徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

長水城をリハビリ登山し、よい温泉で汗を流して帰る

リハビリ登山として長水城を攻略する

 昨年12月頃から私は腰を痛めたり風邪をひいたりなどで散々な状態だった。おかげでここ1ヶ月ほどはまともに体を動かしていない。そのせいで体力はひたすら落ちまくり。新年になってもなかなかエンジンが全開でかからずに困っていた。これはここらでリハビリを兼ねてどこか山でも登ってくるかと思いついた次第。

 頭に浮かんだのは宍粟の長水城。南北朝時代に赤松円心の三男則祐が築き、戦国期には赤松一族の宇野氏が拠点を置いたとされる城郭である。しかし羽柴秀吉の中国攻めの前に宇野氏はこの城を追われて滅亡、その後は黒田官兵衛の領地などを経て1615年に宍粟藩主となった池田輝澄が山崎城に移ったことで廃城になったとのこと。

 現在は山頂に信徳寺という寺があるとのことだし、途中までは林道で車で登れるとのことなので、これは楽勝だろうとリハビリ先に選ぶことにした。

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長水城縄張図

 中国道の山崎ICから国道29号線を北上すると長水城の案内看板が出ているので左折、しばし集落内の道路を走行していると再び案内看板があるのでそこを左折、狭い林道に入り込む。この林道は舗装されているので車の走行に不安はあまりないのだが、道幅が狭いのでもし対向車が来たら非常に嫌である。またところどころ倒木や落石があったりするので、大雨の後などは要注意だろう。たまに雪が残っているところが見られ、木の上にもいくらか雪があるのか、雨も降っていないのに上から水滴が落ちてくる。林道を突き当たりまで登ると、車5、6台分程度の駐車スペースがあり、そこから登山道が出ている。キチンと登山用杖まで用意されており、私の到着時には駐車車両は1台だけだったが、登山者は結構いるようである。

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国道29号を標識で左折

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さらにこの標識で左折

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狭い林道に突入する

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倒木はあるし

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落石に残雪もある

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ようやく終点

 

 

山道を登っていく

 ここから山道を登りに入る。昨日、この辺りは雪がぱらついたと聞いているが、足下はやや湿っていて気をつけないと滑りそうだ。また上の木の枝からはひっきりなしに水滴が落ちてくる。やけに水気の多い山だという印象だが、実際にここは別名ヒル山と呼ばれているという好ましからざる話も耳にしている。まあこの寒い最中に彼らが活動しているとも思わないが。

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登山開始

 リハビリの楽勝登山と考えていたのだが、案に反して山道は結構長くて厳しい。10分ちょっと程度のイメージを持っていたのだが、10分程度ではまだまだ頂上は見えず、息が完全に上がってしまう。こういう時に難しいのが休憩の取り方。あまりじっくりと取ったらかえって足が上がらなくなってしまうことがあるし、かといって休憩がなければ徐々に体力が削られる。結局私はほとんどノンストップで上がってしまったので、途中からはゲロゲロ状態。完全にペース配分を間違った。

 ようやく井戸跡の看板に行き当たる。この看板の先10メートルぐらいのところに井戸がある。雪解け水があるのかかなり満タンである。

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井戸跡の看板

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ここを左折するとすぐに井戸

 井戸まで来たのでもう城域かと思ったのだが、案に反してここからが意外と長い。結局は下の方の曲輪の石垣(後世に積み直されたものらしい)が見えた頃にはフラフラのゲロゲロ。半死半生というやつである。

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井戸跡からさらに進むと三の丸方面との分岐

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この石垣に出る

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曲輪跡にはやけに生活感が滲む

 本丸脇に複数の曲輪が連なっており、ここにお寺の関係者だろうと思われる住居がある。ここに住んでいるのだろうか? 下から荷物を持ってくるだけで大変だと思うが。そもそも建築資材をどうやって運搬した?

