徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

東京地区美術館巡り後半戦

 これでようやく上野での予定は終了である。午前中一杯を上野に費やしたことになる。さてここから移動だが、次の目的地は東京。昨夜も通った上野東京ラインを経由して東京駅へ。目的地は東京駅の東にあるブリジストン美術館。ここはビルの建て替えのためにもうすぐ長期休館に入るとのこと。その前にコレクションの展示を行っている。

「ベスト・オブ・ザ・ベスト」ブリジストン美術館で5/17まで

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 ブリジストン美術館のコレクションから代表作を一堂に展示。

 この美術館のコレクションは、印象派から始まって現代に至るまでの西洋絵画と日本洋画を含むのが特徴だが、マネ、モネ、ルノワールといった超メジャーどころから、最近に特別展を開催したカイユボットなどのややマイナーなところまで実に多彩である。

 こうして改めて眺めてみると、非常にコレクションのレベルが高いということを確認させられる。モネやルノワールなどに優品が多い。やはり日本を代表するコレクションであり、特に印象派以降の作品だと、東のブリジストン、西のひろしま美術館というところである。

 

 数年単位の休館になるというから、その間のコレクションはどうなるんだろうか。ブリジストンはここ以外にも九州に石橋美術館があるから、そちらで展示か。それともどこかにコレクションを貸し出したりするんだろうか。関西地区でブリジストン美術館展なんてやったら、結構客が来そうに思う。

 

 ブリジストン美術館の次は国立新美術館に立ち寄るつもりなのだが、地下鉄に乗ろうと思うと丸の内線の東京駅はJR東京駅の西側なのでかなり歩く羽目になる。どうも東京というところは何かの度にやたらに歩かされる。とにかく街の設計が滅茶苦茶だということが来る度に感じられるのである。

 国会議事堂前で乗り換え、乃木坂で降りると美術館へ。最早通い慣れたる道になってきた感があるが、とにかく乃木坂という駅はアクセスがあまり良くないのが困りものである。千代田線はどうにも乗り換えの便が悪いので使いにくい。東京から直行できないし、渋谷からも直行できない。南千住から直行するなら北千住で乗り換えるのが一番近道ではあるのだが、とにかくどのルートでも途中の駅で上がったり降りたりの大移動を強いられるのである。

 

 

「マグリット展」国立新美術館で6/29まで

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 シュルレアリスムを代表する画家の一人、マグリットの作品を展示。

 マグリットの不思議絵画の特徴は、そこにあり得ない物を持ってくることや、イメージの多重性などにあるが、これらの画風が確立するまでには結構長い時間がかかっていたということを今回初めて知った。

 今まで何かの度にマグリットの作品を目にする機会はあったのだが、このようにマグリットの作品ばかりを集めて一堂に目にするのは初めて。こうして見ると同じモチーフの使い回しとか、別の作品の習作のように思える作品とか、発想の過程が見えてきてなかなかに面白い。

 

 展覧会鑑賞を終えて乃木坂駅に戻ろうとしたら、券売所の前が大行列になっているのに驚いた。来た時には全く行列はなかったのだが・・・。現在、ルーブル展と同時開催なのでタイミングによっては混雑するみたいだ。ちなみに両展のセット券なんてのも販売していた。両方見るなら少しだけお安くなりますというチケットである。

 マグリット展を見学した後は渋谷に移動する。それにしても以前から渋谷はとにかく分かりにくいところだが、東急の駅が新しくなってからさらに混乱に拍車がかかっている。安藤忠雄などという実用建築を全く作れない建築家(彼は基本的に動線設計なんて高度な技術は全く知らない)に設計をさせたのが致命的になっている。案の定、出来上がったのは例によっての実用性を全く無視した巨大な「芸術作品」。とにかく使いにくいために駅の利用者の怨嗟の声が満ちているとか。やはり彼には非実用のモニュメントなど以外の設計を任せたら駄目である。もっともあまりの使い勝手の悪さに渋谷駅利用の乗客が減少しているというから、そのうちに利用客のいなくなった渋谷駅がモニュメント化する可能性はあるが。

 どうにかこうにか東側のバス乗り場に抜けると(駅から出るためだけにとにかく無駄に遠回りをさせられる)、ここからバスで目的地に移動する。次の目的地は山種美術館。久しぶりの訪問だが、移転してから確実に観客が増えている。しかしそれに比してコインロッカーが少ない。荷物を背負って回るのも疲れたから置いていきたかったのだが、ロッカーに空きがない。そこでロッカーが空いていない旨を受付に伝えると「大きな荷物は預かれるが、鞄などは預かれないのでロッカーが空くのを待ってくれ」とのこと。いつ空くやら分からないロッカーをこんなところで待てと言うのか? 今まで各地の美術館を回ったが、こんなアホな対応をしたところは初めてである。かなりムカッと来たが、こんなところでいつまでも待っているわけにも行かないので、荷物を背負ったまま入館することにする。

 

 

