徒然草枕

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「青天を衝け」総括と「鎌倉殿の13人」

 新大河が始まりましたが、それについてのコメントを書く前に、まずは昨年の「青天を衝け」の総括から。

 

 

主人公アゲが無理矢理過ぎて見ていてしんどくなった

 「青天を衝け」については年末になってから完全にここで触れなくなりましたが、それは見るのをやめたのでなく、単にコメント書くのが面倒臭くなったからです。というのも、自分的に作品に興味が失せてきたのと、色々な面(主に本業の件だが)が年末進行で多忙になってきたところで、この作品見るのも録画したのを後でというパターンになってきて、二週間遅れとかの寝ぼけた時期にコメント出してもな・・・なんて思っている内に面倒臭くなってきました(まあ、私の大河に対するコメントを期待して待ってる人なんていないだろうし)。

 もっとも見てはいたものの、ドラマ自体からかなり心が離れたのも事実です。そもそも大河に付き物の強引な主人公アゲに辟易してましたが、決定的にドン引きしたのは千代の死に纏わる感動的な悲劇。もう見ていて「ああ、これって何も知らずにドラマを純粋に見ている人は「栄一さん可哀想」って涙流して感動してるだろうな」と思った途端に気持ちがスーッと引きました。実際はというと渋沢栄一はあちこちで女を作って隠し子の数は把握できないほどという外道です。ドラマでは、妻を亡くして落ち込んでいる栄一を心配した回りが後妻を斡旋したというような描き方をしてましたが、実際は妻が亡くなると妻妾同居で愛人がいたにも関わらず後妻をさっさと迎えたという男です。また途中で愛人のおくにについて「新しい人生を歩むために渋沢家を出ることになった」なんて誤魔化してましたが、実際は知人に押し付けたというのが事実。多分妻がお千代の時は、お千代が心が広い(というよりも気が弱かったのだろう)ために妻妾同居をしてましたが、後妻の兼子は没落したとはいえ大商人の娘でプライドが高かった(そのことはドラマでもチラッと描いてますが)ために、流石に妻妾同居という外道な状態は継続できなくなったのだろうということが想像できる。

 

 

 息子が家を出た経緯にしても、ドラマでは「偉大な父親の後を継ぐというプレッシャーに耐えかねた」というような描き方でしたが、実際のところは、まず彼が父親の遊び人的部分を濃厚に引いていたということもありますが、口では立派なことを常に唱えているが実生活がそれとズレまくっていた父親に対する反発というのがあったのは間違いないです。なんかその辺りを綺麗に丸めてホームドラマにしてしまっていた辺りは「嘘くさ」と感じてしまった次第。

 また渋沢栄一を正義の人として描くために、岩崎弥太郎が悪の権化のような扱いになってしまったが、実際は両人は「全く同類」で、この二人が対立したのは同族嫌悪のようなところがある。岩崎弥太郎が大隈重信と癒着した悪徳商人のようにされていたが、実際ところは渋沢栄一も政府と結びついた政商であって立場は変わらない。

 なお渋沢栄一が貧民救済に政府の支援を求めた時に「貧困は自己責任だ」「貧民救済などしたら怠惰になって働かなくなる」なんて意見を出して反対していた連中がいたが、「こいつら日本維新の会か?」ってツッコミ入れながら見ていたら、確かによくよく考えたらこいつらはそもそも維新政府だったというのは自分で笑ってしまったが。これが制作者からの暗喩だったら立派なものだが、まあそこまでは考えてはいないとは思う。もっとも渋沢栄一が晩年にアメリカを訪問する下りで、列車の中で給仕の金髪のお姉ちゃんに対して、なぜか栄一が一瞬「獲物を狩る獣の目」になっていたのだが、なんとくなく制作スタッフの中にも思うところがある者がいるのではという気はした。

 というわけで、とにかく渋沢栄一を無理矢理に立派な人と描くための無茶ぶりが目につきだして、見ていてしんどくなったというのが本音です。

 

 

三谷幸喜の限界がいきなり濃厚に現れた新大河

 さて話変わって新大河の「鎌倉殿の13人」ですが・・・三谷幸喜と聞いたときに感じていた嫌な予感がことごとく的中したというのが本音です。

 まず基本的に時代劇になっていないのは言うまでもないこと。「そっちか!」なんてツッコミなんて時代劇ではあり得ないが、まあこれは三谷幸喜の作風から予測は付いたことなので驚きはしない。元々NHKも三谷幸喜を起用した時点でまともな時代劇を作るつもりなんてないのは分かる(その割には重厚なOPが浮きまくってるんだが)。

 しかし基本的に「変わった連中のドタバタドラマしか描けない」という三谷幸喜の限界がもろにドラマ全体に現れた結果、馬鹿にしか見えない北条時政、主体性もなくオロオロしているだけの北条義時、真面目に物事を考えているとは思えない源頼朝、いきなり頼朝を誘惑しようと露骨に接近を図る現代娘の北条政子と、時代劇以前に登場人物が歴史を無視しての現代コメディの配置になってしまっており、いわゆる「カツラを被った吉本新喜劇」と言った趣。こういうのが好きな者もいるだろうが、本来の大河ドラマファンからは間違いなく顰蹙ものだろう。

 そしてなぜ起用したか分からない長澤まさみの極めて聞き取りにくいナレーションに、話題作りで起用したと思われるガッキーの棒演技。長澤まさみについては「作りすぎた」結果としてボソボソ喋りになってしまって滑舌の悪さが際立ってしまっているし、ガッキーの方は時代劇を半端に意識したのか、棒っぷりに拍車がかかってしまっている印象。

 元々三谷幸喜は大河ドラマ向きではないのだが、それをわざわざ起用したというのは「真田丸」はNHK的には成功作と考えているんだろうなということ。私にしたら、真田幸村というネタだけで視聴率を確実に取れる切り札を持ってきてあの程度のものしか作れなかった(私は内容のあまりにひどさに10話になる前に落ちた)のは大失敗と見ているのだが、その辺りの認識のズレがあるようだ。

 というわけで私の評価は「かなりひどいものを予想はしていたが、その予想さえをも下回ってきた」というもの。「麒麟がくる」で久しぶりに大河ドラマに戻ってきたのだが、この内容だと最短で次回には落ちそう。

 

 

青天を衝け 第34話「栄一と伝説の商人」

栄一とラスボス岩崎弥太郎

 相変わらずドタバタの明治政府。大久保がナレ死したせいで大隈に責任がやってきて、例によって異常に器量の小さい大隈はドタバタ。大隈と癒着している岩崎弥太郎だけはウハウハという状況に陥っている。

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 一方の栄一は「東京商工会議所」を設置。財界の連絡機関のようなものです。その一方で孤児院の方にも力を入れているようですが、こちらにはお千代が関与する模様。それにしても栄一は女関係でお千代に心労をかけてるのに、何だかんだでお千代に負担かけすぎです。そのせいか、お千代は若くして亡くなってしまいます。その後に栄一が後妻にしたのが途中でチョロッと出てきた大島優子・・・でなくて伊藤兼子です。栄一は既に妻妾同居の愛人がいたくせに、別に後妻を連れてくるというわけで、このド外道ぶりには身内からも結構非難はあったとか。

 そうこうしている内に岩崎弥太郎の方から栄一に接触を図ってくる。栄一は財界の大者である弥太郎を仲間に引き入れようと宴席に出向いていくが、「ガッポンガッポン」と呪文のように唱える栄一と、要は俺様一番で儲かれば良いんだという弥太郎では意見が合わずにケンカ別れ。まあ思想の違いという奴です。どうも民主主義的思想の強い栄一と、えげつないまでの儲け主義の弥太郎は理念が違いすぎて栄一がぶち切れたという描き方ですが、これについては多分に主人公アゲが入っているので、栄一を美化しすぎというところもあるでしょう。実際のところは、お互いにあまりにド外道ぶりが共通していて(弥太郎も女癖が悪かったことは伝説として残っている)、それが反発したって辺りが本当だったかも。とにかくここれで二人は完全に決別して、その後も何かと対立することが多くなるようです。

 

 

不平等条約改正ももしかして栄一の手柄にされるの?