 

 

二の丸を経て本丸へ

 住宅の脇を登っていくと二の丸に出る。右手には一段高い本丸が、左手にさらに別の曲輪が見えている。まずは本丸に登ることにする。

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本丸が見えてくる

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二の丸に出た

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この上が本丸

 本丸はお寺になっている。見晴らしはまずまず。奥にさらに一段高いところがあり、天守台とでもいうべき構造だが、果たして長水城に天守閣があったかは疑わしい。ここには毘沙門天?不動明王?宗教に疎い(というよりも完全に興味がない)私には判断できないのだが、いわゆる「強い系」の仏像が祀られている。

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山頂碑

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本丸上のお寺

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奥に天守台のようなものが見える

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眺めはまずまず

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台上の石碑と

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何やら逞しい仏像

 

 

 本丸から降りてくると反対側の曲輪へ。こちらはベンチなども置いてあり完全に展望台状態。確かに見晴らしは良い。

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二の丸の先に曲輪がある

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登っていくと

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これは完全に展望台

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絶景である

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周辺眺望がバッチリ

 リハビリに軽く登山と思っていたが、赤松氏の城郭を甘く見ていた。やはり赤松氏は「何を恐れてそんなに高山の上に」という場所に城を築くのが習性だった。しかし結局赤松氏はそのような天険の要塞に拠っても秀吉などの侵攻を退けることに失敗しているのである。裏切り者が出たりとかく家臣団の結束に問題があったように思われる。結局は「人は石垣、人は城」なんだろうか。

 別の山に三の丸もあるらしいが、もう足が完全にへたっているのでそっちは止めにする。帰りは足下が滑るので要注意。かなり慎重に下っていくことになる。途中で下から登ってくる登山客数人に遭遇。地元で人気のハイキングコースというのは本当だったのか。かなり疲れながらようやく下に降りると、私の到着時よりも車が二台増えていた。

 

 

温泉で汗を流して帰る

 さて山で汗を流したら遅めの昼食と温泉で汗を流したい。ここの最寄りの施設と言えば生谷温泉伊沢の里がある。ここは実は今までに何度か来たことがあり、実は長水城のことを知ったのは、この施設に建っていた案内看板のおかげだったりする。ここのレストランはまあまあうまいし、風呂自体も悪くはないのであるが、ただ温泉を名乗ってはいるものの限りなく新湯に近い印象であまり温泉っぽくはない。

 結局は今日はもっとガッツリと温泉に浸かりたいと考え、ここをさらに北上したところにあるしそうよい温泉を目指すことにする。

 よい温泉にたどりつくと入浴の前に向かいの飲食店「朱鳥庵」で昼食を摂ることにする。メニューは悩んだが「おまかせ猪鹿鳥御前(1800円)」を注文。

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よい温泉の「朱鳥庵」

 小皿が多数あるが、地鶏の焼き鳥に鹿のカツ、イノシシの焼き肉、さらに鳥の小物らしい。鹿のカツがうまいのが印象的。鹿は低脂肪の赤身でパサパサしがちであるから、カツにするのは正解である。猪はもう一ひねり欲しいかなというところ。昼食を満足して終えるとデザートにぜんざいを頂く。

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おまかせ御膳

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デザートにぜんざいを注文

 ホッとしたところで入浴。よい温泉は弱放射能泉で若干濁りのある湯である。放射能泉とは言うものの、あまり強くないようで放射能泉に入浴すると後で体がカッカして困る私にはむしろ入浴しやすい湯。低温泉なので加温のための循環はしているが掛け流しである。肌辺りのなめらかな湯なので少し長めに入浴して体をほぐしておく。

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よい温泉で汗を流して帰る

 以上で今回の遠征は終わり。元よりリハビリのつもりであったのでこの程度である。ただやはり思った以上に体がなまっていたのを痛感した。確かに意外にキツい山であったが、私も体力が万全な時ならここまでひどい状態にはならなかったろう。やはりこれから徐々に体を回復させていくしかないと感じた次第。