻案的なものだが、単純に時代を変えているだけでなく、オケまでが舞台と一体になった演出になっており、さらには出演者がオケピから場内までを走り回るという賑やかな演出である。
とにかく演出の斬新さが目立つ。METオケのフルート主席にタミーノから魔笛が渡されたりなど、オケまで演技に巻き込んでいる。またパパゲーノのオーリマンスが客席にまで入り込んだのは、事前からの仕込みなのかそれともアドリブなのかと首をかしげてしまったり。とにかく斬新というか、非常に楽しい演出である。ノリとしては子供の頃にステージで見た記憶のある児童向けの演劇に近いものがある。
もっともこの斬新な演出は、出演者が走り回ることになるので歌手たちの負担は半端ない。それだけにそこのところは実力者を配している。なおタミーノが黒人というのは、今どきのポリコレを意識したわけでもないと思うがかなり斬新。もっとも起用されたブラウンリーは非常に透明な美しい声であり、パミーナが一目で惹かれてしまう美男子タミーノのイメージにふさわしいものである(見た目が腹の出た中年のオッサンというのはご愛敬だが)。モーリーは悩める美少女パミーナを好演しているし、オーリマンスによる狂言回しのパパゲーノはまさに神出鬼没の縦横無尽である。
ザラストロのミリングが渋い存在感を示していたが、やはり特筆すべきは夜の女王のルイックだろう。演出でオドロオドロシさが増している本作の夜の女王を圧倒的な存在感で演じきった。また有名なアクロバチックな歌唱も激しい演技をしながら難なくこなしており、カーテンコールでは全員がスタンディングオベーションであり、主役陣に勝るのではないかというほどの大喝采を浴びていたが、それも納得である。なおこの夜の女王、通常はザラストロの力で駆逐されてそれっきりというのが普通だが、本演出ではザラストロによって救済されて、パミーナとタミーノの結婚に立ち会っているのはなかなか斬新。
モーツァルトの大衆向けオペラということから、そもそもかなり楽しい仕掛けを用意していたのではという考えからの演出というが、確かにこうして見せられると納得させられるものがある。まああの世のモーツァルトが見ても「オイオイ、それはない」という反応はしないだろうと私も思う。
君たちはどう生きるか
上映が終わると直ちに劇場を後にして移動する。次はイオンシネマシアタス心斎橋で「君たちはどう生きるか」を見ることにする。もっとも単にこの映画を見るだけなら、そのまま大阪ステーションシティシネマで続けて見たら楽なんだが、わざわざイオンシネマに移動するのは、イオンのミリオンカード特典でイオンシネマの映画は1000円で鑑賞できるから。もっとも移動時間が40分ほどなので結構ドタバタした移動になるが、まあ地下鉄で3駅なのでそう時間はかからない。
心斎橋パルコの12階に劇場はある。シネコン形式だが、1つ1つのシアターは定員70人程度で決して大きくはない都市型シアターである。
なお本作は「事前に先入観を持たずに作品を鑑賞してほしい」という意図から、積極的な宣伝を行わず、作品の内容に関する情報は驚くほど出ていない(タイトルはかつて話題になった書物からとったらしいが、宮崎駿作品の常でそれが原作ではないという情報ぐらい)。それどころかパンフレットも上映期間が終了してから発売という徹底ぶり。そういうわけなので、私はこの作品の詳細レポートを「白鷺館アニメ棟」の方に掲載するが、どうしてもその内容はネタバレを含むことにならざるをえないので、製作者の意思を尊重して事前に先入観を持たないために、そちらに目を通すのは自身が作品を見られてからにしていただきたいところである。
なおあまりに宣伝がないものだから、私でさえこの作品のことを知ったのはほんの4、5日前で、慌ててスケジュールの見直しをしてチケットの手配をしたのである。通常はこんなやり方をしたら劇場がガラガラになる危険があるのだが、この劇場の案内を見る限り、今日の最終上映まですべて満席になっている。この辺りはさすがに宮崎駿のネームバリューか。私は早めにチケットを手配してたのだが、そうでないと危なかった。