 というわけで今回の肝は「ラスボス岩崎弥太郎に対して正面から宣戦布告」ってところでしょう。それと「ド外道栄一の将来の嫁登場」ということで、そろそろお千代に死亡フラグが立ってきてます。

 で、次回に向けては日本の課題となっている不平等条約改正に向けて、来日する元大統領を派手に接待して日本の先進国ぶりをアピールしましょう作戦・・・なんかしょうもないな。実際はこの後さらに、鹿鳴館やら何やらのドタバタ喜劇があって、条約改正はかなり先になります。なんせ日本はまだ憲法もなければ議会も開設されていないという未開国なので、欧米列強からはまだまともに相手にされてません。この後、陸奥宗光や小村寿太郎の活躍となるのですが、彼らは栄一とは直接絡んでませんからまたナレ条約改正なんだろうな。で、栄一の活躍が条約改正に結びついたような強引な主人公アゲをするというところか。

 

 

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青天を衝け 第33話「論語と算盤」

銀行生き残りのためにあっさりと小野組を見捨てる栄一

 前回、渋沢のテーマの内のソロバンの方が登場しましたので、今回は論語が登場です。まあ経済も理念が必要という話で。そう言えば論語って男女関係に節度が必要というような類いの事は言ってなかったよな、多分。

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 岩崎弥太郎と「従順でない商人にはお灸をすえる」という類いの密談でウハウハしていた大隈ですが、渋沢に怒鳴り込まれると「ワシの一存で決めたことではない」と逃げ回る。相変わらず滅茶苦茶器量の小さい大隈である。で、栄一は小野組の資産が政府に巻き上げられる前に国立銀行が差し押さえてしまう。小野組を切り捨てて銀行を助ける冷血栄一。

 しかしそうやって生き延びさせた銀行を、今度は三井が乗っ取ろうとしてくる。それなら「国に裁定してもらおう」と言い出す栄一。どうやら裏で大隈で圧力かけまくったんだろうが、結局は三井は退けられて栄一が自ら頭取となって経営を差配することに。銀行の黒幕からもろに陣頭に立つことになったようですが、実際のところ栄一の立場がそう大きく変わったようにも見えん。

 

 

そして死亡フラグ立ちまくりの大久保

 その頃、大久保は五代と碁を打ちながら「あんたは弱みを見せないから味方が少ないんだ」と諭される。どうやら五代は大久保に死亡フラグを立てに来たようである。そうしている内に蚕卵紙の大暴落の問題が。外国商人が示し合わせて買い渋りをすることによって価格暴落に持ち込んだらしい。まあよくある方法です。これに対して打つ手を持たない政府は「渋沢にでも頼むしかない」という結論になるが、「もうあいつには絶対に頭を下げたくない」とへそを曲げて逃げたす大隈に、大久保は自ら交渉に当たるしかないと腹を括る。

 そして大久保に呼び出されて敵意を隠し切れていない栄一に対して、大久保は「自分は経済のことは全く分からんから国のために味方になって欲しい」と懇願する。五代の助言に従って自らの弱みをさらけ出したということです。これを見ている視聴者は「ああ、とうとう大久保の死亡フラグが完成したな」と感じるシーン。もっと完璧に死亡フラグを完成させるつもりなら、ここで大久保に「ワシは今の一連の騒動が終息したら、政府から引退して故郷で妻と静かに暮らそうとでも考えている」とでも言わせれば完璧でしたが、さすがにそこまで歴史捏造は出来ないでしょう(笑)。

 

 

そして10年越しの横濱焼き討ちに明治の元勲の相次ぐ軽い死

 これを受けて栄一が実行したのが横濱焼き討ち(笑)。市場でだぶついている蚕卵紙を政府の金で買い占めて燃やしてしまえという乱暴な方法。しかし実際に、この頃はヨーロッパではカイコガ伝染病で壊滅しており、日本からの蚕卵紙がこなくなったら向かうの絹織物が壊滅する状況でしたから、我慢比べになったら勝算があるという読みは栄一にはあってのことでしょう。10年越しの横濱焼き討ちだと盛り上がっている喜作に惇忠。大々的に横浜でキャンプファイヤーを行って、その様は新聞で報道、これは間違いなくヨーロッパの商人に強烈なインパクトを与えたはず。そしてそのキャンプファイヤーを眺めながら先立っていった同志や兄弟達に思いを馳せる喜作。

 この後はなかなかにして怒濤の展開。まずは西郷がナレ死どころか、ナレさえない「活字死」。西南戦争については栄一は「馬鹿らしい」の一言。確かに戦費を無駄遣いしただけで、日本としては全く得ることのなかった内戦であった。しかし一方で戦争に乗じてウハウハなのが政商・岩崎弥太郎。まあこういう風に戦争ってごく一部には非常に儲かるので、今の日本でも憲法変えてまでやりたがる連中がいるのだが。

 そして「大隈にも大久保にも取り入っているから、これからさらにウハウハ」と思っていた岩崎の元に弟が駆け込んできて「大久保様が不平士族に滅多刺しにされて殺された」という報。というわけで大久保の方は「台詞死」です。明治の重要人物に対して朝倉義景よりも軽い死にしてしまうのは流石に大河。まあナレ維新で済ませたぐらいですからね。主人公に関係なかったらどうでも良いってことです・・・ああ、そう言えばその前に三井の番頭も死んでたっけ。

 

 

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青天を衝け 第32話「栄一、銀行を作る」

栄一、大蔵省を去る

 不満が鬱積しておりましたが、栄一が大蔵省を去ることを決めたと思えば、栄一の前に上司の井上馨の方が先に大隈にぶち切れて辞表を提出してしまいました。後を託されそうになった栄一も「いえ、私も辞めるつもりなんで」とさっさと辞表を提出。結局は二人揃って政府を去りますが、その後に連名で新聞に新政府のダメっぷりを投稿するというおまけ付き。これには下品な大隈重信が怒り心頭。これが後の展開の伏線になるようです。

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 そこにイタリアから喜作が帰国。さっさと役人を辞めてしまった栄一に対して「お前、毎度毎度転身が早すぎ」と半ば呆れている喜作ですが、彼自身も大蔵省を辞めて生糸を扱う商売を手がけるとのこと。どうも尾高の面々はお蚕様から離れられないようです。

 

 

銀行の経営の方に専心する栄一だが

 栄一が大蔵省を辞めたと聞いたら、早速三井の番頭が栄一を取り込みにかかる。しかし栄一は元より三井に入るつもりなどないのでそれを拒絶。すると手のひら返しをして「それでは敵と言うことで」とすごむ番頭。全く海千山千の商売人は侮れない。だけど栄一しては、現時点では三井に入るつもりはないが、正面から敵対するつもりもないはず。そもそも栄一がこれから手がけていく国立銀行は小野組と三井が出資しているわけだし、ここで三井が手を引いたら経営が成り立たないはず・・・というその辺りはどことなく有耶無耶です。

 とりあえず民間人として銀行の経営に邁進している栄一は、西洋式の簿記を取り入れて銀行システムを近代的なものにしようとしています。ただしソロバンは残したと。「論語と算盤」の一方ですから重要でしょう。欧米人は日本人を未開人として馬鹿にしているところがあるので、ソロバンが日本の知恵ということを知らないようであるが、筆算とソロバンが勝負したら最初から結果は明らか。まあ実際に日本人の指導に当たった外国人の中には日本人の識字率の高さと数学力の高さには舌を巻いた者も少なくないという。江戸時代の実用教育のシステムはかなり有効に機能していたらしい。

 で、親父様が既になくなっているので、やはりそろそろということで、今度は母親が亡くなりました。どうも栄一が明らかにタチの悪い病気を発症し始めていることから、そのこととお千代のことを懸念しながらのご臨終です。しかしこの後も栄一は散々なことをお千代にするのは歴史に残っていますが、そう言ったところはNHKとしては深入りは避けるだろうな。

 

 

満を持して大ボス・岩崎弥太郎が登場

 そして海千山千の商売人の中でも極めつけの政商三菱の頭目・岩崎弥太郎が登場。まるで大ボスめいた登場の仕方ですが、実際に最終的には渋沢栄一の一番の仇敵になります。一方の政府の方は江藤新平が佐賀の乱を起こしたり、西郷も政府から離反して西南戦争前夜という状況に帰国した大久保が大隈と陰険会議中。そこに大隈に取り入った岩崎弥太郎の影が。「岩崎が協力してくれるようだから、小野組と三井はつぶしてしまえば」という方向に話が進んでいる模様。そうなると国立銀行も影響必至なので栄一は大わらわですが、実際にこれで小野組はつぶされるようです。

