徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

東京地区美術館巡り前半戦

雨の中を美術館攻略に走り回る

 翌朝は7時半に目が覚めた。今日は一日かけて都内の美術館を回る予定。とりあえず開館が一番早いのは9時の上野の科博だから、そこから順に一回りの予定。目覚ましに朝風呂を浴びてから8時半頃にホテルを出る。

 ホテルを出た時にはまだ雨は降っていなかったが、上野に到着した頃には激しい雨になっていた。花見のつもりで来ていた連中は大変だ。上野駅には雨宿り客が大勢たむろしている。

 その中をかき分けつつ、まず最初に向かったのは科博で開催中の大アマゾン展。ちなみに私の年代はアマゾンと聞くと、顔の前で両手をクロスさせながら「ア・マ・ゾーン」と叫ぶという習性がある。

 

 

「大アマゾン展」国立科学博物館で6/14まで

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 アマゾンは独自の生態系を持ち、未だに未知の生物が多数棲息していると言われている。そのアマゾンの動植物を展示した展覧会。

 序盤は太古の化石生物の展示から始まるが、すぐにほ乳類や鳥類など現存生物の展示に移る。ナマケモノからヒョウまでその多彩さに圧倒されるが、さらにインコなどの色鮮やかな鳥類が普通に野生としているのが妙な感覚である。

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翼竜の化石

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会場風景

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サルの仲間

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小型哺乳類

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オオアリクイ

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アルマジロ

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ヒョウ

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クマ(鮭を咥えていたら似合いそう)

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魅惑のチキルーム

 

 

 さらにはは虫類、両生類、昆虫類に魚類。巨大蛇のアナコンダに驚き、巨大魚類のピラルクーなどには圧倒される。また色鮮やかなモルフォ蝶などが目を惹くが、ついでにこの構造色の原理を応用した帝人の繊維の展示まである。

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巨大なアナコンダ

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ワニ

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カエルの仲間

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色鮮やかなモルフォ蝶

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その原理を応用した繊維

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巨大魚ピラルクー

 最後は菌類を経て原住人類の展示で終わりである。とにかく多彩な生物に圧倒されっぱなしになることは請け合いである。

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菌類

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藻類

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最後は人間(原住民の文化)

 一番最後は大型モニターを使っての4Kでのアマゾンの映像上映だったが、さすがにこのサイズになるとまだ4Kでも若干画像が荒いか。ただ家庭のリビングだとこれ以上の精細度は必要か? なおナレーションがやたらに「私はアマゾン」を繰り返し、「悠久の時が云々」と言っているのを聞いていたら、私の頭の中には池田昌子の声で「私はメーテル。鉄郎、999に乗りなさい」と言うのが聞こえてきた・・・。もっとも今時は池田昌子の声なら「ムッタ、月に行きなさい」か。

 科博を出た時には雨はほぼ止んでいた。傘を差さなくて良くなると移動がしやすくなるので助かる。これも私の日頃の行いの良さの賜物か。

 科博の次は当初予定では藝大美術館に直行するつもりだったのだが、国立博物館の前を通りかかったところ大して混雑していないようなので(この博物館だけはいつも混雑度合いが読めない)、先にそちらに立ち寄ることにする。

 

 

「インドの仏 仏教美術の源流」東京国立博物館で5/17まで

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 仏教発祥の地・インドにおける仏像は、日本の仏像などと違ってかなり個性的な造形のものが多い。そのようなインドにおける仏像を展示。

 当然と言えば当然ではあるが、インドにおける仏像は日本のもののようなのっぺりした顔立ちではなく、いかにもインド人らしい顔立ちをしており、こういう仏像を見ると、仏教はそもそもはインドの宗教なんだということが強く感じさせられる。また仏像に対する装飾などもいかにもインド的であり、日本人の目にはありがたさよりも奇異の念を感じるような姿が多い。

 これがパキスタンや中央アジア辺りに入ると、ダルビッシュなどを思わせるような彫りの深い濃い系のイケメン仏像になる。また仏像だけでなく、仏舎利や経典なども展示されており、その細工の細かさには驚かされる。

 宗教云々を抜きにして、単純に造形として見て回っても十分に楽しめる。当然ながらブッダのストーリーぐらいは知っている方がより深く楽しめるわけではあるが。

 

 私は「へうげもの」のせいで茶器などに興味が出てきたような単純な人間だが、最近は「聖☆おにいさん」や「鬼灯の冷徹」のせいで仏教やキリスト教や地獄にも知らない間に詳しくなっていたようだ。我ながらつくづく影響を受けやすい人間である。

   
地獄を学ぶための教科書と
   
天国を学ぶための教科書

 

 

 

 なお驚いたのは、今ではインドはヒンドゥーの国で仏教は決してメジャーではないはずなのだが、仏教遺跡が結構そのまま残っていること。これはヒンドゥーが多神教であるのが幸いしたのだろう。そもそもヒンドゥー教は統制が強い宗教ではないので、容易に他の宗派を取り込むとか。これがイスラムとかなら、あのキ○○イのタリバーンみたいに遺跡は全部破壊していたところだろう。なお今ではあの殺人同好会のイスラム国(IS)も同じことをしているらしい。奴らは殺人だけでなくて破壊も大好きなようだ。幼稚園バス襲撃レベルの事件も起こしているし(学校に押し入って銃乱射なんていう事件も多い)、やはり目標はショッカーか。あのオウム真理教も多分にショッカーを意識していたような気もするし、なぜか宗教カルトは最終的にショッカーになるようだ。これやもはや仮面ライダーが登場してアジトごと壊滅させて欲しいところだ。この世には正義のヒーローはいないのか?(正義を名目にして利権目的の戦争をしたがる輩はわんさかいるが)