久しぶりに新世界で串カツ
映画を終えるとホテルに戻ることにする。夕食をここで摂ることも頭をよぎったが、確か以前に来た時(確か「ガラスの孤城」を見にここに来たことがある)に、上の飲食店は高いところばかりだった記憶があるので、さっさとホームグランドの新今宮に戻ってしまう。
さて夕食だが、最初は「らいらいけん」を考えたのだが、日曜は休業のようである。そう言えば今日は土曜でなくて日曜だった・・・。「南自由軒」は昨日行っているし、新世界まで足を延ばすことにする。
例によって「八重勝」と「てんぐ」の前は大行列である。最近は「大興寿司」にまで行列ができるようになっているから、じゃんじゃん横丁の混雑が半端でない。そこを何とか通り抜けると、たまたま「串カツだるまジャンジャン店」に行列がなかったことから入店することにする。なおこれは完全にタイミングのものであり、私の入店後にはすぐに行列が出来ていた。
入ってしまったものの、最近は胃の調子が良くないことからあまり串カツでガッツリという気になりにくいのも本音。とりあえずコーラーを頼んでからメニューとにらめっこ。それにしても以前よりも明らかに価格が上がっている。しかもフードロス対策を大義名分にして、キャベツまで有料化されている。こんなところまでアホノミクスの悪影響が・・・。とりあえず10本ほど頼む。
まあ味は相変わらずで、揚げ油が意外にあっさりしているから、10本程度だったら胸がむかつくということはない。もっとも価格が上がっただけでなく、明らかに小さくなったと感じられる串もあり、何となく暗澹たる気持ちになる。この程度で支払いは2000円ちかくなので、もはや串カツも庶民には遠いぜいたくなものになりつつある。正直なところ、同じ2000円程度を払うなら、「グリル梵」のビーフカツの方が満足感は高いかな。
串カツ10本だと本音として腹が中途半端なので、久しぶりに隣のうどん屋「松屋」で「かけうどん(170円)」を頂いていくことにする。私の来店時には外国人らが待っていたが、立ち食いうどんで回転が早いのですぐに空きが出る。あまり腰のしっかりしていないなんてことないうどんだが、これこそが大阪うどんでもある。そして最大のポイントはこれで170円という驚異のCPの高さである。やはり本来の大阪グルメというのはCPの高さがあってこそである。なお観光客に人気はきつねうどんの模様。
夕食を終えると、コンビニに立ち寄って夜食とライフライン(ミネラル麦茶)、明日の朝食を購入して戻ってくる。
大河は相変わらずのようで・・・
ホテルに戻るとまずは冷房をガンガン回して体から熱気を抜いてから入浴。風呂上がりにテレビを付けたら大河をやっていたので久しぶりに少し見てみたが・・・相変わらずあまりに酷すぎて絶句。どうも家康が本能寺の変を起こしそうな勢いである。しかも理由は「妻子の恨み」。前回、あり得ない築山殿の最期を描いて、歴史ファンから総スカンを食らったと聞いているが、どうもひたすらファンタジー大河の道を驀進しているようである。私はこの作品は、あまりにあり得ないホームドラマな内容と、Vサインして「ラブ&ピース」って言いそうな酷すぎる一向宗の描写に呆れて落ちたんだが、そもそもその前から「出来ることなら歴史を捏造したい」という意志は明確に見えていた(本多忠勝をいきなり死んだことにしようとしたり)。確かに結果が分かっている歴史物は事実を無視したくなるのは分からないではないが、それをやりたいなら最初から大河なんて手がけるなと言いたいところ。ファンタジー大河の馬鹿ップリも極まれりである。
マヌケ大河で思い切り脱力してしまったが、まだ就寝するには早いので、今日の原稿に取りかかる。そしてこの夜はふけていくのである。
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