 いよいよ栄一財界人編に突入で、経営者としての活躍がクローズアップされてきましたが、残り話数もそんなにないのでかなりドタバタとした展開となっています。それにしても敵味方の去就が定まらなくてフワフワした感のある新政府の面々に対して、岩崎弥太郎は結果として渋沢栄一の一番の敵となるので、不動の悪役という印象で登場。そのために目下のところ一番存在感があることになっている。もっとも実際には別に岩崎弥太郎が悪党というわけではなく、渋沢栄一とは経営哲学が違っていたこともあり、結果としてはビジネス的に火花を散らすことになるというだけなんですが。しかし大河的に主人公アゲを徹底したら、岩崎弥太郎を落とさざるを得なくなるんだろう。もっとも落としすぎるといろいろと問題が生じるので、それをどの辺りまでにするのかが政治的なさじ加減という奴である。その辺りは今後見えてくるだろう。それにしてもやはり明治ぐらいのネタは現代と近すぎるせいで、そういう政治的配慮が不可欠になるので大変である(長州閥の新政府をあまりに落としすぎても、その長州閥の末裔である大者政治家が文句を言うのが見えてるし)。

 

 

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青天を衝け 第31話「栄一、最後の変身」

栄一は外道な本領発揮、そして見事に転身する成一郞改め喜作

 さて前回の流れで、いきなり妻妾同居なんて外道なことをしてしまう栄一。渋沢栄一の本領発揮ですな。番組では千代が相手を気遣って言い出したことのようにしてますが、実際は無理やり押しきったんでしょう。千代が大きな溜息をつくシーンがありましたが、実際にはこんなもので終わりません。何しろ彼は「無類の女好き」として歴史にも残ってますから、「明治のドンファン?」。ダメだ、これだと最後は女に毒を盛られて殺される。

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 そして成一郞は天下晴れておつとめ終了で娑婆に出て来ました。まあ殊更に何かをしたというわけでなく、多分裏で栄一もいろいろ動いていたでしょうから。やはり同志が目の前で次々と犠牲になっていく様を目の当たりにしてきた成一郞は、いろいろと思うところはあるはずですが、とりあえず気持ちを切り替えて新時代に適応することにしたようです。何だかんだで栄一のコネで大蔵省にまで入ってます。イタリアに留学するとか。まあその方が箔がつくでしょう。ムショ帰りが箔になる世界とは違うので。それにしてもイタリアってのが唐突な印象があったが、イタリアで何を学ぶのかという辺りが少しは気になった。イタリアは手工業的なものが多いから、そういうところだろうか。当時の日本の工業レベルだと、イギリスよりも実はイタリアぐらいのレベルの方が近いはずだから。

 で、成一郞も栄一に倣って、喜作に戻ったようだが。いや、あんたはやっぱり成一郞の方が良いのでは。喜作ではやっぱりどこかの百姓ネームだ。歴史の記録を見ても正式には渋沢成一郞の名の方が残ってるようだし。

 

 

馬鹿兄貴こと尾高惇忠はしっかり経営者になってるし

 一方、成一郞よりも先に時代に対応した馬鹿兄貴こと尾高惇忠は、栄一のコネで富岡製糸場の責任者にしっかりと収まって、キチンと仕事をしております。どうしても異人が絡んだ施設となると良からぬ噂が立つから(当時は異人は人の生肝を食うなんて噂まであったぐらいですから)、自分の娘を動員したようです。富岡製糸場は後の日本の殖産興業の手本となる施設ですので、当時としてはかなりホワイト企業だったようです。もっとも民間の製糸場がバンバンと出てくるようになると、それらは超絶ブラック企業ばっかりで、その結果として「ああ、野麦峠」みたいな滅茶苦茶な女工哀史が起こってしまうのですが。資本主義ってのを何の規制もなく進めるとそうなるという見本で、今でも経団連なんかは労働基準法を廃止させることでそういう世の中にするのを理想にしているようです。で、その路線にもろに乗っているのが「パソナ党」こと維新と。

 それにしてもこの兄貴「攘夷だなんて言っていたが、異人も腹を割って話をしてみたら人間だった」って・・・転向早っ!! まあ大抵は敵対心なんてのは互いを知らないことから起こりますから。実際に対面してみるとこっちも人間、相手も人間です。当然ながら日本人でも外国人でも、良い奴もいるし悪い奴もいるというそれだけのこと。○○人だからまるまる善良と言うことも当然ないし、逆にまるまる悪人なんてこともあるわけがない。まあ当たり前のことにようやく気づきましたか、この馬鹿兄貴。で、この馬鹿兄貴の見事な転向っぷりに、成一郞も影響を受けた模様。

 

 

栄一に退職をフラグを立てまくりつつ、自身の死亡フラグを立てていった西郷

 その頃、栄一は銀行設立のために奔走しているが、はやり三井などの商人は利益にならないと動かない。そこでかなり強権発動したのですが、そのことを三井の番頭にネチネチと「渋沢様も所詮はお役人」と嫌みを言われます。そう言えば自分はお役人のそういう上から来る態度に一番立腹してたんだったと思いだし、一種の自己嫌悪に陥る栄一。新政府のグダグダぶりにも嫌気がさしていたし、いよいよ限界が近づいてます。

 そこに西郷が死亡フラグを立てに現れる。現実には西郷と渋沢がこんなに懇意だったという話は聞いたことがありませんが、まあ大河での主人公アゲとしては普通でしょう。ここで西郷は「自分はもう引き返せないが、お前はまだ引き返せる」という主旨で自身の死亡フラグを立てると共に渋沢の退職フラグも立ててくれます。それにしても博多華丸の西郷、意外なほどにリアリティがあるな。回りの新政府スタッフが妙に表情豊かすぎるところがあるので、その中でこのぶっきらぼうさが、逆に西郷のシラケぶりを現しているようでハマっている。これは起用の妙だな。

 で、西郷に散々フラグを立てられた栄一は、最後の最後に「俺、役人を辞める」宣言です。いよいよ栄一財界人編(別名、栄一女性遍歴編・・・にはしないだろうな、まさか大河ドラマは)が始まることに。それにしても国立銀行がほとんどナレーションだけで設立してしまったな。栄一が全く関与していない明治維新がナレーションだけで終わるのは仕方ないにしても、栄一のかなり大きな業績である銀行設立もこれって、後の話数を考えたら栄一の本来の活躍がバタバタと終わってしまいそう。やっぱり無駄に序盤に尺を食い過ぎたな。

 

 

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青天を衝け 第30話「渋沢栄一の父」

親父さんが亡くなったが、とうとう正体を現し始める栄一

 前回、栄一の親父が何やらおかしなこと始めたから、これはそろそろフラグが立ったかなと思っていたら、案の定でしたね。親父さんが亡くなりましたか。渋沢栄一の父として誇りに思うなんてことを言い残してましたが、いやいや、確かにあんたの息子さんは偉い人ですよ。そして案の定ど偉いこともしてました。

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 実は今回の話の一番のポイントが、とうとう栄一が本性を出すってところでしょうか。無類の女たらしといわれている渋沢栄一が本領を発揮しました。この番組では歴史捏造して栄一を愛妻家のように描いていましたから、どうにも唐突な印象があります。しかしくにを最初に見た時から栄一が「獲物を狩る目」になってましたからね。今回のサブタイトルは「栄一、ムラムラする」の方がピッタリ。

 

 

栄一の女性関係はどこまで描くのやら

 で、早速その夜に部屋に引き込んでしまっている。なんとまあ手の早いこと。まあ渋沢栄一ってこういう男なんですが、どうにも今までのこのドラマでの描き方と落差が激しいので、かなり戸惑う節は多いんじゃないかな。NHKとしてはあまり触れたくないのが本音でしょうが、この後で彼女を東京に連れてきて、結局は妻妾同居なんてことまでやっちゃいますから、渋沢栄一を描く以上避けて通るわけにも行かないでしょう。ちなみに後に千代は若死にして、その後で後妻にまた別の女性を連れてくるから、最低限でも栄一を取り巻く女性としてそれだけは登場させる必要があるでしょう。ちなみに現実には愛人と隠し子の数は二桁のようだが、詳細は不明とのことです。

 ところで今回のくにを演じている女性も、決して不細工ではないのにそもそも現代的な顔立ちの人ですから、ああいう格好をすると眉毛だけ目立って非常に不細工に見える。おかげで栄一があっと目を奪われるのがどうもピンとこない。千代にしても綺麗とはとても見えないし。おかげで栄一がブス専に見えてしまう。前から朝ドラなどで「美人をブスく使う」と言われることのあったNHKだが、このドラマは特に極端だな。まあ今時日本髪が似合う若手女優なんてのがいないのかもしれないが。

 

 

ブラック職場に耐え、チャッチャと廃藩置県を済ませる

 そして仕事の方は何かドタバタと廃藩置県を済ませてしまいました。井上馨の無茶ぶりに対して不眠不休の作業で対応するブラック職場物語ですが、精一杯前向きに描いております。しかしこんなことやっていたら、その内に精神がぶっ壊れる・・・そうか、ぶっ壊れて性欲に走ったって展開か?