「花と鳥の万華鏡」山種美術館で4/12まで

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 花鳥画と言えば美人画などと並んで日本画の大きなジャンルの一つだが、山種美術館所蔵の花鳥画の名品を展示。鳥の専門家のような上村松篁の作品や、獣の栖鳳の同じく鳥の絵、また御舟の花など各人の得意とする作品を見ることが出来る。

 私は個人的には松篁の鳥の絵は前からなぜかあまり面白く感じない。それよりは栖鳳の生々しい獣の方が面白く感じるのである。

 

 あまりにアレな対応だったので後でネットで調べてみると、この美術館に対する不満の声は出るわ出るわ。「受付の態度が悪い」「ロッカーが少ない」「トイレが致命的に少ない」「展示室、特に第二展示室が異常に狭い」などなど。私自身概ね同意なのがなんとも。どうでもいいような弱小美術館でなく、日本を代表する日本画の殿堂なのだから余計に目立つんだろう。これが日本の施設でなくて中国の施設なら、これで当たり前の対応になるんだろうが。

 

 

渋谷で家系ラーメン

 山種美術館を後にすると、今日最後の美術館に立ち寄ることになるが、その前に少し腹ごしらえをしておくことに。軽くラーメンでも食べようかと、入店したのはBUNKAMURA裏手の「横浜家系ラーメン道玄家」。注文したのは家系ラーメンの大盛り。

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渋谷のラーメン屋

 とんこつ醤油ベースのこってりしたスープにかなり太い麺。私が今まで体験したラーメンの中でこの麺は最も太い。それだけにかなり食いごたえのある麺。ここまで太い麺だと、結構こってり目のスープでないと絡まない。このラーメンに無料でライスが付いてくるのだから、ボリュームはかなりのもの。若者なら喜ぶだろうが、私にとっては天敵の炭水化物の塊。これはそもそも入店する店を間違えた。まあラーメン自体は東京の店にしてはうまい方だと思うが。

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豚骨醤油ベース

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当然のように極細麺

 軽く食べるつもりがかなりガッツリと食べることになってしまった。少々腹が重いが、そのまま向かいのBUNKAMURAに入館する。

 

 

「ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美」BUNKAMURAで6/28まで

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 ボッティチェリが活躍したのが、メディチ家の元で商業で大繁栄したフィレンツェ。花の都とも称された絢爛たる文化を誇ったのであるが、そのフィレンツェの繁栄を伝える品々とボッティチェリの絵画を併せて展示する。

 ボッティチェリの作品の展示もあるのだが、どちらかと言えばフィレンツェの紹介の部分が多かったように感じられた展覧会。絢爛たるフィレンツェ黄金時代から、メディチ家がフィレンツェを追放されてサヴォナローラの宗教反動時代になってボッティチェリが急速に輝きを失う頃までが展示されており、ネタ的には昨年末に東京都美術館で開催された「ウフィツィ美術館展」とかなり被る部分もあったが、本展はより世俗に力点を置いていた印象である。

 

 

紀の善でくず餅を

 これで今日の予定は終了。とにかく疲れた。南千住に戻るために地下鉄銀座線で移動。上野駅で日比谷線に乗り換えようと思っていたのだが、思いついたことがあり溜池山王で途中下車する。進路変更、ここで南北線に乗り換えて目指すは飯田橋。

 疲れたのでやはり甘物が欲しくなった。飯田橋までやってきたのは当然のように「紀の善」に立ち寄るため。例によって待ち客がいる状態だが、もう今日の予定は終わっているので腹をくくって順番待ち。ちなみに私が東京で並んでまで立ち寄るのはこの店ぐらい(そもそも並んでまで何かを食べるという習性が私にはない)。10分ぐらい待ってようやく席に着ける。例によっての「抹茶ババロア」は夜のお楽しみに持ち帰るとして、今は「くず餅」を注文することにする。

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飯田橋の紀の善

 きな粉と黒蜜のかかったくず餅が心地よい。これぞ本物のくず餅。とにかく私はこの店でくず餅というものに対する認識を変えさせられたのである。

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いわゆる東京型のくず餅だがこれもあり

 ガツガツとくず餅を頂くと、抹茶ババロアをお持ち帰り。店での滞在時間は10分もなかったのでは。まあ店からすると、オッサン一人でぷらっと来てガツガツと食べるとさっさ出て行くって妙な客ではあるだろうな・・・。しかしそもそも我が家には喫茶店でくつろぐという習慣がないのである。

 飯田橋からはJRで戻ることにする。上野駅で乗り換えなので駅ナカで夕食の牛肉弁当を買って帰る。まだ時間が早いので残念ながら定価購入。

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この日の夕食のすき焼き弁当に

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夜のおやつの抹茶ババロア

 この夜はこの牛肉弁当と抹茶ババロアを頂いてマッタリと過ごすのであった。ちなみにこの日はあちこちと歩き回ったのが効いて、一日で2万4千歩越え。足にかなりのダメージが来ているので入浴でしっかりとほぐしておく。それでも夜に就寝中に足がつりそうになることも。

 

 

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