 それにしても仏教の考え方も結構特殊だ。施しが好きだった王様が、国に恵みをもたらしていた白象を他国に与えてしまったために国民を怒らせて国を追われたのに、それでも逃げる時に連れてきた馬車を人に与え、さらには自分の息子たちも奴隷として人に与えなんてエピソードがあったが、ここまで来ると徳があると言うよりも単なるはた迷惑な変人というか、極度なMなんではないかという気がしてくる。ちなみに施しというのは仏教では重要で、その最大のものは自らの体を与えることだとか。そういうわけでインドでは臓器バンクの登録率が高いと聞いたことがある。

 この点、中国なんかは「宋襄の仁」なんて言葉があるぐらいで、いくら立派なことをしても国を滅ぼしたら意味がないという合理的な考えが徹底している。この辺りは生き馬の目を抜く戦国時代や、他民族との闘争を経てきた国ならではなのだろう。このような中国や、やはり同じく国内で諸々の戦の多かった日本に仏教が伝来して広がったのも奇妙なものに思える。

 

 

昼食は博物館内でとる

 特別展を見学し終えたところでかなり腹が減っていることに気づいた(今日はまだ朝食を摂っていない)ので、朝食兼早めの昼食を摂ることにする。面倒なので博物館内のレストラン「ゆりの木」に入店して、特別メニューの「稲庭風うどんと鮭親子丼(1200円)」を頂く。

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うどんと鮭の親子丼

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確かに稲庭風ではある

 野菜が結構入っているうどんがうまい。ただやはり全体としてボリュームがやや不足で、CP的に見るとツラい。まあこれは場所柄仕方のないところではあるが。

 食事を終えたところで隣にある東洋館をのぞくことにする。ここに入ったのは初めてだが、アジア地域の各地の文化に関する展示がされており、イケメン仏像代表のガンダーラ仏なども展示されている。こうして改めて見てみるとアジアの各地にそれぞれ独自の文化が発展してきたということが実感できる。それぞれ風土に根ざした文化が発達したのであって、そこにはどれが上だとか下だとかなどの関係はない。こういうのを見ていると人類の多彩さというものが良く理解でき、他の文化に対しての尊敬の気持ちも生まれる。無知が差別主義の温床になるとはよく言ったものだ。新大久保辺りで馬鹿騒ぎをしている差別主義者たちは、こういったところで勉強させた方がよさそうだ。

 国立博物館は多数の建物があってあらゆる収蔵品があるのだが、それを悉く見ていると一日仕事になってしまう。残念ながら今日はそんな暇はとてもないので、そろそろ藝大美術館に移動することにする。

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辺りはかなり桜が咲いている

 

 

「ボストン美術館×東京藝術大学 ダブル・インパクト 明治ニッポンの美 」東京藝術大学美術館で5/17まで

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 日本が鎖国を解いて西洋との交流を始めた明治時代、日本は西洋の高度な技術と異文化に触れて大きな衝撃を受けたが、同時に西洋の側も日本の独自性の高い高度な文化に大きなインパクトを受けていた。そのような両者の受けたインパクトを双方向的に眺めてみようという展覧会である。西洋からの衝撃を受けた日本を現すのが東京藝術大学のコレクション、対して日本からの衝撃を受けた西洋を現すのがボストン美術館のコレクションである。

 日本の側が大きな衝撃を受けたと言えば絵画の世界である。それまでの日本の絵画とは全く異なるリアルな表現は、多くの芸術家に衝撃を与え、独自で洋画を探求する者などが現れる。そしてやがては海外留学する画家も増え、日本の中で洋画が大きなジャンルとして確立する。その一方で古来の伝統的な絵画も新たな展開を迎え、日本画というジャンルが確立することになる。その過程で模索したのが朦朧体などと揶揄された横山大観や菱田春草などである。

 一方で日本の絵画が西洋にも衝撃を与えている。特に浮世絵の表現は西洋にジャポニズムを生み出し、これは印象派にも大きな影響を与えている。ある意味では西洋で印象派表現を学んで帰ってきた洋画家は、日本の絵画の影響を逆輸入したとも言える。

 工芸の分野でも日本の匠の高度な技は西洋に大きな驚きを与えた。この後、日本の工芸品は大きな外貨獲得手段となることになり、国策として輸出が振興される。

 今までそれぞれの視点を一方的に伝える展覧会は多かったが、今回は双方向的というのが最大のポイント。こうして見ていると、真似から始まってやがてはオリジナルを越えてしまうという日本の文化の特徴が垣間見えて面白い。

 

 なかなかにインパクトのある展示が多かった。とにかく明治時代の芸術作品には真剣さが伝わってくるのが多い。この辺りが昨今の人生からの逃げとしてアーティストを名乗っている連中とは違う。

 

 

黒田記念館を覗く

 ここまで来たついでに隣の黒田記念館ものぞいていくことにする。ここは今までとにかく開館日が少ないので訪れることが出来なかったところだ。最近になってようやく週末に開館するようになったのである。

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黒田記念館

 内部は落ち着いた洋館で、そこに「知・感・情」とか「湖畔」などの黒田のお馴染みの作品が展示してある。展示数は少ないが、そもそも入館料が無料なので妥当なところだろう。黒田の作品はこうして部屋にさりげなく掛かっているのが似合うような気がする。

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上野公園の桜

 これで上野地区での予定は終了。桜満開の上野公園を後にして次の目的地に向かうことにする。ビジネス戦士に休養はないのである。

 

 

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