 呆気なく廃藩置県が終わってしまいましたが、その後に出てきた画面分割の演出がどうにも安っぽくて感心しないな。今時風を出したつもりなんだろうか。タブレット持って出て来た家康といい、どことなく若者に媚びようとしてはずしているという感が強いんだな。NHKは前からそうなんだが、若者を意識すると急に内容がお馬鹿になって軽薄になるんだな。恐らくNHKが抱いている若者像というのがそういうものなんだろう。

 

 

しかし「異常に器量の小さい」大久保利通に睨まれる

 どうにかこうにか廃藩置県を実現させて出世した栄一ですが、前々から栄一のことをこころよく思っていない異常に器量の小さい大久保利通にものの見事に睨まれて、改正掛は解散させられることに。それにしても見事なほどに栄一以外の人物は超小者として描くのがこの作品だ。特に敵対する人物はボロクソ。尊皇攘夷の志士の連中はほとんどキ印ばかりだったし、新政府の面々もアホ揃いという描き方。主人公アゲは大河には付きものだが、この作品は主人公を上げるだけでなくて回りを落とすんだな。特に大久保利通は最初に登場した時から、脚本家が何か恨みがあるんだろうかというほどひどい描き方してるな。

 新政府は相変わらず中はガタガタです。西郷は愛想を尽かしかけているようだし。栄一も愛想を尽かしかけているが、まだ銀行作っていないのでしばらくは大蔵省勤めが続きます。この後の展開は西郷がとうとう挙兵して敗北、さらには大久保がテロで倒れるってとこか。そして栄一は五代から誘われていたように民間に立場を移す。もっとも五代も三井も、栄一にはどちらかといえば敵の立場になるはずだが。

 

 

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青天を衝け 第29話「栄一、改正する」

栄一が改正掛で暴れ回る

 今回は完全に「栄一、吠えまくる」です。強引に改正掛を結成させた栄一は音頭を取って日本の諸制度を構築するために奔走しております。密かに郵政の父・前島密なんかも登場してましたが、彼って一番最後の瞬間を見届ける場にはいなかったのか。それは知らなかった。それでよくまあ名前が残ったものだ。

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 もっとも栄一は幕臣の上に農民の出ということで白い目で見る輩もいた模様。しかし「仕事が出来る」というところを見せつけて無理やりに納得させてしまった。口八丁手八丁の栄一の真価の見せ所です。そもそも静岡でも「商人なんかと一緒に仕事が出来るか」といっていた幕臣連中を無理やりにコンパニーに関与させてしまった男ですから、こういうのは慣れているということのようだ。しかし静岡からも結構人材引き抜いたようなんだが、コンパニーの方は大丈夫なのか?

 そしてさらにはあの馬鹿兄貴も呼び寄せたか。あの馬鹿兄貴、社会変革をやらせたら使えない奴だったが、養蚕をやり出したら意外に有能だったという。要するに根っからの百姓か? 養蚕の専門家ということでフランスからの技師と面会させていたようだが、結局は彼はその後、富岡製糸工場の所長になるんですよね。

 

 

栄一の前に立ちはだかる陰険大久保利通(しかしどうせすぐ死ぬ)

 しかし改正掛で暴れまくっている栄一を苦々しく眺めていたののが大久保利通。新政府の中心人物ですが、バリバリの薩摩原理主義者ですから。渋沢が農民の出ということは、大久保自身も農民とレベルの変わらない下級武士の出身なので大して差はないのですが、やっぱり元幕臣に好き勝手されるのは気に入らないんでしょう。それにいきなり「このままだと新政府は倒れる」とそのものズバリの一番痛いところを突かれたし。どうも本格的に栄一に対して嫌がらせをしてくる模様。にしても、このドラマは栄一の前に立ちはだかる奴は、とことん陰険で器が小さく描くな。この大久保も新政府の功労者とは思えないほどの器量の小ささだ。

 とは言うものの、実際には大久保は栄一なんかに構っている余裕はないでしょう。この頃は西郷が薩摩に戻って不穏な情勢になってましたから。岩倉具視までが「このままだったら建武の新政の二の舞になりかねない」って言ってましたが、実際に新政府は全く回らず、世の中に不平士族が満ち満ちているわけですから、西郷が彼等を率いて上京してくるなんてことになれば、まさに建武の新政のごとく新政府は倒れて、西郷幕府の成立なんてことさえ可能性はないわけではなかったですから。もっとも西郷にはそんな気は微塵もなかったでしょうが。

 結局はこの後は新政府と西郷の戦争になります。そして盟友・西郷を殺してしまう大久保ですが、その後に彼自身もテロで倒れることになります。とにかく新政府はドタバタしてます。栄一は「銀行をどうする」と騒いでましたが、結局は銀行を作った時点で、愛想を尽かして新政府からは離脱して民間で活躍することになるはず。

 

 

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青天を衝け 第28話「篤大夫と八百万の神」

栄一、丸め込まれる

 新政府から突然に召喚を食らった栄一は「なんで幕臣の俺が新政府なんかに仕えないといけないんだ!!」と拒否。しかし静岡藩を通して拒絶すると徳川家が新政府に楯突いていると取られかねないことから、栄一が「それなら自ら出向いて自分の口で断ってくる」と意気揚々と東京に乗り込みます。

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 減らず口なら誰にも負けないと思っていた栄一だが、そこに登場したのが先週登場したド下品な大隈重信。これまたこいつが口が達者、新政府は人材不足だから協力して欲しいと栄一に切り出すが、栄一が「薩長はそんな後のことも考えずに幕府をつぶしたのか」とぶち切れると、「そんなものは俺は知らん」とのらりくらり。しかし現実は「後のことなんて考えてなかったんです」。長州の連中の大半は根っからのテロリストで、結局は幕府憎しでぶっ潰すことしか考えておらず、その後に日本をどう運営するかなんて考えている奴はほとんどいませんでした。だから実際には幕臣憎しだけで有為の人材も結構処分してしまいました(小栗とか)。しかしいざ新政府が成立すると、にっちもさっちも行かなくなって慌てて幕臣にまで声をかけているという状況。慶喜にしたら「薩長の連中で日本の運営なんて出来るわけがないから大政奉還したのに、まさかその先のことを全く考えないほど連中はバカだったとは・・・」ってのが本音でしょう。頭の良い人の限界は、世の中には残念ながらかなり馬鹿な連中もいて、しかも何かの間違いでその馬鹿が権力を握ってしまうことがあるということを理解していないことです。

 で、大隈は新政府の無茶については「俺は知らん」で、とにかくこのままだと早晩日本がひっくり返るけどそれでも良いのかと栄一に話を持ちかける。そして口説きのポイントが「新しい日本を作りたくないか」。これについてはそもそも実は幕府に不満を持っていた栄一の心をくすぐることになる。そして「八百万の神のように全国から人材を集めるしかない」と言われてついには完全に丸め込まれてしまう。さすがに大隈は口八丁です。栄一は途中からまんまと大隈のペースに嵌められてしまう。まあそもそも栄一も倒幕から幕臣になったり、攘夷から開国に変わったりなど実は信念があるようでない男ですから(根っこは商売人)。

 

 

そしてようやく「渋沢栄一復活」

 何だかんだで栄一一家は東京引っ越しになってしまいました。杉浦と抱き合いながら男の友情を誓ったりなんて奇妙なシーンもありましたが、この渋沢はやけに男にもてるんですが、本当は希代の女たらしなんです。しかしそういう辺りはさすがに大河では触れないでしょう。ここでの渋沢は妻子を大事にする男という歴史の大捏造をやってますので。隠し子が数十人で正確な数さえ分からないなんてことになりそうな雰囲気は微塵もない。

 栄一は最後に慶喜の元に挨拶に行きますが、慶喜は「お前は中央で活躍したいだろ」と例によって「非常に理解のある上司」で一貫してます。徳川のために静岡に引き籠もっているよりも、新政府の中枢で腕を振るった方が栄一のためにもなるという配慮ですが、普通は殿様が一家臣にここまで配慮しませんね。意外と慶喜も、何かあったら「なんであんなことしたんですか」と詰め寄ってくる栄一が意外とウザかったのかも(笑)。もう既に慶喜は「趣味に明け暮れて生きる」というその後の人生のあり方を言っておりましたが、実際に記録にも残っているように、この後の慶喜はマイペースで生きていくことになります。

 で、幕臣であることを捨てて、新政府に仕えることにした栄一は武士になった時にもらった「篤大夫」という名を捨てて「栄一」を名乗ることにします。こうして無事に「渋沢栄一復活」。いやー、篤大夫なんてダサい名前いつまで引っ張るんだと思ってましたが(と言うこともあって、私のこのコーナーは篤大夫って名をガン無視してましたが)、ようやくですか。一方の成一郞の方は、武士の誇り云々以前に「喜作」なんて農民丸出しの名前は使わないんでしょうね。

 そして大蔵省に乗り込んだ・・・はずの栄一がいきなりしでかしてます。大蔵省と間違えて、岩倉具視や大久保利通の前で新政府のダメっぷりにいきなり悪態つきまくってしまうというやらかし。社長を前にして「この会社の経営陣がなってないから、こんな会社は早晩倒産する」とぶちかましたようなものです。もっとも新政府のダメっぷりは客観的に見てもその通りですから、実際にはいくら岩倉が「失礼な」とぶち切れたところで、「じゃあ新政府のしっかりしたところをあげてくれ」と言われたらそれまでですが。そこらの会社だと一発でクビですが、大隈が無理やり押し込んだんだからクビにはできんでしょう。もっとも栄一は銀行作った後で、やっぱり役人は自分には合わんとさっさと辞めてしまいますが。

 

 

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青天を衝け 第27話「篤大夫、駿府で励む」

徳川家の財政のために大活躍の栄一

 栄一は民部公子の元に戻ろうと思っていたようですが、強引に引き留められる。未だにかつての尊攘派の残党が残っている水戸で民部公子に取り立てられたら、いずれは平岡円四郎と同じ運命を辿ることになり兼ねないという配慮。全く、水戸はいつまで修羅の国なんだ。水戸では栄一に振られた民部公子が「やはり栄一さんは兄の方が良いのね」・・・じゃなくて「やはり渋沢と兄のすぺしあるな関係か」と嘆いております。パリに行って以降、民部公子は常に栄一に熱烈なプロポーズを繰り返しているのだが、結局は振られ続けるという悲しい運命。

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 駿府に残った栄一は勘定方に任命されるが、徳川の禄を受けるつもりはないと「農民の矜恃」なる不可解なものを持ちだして抵抗。まあ徳川が困窮しているのは分かっているから、その徳川から金をもらうわけにはいかないという気もあるのだろうと思われる。しかしあまりの財政の火の車に、結局は栄一が陣頭に立って建て直しに邁進する羽目に。とにかく幕臣に金の勘定が出来る者が絶望的にまでいない。

 栄一が打ち出した策は駿河藩と商人が金を出し合って「コンパニー」を設立して利益を上げるという方式。いわゆる民間企業の立ち上げで、パリで見た会社組織がベースになっている。しかしやはり無意味にプライドだけが高く、商いは下賤と教え込まれている武士の価値観が邪魔をする。栄一の最初の障壁はこの「意識改革」になった模様」。武士の無駄なプライドはどうにもならないが、同様に商人の方は武士に対する不信感が強いのでこれも問題。栄一にしたら「俺の時代来たーーっ!!」ってところだが、パリでも感じていた「武士って使えねぇ」って思いもさらに強くなったところ。それにしてもここで再び三井が抜け目のない悪役として登場。さすがに商売人はチャッカリしてる。

 

 

すべてが順調に回り出したら新政府の横槍が

 一方の函館では幕府残党が風前の灯火。最後の覚悟を決めるイケメン土方。成一郞も同行しようとするがイケメンに「生きろ」とまるでもののけ姫のようなことを言われて送り出される。結局はこれで成一郞は生き残ることになり、明治になってから財界に入ることになります。イケメンはその後、華々しく散って歴史に名を残し、今ではあの5分の紹介にあったように五稜郭タワーのところにイケメン像が立って、未だに腐女子が多く訪れます。成一郞がこの時に土方と一緒に散っていたら、結局彼は名前は残らないでしょうが。

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五稜郭タワー内に立っているイケメン像

 武士と商人がギクシャクしていたコンパニーの方ですが、何だかんだ言っても事業が軌道に乗って利益が出始めたら動き始めます。武士の方も協力するしか自分の食い扶持を稼ぐ手はないし、商人の方も「これ、結構儲かりそう」と取り組み姿勢が変わってくる。

 で、順調に利益が上がりだしたら、それが新政府のド下品な大隈重信に目をつけられることに。それにしてもこの番組って、岩倉具視と言い、新政府方の人材ってド下品な奴らしかいないな。伊藤博文も何となく性悪なアホっぽかったし、五代なんて真っ黒そのもの。描き方が露骨すぎるというものだ。この作品ではとにかく栄一と敵対する立場の連中はとことん腹黒の根性悪として描かれるから。まあそれはともかくとして、ド下品大隈にしたら、そんな有能な人材を駿府に置いておくのは危険と、新政府に引き抜かれることになるんだろう。そもそも新政府って絶望的なまでに人材不足だし。で、栄一はいやいや新政府の役人になるという展開だな。

 

 

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青天を衝け 第26話「篤大夫、再会する」

栄一、故郷で幽霊に遭遇する

 今回の話は「栄一、故郷に帰る」です。で、そこでいきなり再会しているのは長七郎。錯乱して正気を失っていたはずなのに、やけに憑き物の落ちたような爽やかな顔をしていると思ったら、幽霊に再会していた模様。帰ったと思ってら既に死んでいて、次のシーンではお墓ってのではあまりに出番がないってことで、無理やりに出番を作った模様。前回の平九郎の件と言い、無理やりに出番や見せ場を作っている感がある。まあ平九郎なんかは下手したらナレ死させられかねないところだから、見せ場作ったのはまあ良しだろうが、さすがに長七郎は無理くり感が強いな。

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 で、まだ出るのか「解説の家康さん」。もうとっくに幕府は終わってるぞ。しかも「やめておきましょうか」と説明やめるぐらいなら、そもそも出てくる必要はなかろう。一体いつまで徳川幕府の亡霊がつきまとってるんだ。

 家庭を大切にする人・渋沢栄一(ひどい歴史捏造だな)は故郷に帰って家族と再会。娘は放ったらかしの間にかなり成長してます。回りは直参の幕臣にまで出世したということで英雄凱旋という印象ですが、実際は本人はこの時点ではプー太郎です。もっともフランス留学経験があるので、著しい人材不足の新政府ではその気になれば職はいくらでもあるでしょうが。もっとも栄一は現時点ではその気はない模様。これからは家族と一緒に暮らすとまた調子の良いことを言っている。

 

 

尾高の家の方は散々な状況です

 尾高の家の方は平九郎がなくなり、成一郞は函館へ、スッカラカンの家の中に密かに馬鹿兄貴だけが戻ってきている。おめおめと生き残ってしまったという類いの事を言っていたが、この兄貴、口先だけで役に立たないことは著しいんだが、なぜか不思議なほどに生命力はしぶとい。あの状態で幕府軍に関与しておきながら逃げ延びてきているとは何と言うしぶとさ。それに比べると純で真面目な平九郎は完全に割を食いました。おかげで栄一は妹に恨まれることに。お千代が「自分が殺してしまった」と気に病んでいたが、あれはお千代の責任ではない。しかし確かに平九郎の性格から言えば「武士として立派に職務を果たせ」よりは「何はともあれ生き残った者が勝ちだ」と言っといた方が良かったろう。まあこういう時代は真面目で要領の悪い人から死にます。

 函館の成一郞は相変わらず武闘派で突っ走って、イケメン土方と親交を深めているようだが、間もなく五稜郭は新政府軍に袋叩きにされてイケメンは命を落とすことになります。栄一はさっさと転向してしまいましたが、成一郞はそこのところを割り切れるのか。

 

 

慶喜の元に駆けつける栄一、これからが彼の本番

 故郷の状況を確認したらさっさと静岡に慶喜の様子を確認に行った栄一ですが、慶喜のやつれ果てた姿に思わず息を呑む。それにしても相変わらず慶喜ってヒッキー特性が高すぎる。それに草薙剛って、どうしてパリッと格好付けた姿よりも、こういうヨレヨレの姿の方が決まるんだろう? 栄一は慶喜に対して「もっとやり方があったでしょ」と詰め寄ろうとしたようですが、慶喜は「終わったことは今更仕方ない。そういう話をする気なんなら俺は帰る」というお話。仕方ないのでパリでのお話を始める栄一ですが、話を始めてしまったら生来の口数の多さが出て、絶好調のマシンガントークだった様子。結局はあれで慶喜の心を癒やしたことになるんでしょうか。

 とにかく今は徳川家はド貧乏のどん底にいますので、栄一が栄一としての活躍を始めるのが来週でしょう。謂わば渋沢栄一の人生はこれからが本番で、これまではプロローグのようなものです。しかしプロローグが長すぎて、後3ヶ月ほどで本番の方をキチンと描けるのか? どうも一年通しのテンポでシナリオを企画していたら、オリパラのせいで話数が減って、その上に麒麟がズレたせいで話数が大幅に減ったのに、序盤は撮影始めていたからそのままペース配分でやっちゃった・・・って感がすごくするんですよね。ここまで来たら栄一が一橋家に仕官するまでの与太話が完全に無駄だった。あんなもの総集編一本で終わりですから。私がシナリオ書いたら、第4話ぐらいでもう栄一は一橋の家臣になっている。これからのペースを考えたら、最初の銀行設立なんてナレ設立で終わらせることになるかも。

 

 

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青天を衝け 第25話「篤大夫、帰国する」

慶喜は周りからボロカスの扱いを受けた挙げ句に再びヒッキーに

 ようやく帰国した栄一達ですが、戻ってくると国の体制が変わってしまってました。と言っても突然に綺麗に明治に移行したわけでない。今でも幕府残党がドタバタとやっております。と言うわけで、いきなり家康が登場して「まだまだ出る」宣言。うーん、まだ続くのかこの北大路欣也の無駄使い。

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 大坂から逃げ帰ってきた慶喜は朝廷に対して恭順の姿勢を示すが、それに対する周りの冷たい目。抗戦派の小栗上野介は「なんでこいつ帰ってきとるねん」って雰囲気だし、篤姫には「ちゃち」と言われて腹を切れと言われるし、和宮には「慶喜は殺して良いから徳川家は残せ」と言われる始末。もうボロカスといって良い扱い。にもかかわらず相変わらず説明を全くしないんだよな、この慶喜は。結局はまた昔のようにヒッキーになってしまう。なんか最初からヒッキー属性だけがやけに高いんだな。ヒッキーになった挙げ句にボロボロの状態で現れるというのはこれで何回目だ?

 

それに振り回される不幸な人たち

 そしてそのドタバタの中で成一郞は上野の彰義隊の代表に担ぎ上げられたと思ったら、次のコマではなぜか別行動になっている。何やらいかにも混乱してドタバタした様子である。で、相変わらず馬鹿兄貴は意味不明のアジ演説。そして思い切り盛り上がっていたと思ったら次の瞬間には敗残兵になってしまっているというお粗末。それにもかかわらず気がつけばちゃっかりと生きて故郷に帰っている。本当に何をやりたいのか分からんが、結果としてやけにしぶといのがこの馬鹿兄貴だ。

 そしてそのドタバタの中で不幸な人・渋沢平九郎が壮絶な最期。ここまでかなり軽い扱いを受けていた人なのに、ここに来て急に今回の話の半分ぐらいを割いて濃密に描いてもらってます。うん、別にそうやって盛り上げるのは構わないけど、それするならこれまでに彼のこともっと描いておこうよ。ここまで彼のエピソードと言えば、栄一の妹からお守りもらって既にこの時点で死亡フラグ立てまくっていたってぐらいだから。今回単独で見ればなかなかの見せ場で演出もまずまずなんだが、所詮は今までの扱いが少なすぎたせいで、何やら脇役が突然に主役扱いされたという違和感があるんだよな。鳥羽・伏見の戦いから江戸城明け渡しとかは完全にナレだけで終わらせたコンパクト維新なのに。

 

武士を貫く成一郞と商人モードの栄一

 脳筋成一郞は函館まで行ってイケメン土方と共に戦闘中。上様の心情というのをまた勝手に推し量っているが、当の慶喜は何を考えているのやら。実際のところ慶喜がその考えをハッキリと下に示さないから、下の連中が好き勝手に上様のご意向を推し量った結果、対立して暗殺に走ったり、右往左往してしまったりと散々なことになっています。まあこんな状況見ていたら、篤姫や和宮がボロカスに言うのも分からないではないが。

 その一方で栄一はもう次の時代を見据えて商人としての活動を始めつつある模様。三井の番頭に「これからがワシら商人の戦い」と言われて、「もしかして俺の時代来た~っ」って思ってるんじゃないかって感じが。武士にこだわっている成一郞と対極の道に進み出しています。

 そして民部公子はまたも潤んだ瞳で栄一に「水戸に来て欲しい」と再びのプロポーズ。それに対して再び私には慶喜様がもういるのでとごめんなさいする栄一。本当に栄一モテモテだが、民部公子の周りにそんなに人材がいないのか?・・・って確かに頼りになりそうな人材が皆無だな。とりあえず栄一は慶喜に会いに行く模様。「あなたは一体何を考えてたんだ」と詰問ぐらいするんだろうか

 

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青天を衝け 第24話「パリの御一新」

コンパクト維新があっさりと進行してしまいました

 あのろくでもないオリンピックのせいでしばし放送が中断されての再開。そのためか最初は1分ほど「これまでの経緯」が軽く流されて本編。

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 さて今回のタイトルの「パリの御一新」だが、これはまさに、栄一達がパリにいて何も出来ない間に明治維新が終わっちゃいましたよとお話。大政奉還も鳥羽伏見の戦いでの敗戦も、そこからの慶喜の逃走もすべて台詞だけで片付けられてしまうと言う「ナレ維新」。もしかしたらあり得るとは思っていたが、本当にやってしまった。やっすい維新だな。恐らく歴代大河ドラマでの明治維新の中では予算最低(笑)。コンパクト五輪は嘘八百だったが、大河はコンパクト維新を実現してしまった。

 栄一が憤慨しておりましたが、慶喜の単独での逃走は今でも「一体何を考えていたんだ?」と謎扱いされているところですから、まあ理解は無理でしょう。結局のところ慶喜は、最後の最後まで部下から見た時には「何を考えているのか分からない上司」だったわけです。慶喜は慶喜で「自分の考えが分かってくれる部下が誰もいない」と感じていたようですが。まあ頭の悪い人ではなかったようですが、明らかに説明不足ってのはあったようです。頭の良い人に往々にしてありがちの悪癖です。周りに自分の意図を説明するのが面倒臭くなるんでしょう。しかも周りには打てば響くような奴がいなかったし(何しろ側近は次々と内輪で暗殺されるんだから)。

 

完全に商売人になりきっている栄一だが、嫁は攘夷派だった模様

 憤慨しつつも栄一は当座の資金調達に走り、そこでフランスの証券市場(合成撮影があまりに安すぎたが)を知って「これぞ自分が求めていたものだ」と盛り上がっています。結局のところ彼は武士ではなくて、心底商売人だったってこと。武士の誇りなんて邪魔としか思っていなかったからあっさりと髷も切っちまったのだが、その写真を送ったらお千代が「あさましきお姿」ときたもんだ。あれだけ嫌っていた異人と同じ格好をするとはってことのよう。どうやら栄一よりもお千代の方が余程筋金入りの攘夷だったようだ。なるほど、栄一がテロリストを目指した時に反対しなかったわけだ。旦那を死地に追いやってどうするんだと思っていたが、むしろお千代の方が強硬派だったか(笑)。お千代からの手紙を読んだ栄一は「そういや、武士の誇りなんてもんがあったっけ?」てな感じだろう。あの笑いは苦笑いか。お千代が舞踏会で鼻の下を伸ばしていた栄一を見たらどう言っただろうか?

 

そして平九郎には死亡フラグが立ちまくり

 で、従兄弟の成一郞と馬鹿兄貴はどうやら幕府派について戦った模様。見立て養子の平九郎もそれに付いていきます。成一郞は最初はそもそも上野の彰義隊の代表になっていたはずなんだが、それがなんやかんやの経緯で外れることになってしまって、結局それで命を拾うことになります。一方の平九郎はというと幕府方として最後まで新政府軍と戦って華々しく散ってしまったようです。今回、サラッと派手に死亡フラグが立っておりましたが、どうやら次回に正式にご臨終の模様。ハッキリ言って栄一のせいで不幸になってしまった可哀想な人です。

 結局のところバリにいた栄一達はヤキモキしたり、ぶち切れて叫びまくったりしてましたが、何も出来ない。川原を歩きながら民部公子に潤んだ瞳で「水戸に付いてきて欲しい」と愛の告白をされてましたが、栄一は振ってしまったようです。「私には慶喜様がいます」ってところでしょう(笑)。まあ実際に帰国後しばらくは慶喜の元で雑用やっていたようです。

 で、さすがに江戸幕府が滅んでしまったら家康様の出番はなくなったか。まああの北大路欣也の無駄遣い、全く意味なかったですからね。

 

ここまでの話って、結局ほとんど不要だったね

 ようやく話が動き始めたというところで、実際にこのドラマ、今までの分は総集編でザッと流して今ぐらいから見始めた方が正解なんじゃないかな。ここまで無駄に長すぎてダレまくっていたから、そこで落ちた者が少なくないと思う。実際に私がこのドラマを企画したら、ここまでで費やすのはせいぜい10話が最大。ハッキリ言って少年時代の話は全く意味がないので全面カットです。お千代との話ももっとあっさりとさせて、一橋家に仕官してからの話にもう少し割いて、このパリでの話はもっとじっくりと描きますね。どうも話数を割くべき場所を間違っているという気が強烈にする。

 

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青天を衝け 第23話「篤大夫と最後の将軍」

なんかパリに非常に馴染んでいる栄一

 600万ドル借款の件が、薩摩の横槍で頓挫してしまって任務が達成出来なくなった栄一達。しかし何とか資金調達して昭武の諸国に対する親善訪問は達成、その後は留学ということになったようです。日本からは栗本鋤雲がやって来て何とか巻き返しを図りますが、それは功を奏さないというのは、以前に「歴史探偵」でやっていた通り。

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 その際に一行は髷を落として洋装をすることを求められたよう。栄一はとにかくうれしだから満更でないようなんだが、さすがにこれは水戸のバーサーカー連中は耐えられなかったか。我慢出来なくなって離脱する者が数人。まあ栄一達も「うるさい奴らがいなくなって助かる」ってな感じで、喜んで送り出してましたね。まあそもそも髷を落としただけだと、そのままだとカッパになってしまってあまり頭がまとまりませんからね。武士の体面が云々以前にとにかく格好が悪い。

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一方で日本では慶喜が追い込まれつつあった

 一方の日本では、慶喜がそれでなくても少ない側近をまた暗殺されていると。しかも犯行は直参の連中のようだから、そりゃ「なんでそんなことするんだよ」と文句も言いたくもなるわな。そのおかげで慶喜は全部自分で考えないといけない羽目に。よくまあ過労死しなかったもんだ。

 倒幕に動いている薩摩は、あの下品な岩倉具視の元に集まって、倒幕だ、錦の御旗だ、倒幕の綸旨だと騒いでおりましたが、薩摩がその方向に動くことが分かっている慶喜が先手を打って繰り出したのが「大政奉還」。確かにこれって、薩摩が倒幕するための大義名分を奪ってしまう手なんです。実際のところ朝廷は、いきなり「じゃあ明日から政治よろしく」と言われても官僚もなにもいないわけで、しかも奈良時代にみたいに天皇と数人の側近ですべて差配出来るほど政治が単純でない。慶喜にしたら「出来るもんならやってみろ」とケツをまくったわけで、恐らく早晩頓挫して「やっぱり幕府で頼む」と言ってくるだろうことを見越している。

 しかも王政復古のクーデターを行って慶喜を外した政権を組もうとしたら、薩摩にしたらこっち側だと思っていた土佐の山内容堂や越前の松平春嶽、尾張の徳川慶勝辺りが口を揃えて「なんで慶喜を外すんだ」とぶち切れてまとまらず。山内容堂がかなり吠えてましたが、元々彼は雄藩連合で天皇を補佐するという路線なので、政権構想の中に幕府も含んでいるわけで、完全に幕府を滅ぼして取って代わろうと考えている薩摩とは思想が全く異なる。松平春嶽なども基本的にその路線だから、結局は各人の思惑がバラバラ。

 あくまで幕府をつぶすことにこだわる薩摩は、こうなりゃ何が何でも戦争に持ち込むだけとバーサーカー西郷が幕府側が暴発するように陰謀を駆使した模様。慶喜はそんな手で来るのは読んでいるので、薩摩には手を出すなと言っていたのに、江戸の家臣連中は暴発、挙げ句に大坂城の連中まで薩摩打つべしで大盛り上がり。「何でみんなでよってたかって俺の足を引っ張るんだ」という慶喜の最初は怒り、次に絶望、そして最後には諦めのような感情がみなぎる様子を草薙剛がまずまず表現出来ていたのは良し。にしても今まで「何を考えているか分からない」慶喜が、最後の最後になってきてようやく感情を示すようになった。

 

ようやく話が盛り上がってきたのに・・・

 と言うわけで主人公の栄一は全く歴史に関与してません。結局彼は「パリから戻ってきたら明治になっていた」状態になります。もっとも彼自身は外国で銀行とかいろいろ見て、「やっぱり俺は商売人だ」ということを自覚してきたようですが。政治家も軍人も商売人もみんな一緒というのが多分キーワードになるんだろう。商売によって国に貢献するという発想が多分次回辺りに登場するはず。

 ようやく渋沢栄一が渋沢栄一らしくなってきたんだが、次回は8/15まで飛ぶらしい。オリンピックの影響だろう。いっそのこと栄一に「オリンピックは商売なんだ」と叫ばせたらどうだ。

 

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青天を衝け 第22話「篤大夫、パリへ」

「予習」の通りのストーリーが展開します

 今回のストーリーは以前に「歴史探偵」で紹介していた内容そのまんまですね。やっぱりああいう歴史番組は見事なまでに大河の予習を兼ねてるな。しかしここまでまんまだと、こりゃ大河見なくても良いってことになりかねん。

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 いきなり船上で胸がムラムラ・・・じゃなくて、胸がムカムカすると言っている栄一(これって今までのパロか?)。そこに現れる爽やか好青年なイケメン外人がシーボルト。例のオランダ商館にいたシーボルトの息子です。しかし予習していたら分かっているように、こいつがもろにイギリスのスパイ。そんなことは露とも知らずに、シーボルトのことを信用してしまう幕府使節団一行のあまりの脇の甘さ。この時点で先の展開は予測出来る。

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 パリに到着する栄一達一行であるが、しっかりとスパイのシーボルトがついています。何やら裏で画策していたのはあの番組でも紹介していた通り。それに比べると栄一の脳天気なこと。攘夷だったことなんて完全に忘れてパリを満喫してます。もっともあれだけの技術力を見せつけられて、それで攘夷なんてことが実現可能だと考えるのなら、それは相当アホというもの。

 

炸裂する薩摩の陰謀に対して、全く使えない同僚達

 とは言うものの、徳川昭武はなかなか名君の風がありますが、やっぱりそれを取り巻く水戸藩士は確かに懸念していた通りの狂犬並の連中。あの連中の監視も栄一の任務とされてますが、最初から盛大に衝突しているようです。パリの進んだ事物を目にした栄一は完全に商売人モードになっているので、武士というものの融通の利かなさやダメさが散々と身に染みているようです。まあ商売人の常識として、プライドが邪魔をして値切りさえ出来ないよう奴らは役にもたたんわな。

 そして薩摩の陰謀が炸裂。幕府一行はモンブランに丸め込まれてまんまと出し抜かれます。栄一は「モンブランには注意しろ」と最初に吹き込まれてましたが、権限は何もないのでどうしようもないところ。にしても幕臣連中って融通が利かないだけでなく、この手の謀略も全く駄目ですね。本来は戦国時代の武士なんかだったら、謀略は必須だったのですが。どうも泰平の時代の間に武士はとことん役立たずになっていた模様。

 結局はここで幕府が中心権力ではないという認識を持たれたことで、最終的に借款の件は流れてしまいます。モンブランを使って謀略を仕掛けた五代にしたら「してやったり」でしょう。この五代友厚は明治になると実業界で大活躍することになる人物ですので、いずれ栄一の前に現れることになるでしょう。

 

 パリで垣間見える栄一の正体とその頃の慶喜は

 パリでどうも浮かれている感のある栄一達は舞踏会でさらに浮かれている模様。何やら鼻の下を伸ばしいる栄一の様子には、後の「二桁の愛人に子供が50人ぐらいいる」と言われている女狂い外道の片鱗がすでに現れているようです。まあこの作品で描かれている「嫁さんを大事にする栄一」なんての嘘っぱちもいいところですから。ところでこの舞踏会、なんで音楽が選りに選ってベルリオーズの幻想交響曲なの? 確かにあの第2楽章は舞踏会のシーンではありますが、この曲自体はとてもではないが舞踏会には合わないおどろおどろしい曲なんですが。ここは普通にヨハン・シュトラウス辺りで良かったのでは?

 一方の慶喜はと言えば、島津久光の思惑を相変わらずのすっとぼけた様子でサラッとかわしてしまいました。切れ者と言うよりは意外とタヌキという姿を見せています。うーん、タヌキ。そうかこれこそ神君家康公の再来だな(笑)。で、次週はこの「出来る人」があっさりと大政奉還をしてしまうようです。

 一方の血洗島では平九郎が栄一の養子になっているようです。しかし結局はこのことが平九郎を幕末の動乱に巻き込むことになり、彼の命を奪うことになってしまいます。これは来週以降の話でしょうが。

 

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青天を衝け 第21話「篤大夫、遠き道へ」

あっさりとパリ行きを承諾する栄一

 さて、前話の最後で慶喜が栄一のことを思い出したようですが、栄一はいきなりパリ行きを命じられたようです。徳川昭武が派遣されることになったが、それに同行する水戸藩士共(攘夷派の総本山だった)が、外国人見たら何するか分からない狂犬みたいな連中だから監視しろとの仰せ。「よく考えて返答しろ」との話に「参ります」と即答する栄一。こりゃ栄一に話を持ってきた原が「おいおい、待て待て、お前元々攘夷だろうが。なぜそんなに簡単に決められる。」と混乱するのは当たり前。栄一は例によって「胸がムラムラする」・・・じゃなかった「胸がグルグルする」とか例によって意味不明のことを言っているが、実際に節操のない奴である(笑)。国内でくすぶっていたから、渡りに船だ僥倖だという世界。ちなみに番組ではわざわざ「僥倖」って文字を出しているが、そんなに示さないといけないぐらい難しい言葉か?(字は馴染みはないけど) まあこれが民放のドラマだったら「これはチャンスだ」とか言いそうだが(笑)。

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 で、パリ行きを決めた栄一は会計係を命じられた模様。また渡航する前に見立て養子を決めるようにと言われる(この「見立て養子」も文字登場)。渡航は危険があるのでもし死んだ時に家が絶えたら困るから後継ぎがいない場合は誰かを養子にしろということらしい。それだけ当時の渡航はヤバいということで、そりゃ原が慌てたはずだ。とりあえずこの時に栄一は成一郞の弟の平九郎を養子にすることを考えたようだが、実は後にこのことが平九郎の運命を決めてしまうことになる。

 

回りで状況は動き始めている

 一方、故郷に帰った成一郞は「もう攘夷はやめて幕臣として幕府を支えることにした」と兄貴に報告。それに対してあっさりと「それでいいんじゃない」と答えてしまう信念も何もない馬鹿兄貴。ついでに成一郞はこいつまで幕臣に誘って「軍師が必要」なんて言っているが、いやいやこんな馬鹿兄貴が軍師したら幕府軍惨敗だろ。何しろあんな雑な攘夷計画立てるようなマヌケだぞ・・・。

 そうこうしている内に、慶喜と比較的良好な関係を保っていた孝明天皇が病をおして無理やりに神事を執り行った挙げ句に体調を悪化させて寝込んでしまう。どうやら天然痘の模様。病床に見舞いに来た睦仁親王(後の明治天皇)を「来るなと申しただろう」と追い払おうとするが、「ワシは既に種痘を受けております」と答える睦仁親王。「種痘か」と苦笑いのようなものを浮かべる孝明天皇。外国嫌いの孝明天皇にとって、西洋の医療である種痘を次期天皇までが受けているという状況はどのように感じられたか。とりあえずこの番組的にはこれが孝明天皇の最後の台詞になってしまう。次期天皇となる睦仁親王の周辺の公家は反幕府の強硬派ばかり、これで慶喜はさらにやりにくいことになってしまう。そして例のド下品な岩倉具視は「よっしゃ、幼帝を立てて王政復古だ!!」と張り切り始める。

 

慶喜や小栗と盛り上がる栄一

 そして栄一はコスプレ慶喜と歓談。なんか慶喜の腹心って栄一しかいない雰囲気になっているが、これは典型的な大河特有の主人公アゲ。先の「麒麟がくる」でも、斎藤道三の腹心はまだガキの明智光秀しかいないようになっていたが、それと同じ。その挙げ句に何やら家康の遺訓の唱和を始める。何となく「流派東方不敗は王者の風よ」と言い出しそうな雰囲気だったが・・・ってすみません、これは「白鷺館アニメ棟」の方のネタですね(笑)。ここの読者さんには何のことやら分からんだろうからやめます。もし何のことか気になる人がいたら「東方不敗」でググってくれたら分かります(笑)。

 そして小栗上野介と面談して、銭に通じた同士で何となく意気投合する二人。ここでこの前の「歴史探偵」にも登場していた600万ドルの借款の話も出ます。栄一は幕府は大丈夫だろうかという懸念を持っているが、小栗も実際に幕府はもう持たないのではないかと感じている一人。幕府がある限りは金は送るが、そうでなくなった場合は分からんという話。いずれ再会することを誓う二人だが、結局はこれも再会はないはず。小栗は幕府がコケた後は田舎に籠もっていたんだが、血に飢えた薩長政権の手によって処刑されたはず。幕閣の時に薩長に対して主戦論を唱えていたことに対する嫌がらせです。こういうことを根に持って必ず陰険な処分をするのが薩長政権の特徴。とにかくあの幕末のドタバタでは、有為の人材が無駄に多く亡くなっており、小栗もその一人です。

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成一郞に後のことを託す嫁思い(嘘つけ!)の栄一

 ずっと成一郞とすれ違いになっていた栄一だが、長七郎の面会に行った牢でしばらくぶりの再会。パリ行きになったことを成一郞に説明して、平九郎の見立て養子の件と嫁のことを頼む嫁を大事にしている栄一・・・ってのは完全に嘘八百ですね。この作品の栄一は家庭を大事にして嫁にべた惚れという家庭人として描写してますが、実際の栄一は愛人は二桁で子供は50人はいるんではないかと言われている外道です。既に嫁のことを放りっぱなしですが、実は嫁はこの後も散々な目に遭います。まあこの辺りはさすがにそんなこと描けないから、主人公アゲのための歴史捏造。この辺りの話は「渋沢栄一 愛人」とググったらいくらでも出て来ますので。

 栄一は成一郞と二人で久しぶりに長七郎に面会して昔のことを語り合いますが、もう長七郎が盛大にフラグを立てまくってます。実際には明治になるまで牢にいたようですが、次に話が出てくる時にはもう死んでいるという雰囲気がプンプン。

 

 というわけで、栄一は慶喜も嫁も放ったらかしてパリに渡ります。これからしばらくは万博での薩摩とのドタバタになるのでしょう。もうその辺りのシナリオも既に「歴史探偵」で紹介済み。本当にNHKの歴史番組を見ていたら、大河の話は見なくても分かるって言われてるんだが、今回ももろにそうだわ。

 ようやく渋沢栄一らしくなってきましたと言うところ。それにしてもここまでが無駄に長かった。本当にドラマとしての構成が悪すぎるわ。ところで未だに徳川家康が出てくるんだが、まさか明治になってまで解説の家康さんが出てくるの? せめて孝明天皇辺りにバトンタッチしたら?

 

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