徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

大分に移動して、新規オープンした県立美術館を見学する

今日も元気だ朝飯が美味い

 今朝は午前7時過ぎまで爆睡していた。どうも疲れが半端でないようだ。とりあえず朝風呂で目を覚ますと、8時から朝食。朝食メニューは素朴な和食だが、これが実にうまい。

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素朴な和食膳が美味い

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川魚の塩焼き

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湯葉をすくって頂くようになっている

 都会の喧噪を離れてのんびり過ごすには良い宿であったが、いつまでものんびりし続けているわけにもいかない。次の予定が待っている。朝食後にしばしマッタリとしてからのチェックアウトは9時。今日の予定は大分の美術館に立ち寄るだけなのでまだ結構ゆったりとしている。今回の遠征は無理をせずにスケジュールをかなり緩めに組んである。

 

 

山間を抜けて大分へ

 龍門の滝から山道を東進する。この辺りはかなり険しい山が続くところ。

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途中の風景はこんな感じです

 山道を抜けると九重ICから大分自動車道に乗る。大分自動車道も車は比較的多い。今日は湯布院なんかは大混雑だろうなということが頭を過ぎる。連休の湯布院の宿はじゃらんなんかで確保するのはほとんど無理であり、GWなんかはそもそも最初から予約不可になっている場合が多い。もっともGWの湯布院なんて価格相場が高すぎてとても泊まれるものではないが。由布院と黒川温泉はもう私のような貧民には遠い地になっている。

 大分には1時間程度で到着する。まずは最近オープンした大分県立美術館を訪問する。大分駅前まで来ると案内看板が出ているので、それに従って美術館向かいの総合文化センターの地下駐車場に車を置く。

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県立美術館

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向かいの総合文化センターから見た県立美術館

 ところでこの建物、私は初めて訪れたはずなのだが、なぜか以前に来たことがあるような気がする。なぜかと考えていたら、愛知県芸術センターにそっくりなことに気づく。地下に駐車場があってホールなども備えた複合文化施設。しかも吹き抜け構造などのデザインもよく似ている。いわゆる典型的な今時のハコモノ建物のようだ。

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この吹き抜け構造が愛知県芸術センターを連想させたようだ

 県立美術館へはここの二階から陸橋で道路を超えた向かい。吹き抜けとガラス張りを多用したいかにも「今時」の建物。さてチケットを購入と思ったらチケット売場には長蛇の列。まさかこんなところまで混雑とは・・・。まあオープンしたてだし、物珍しさというのが大半なんだろう。

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陸橋で向かいの建物に

 

 

「モダン百花繚乱「大分世界美術館」-大分が世界に出会う、世界が大分に驚く「傑作名品200選」」大分県立美術館で7/20

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 いわゆる開館記念展。各地の美術館のコレクションなどから「モダン」をキーワードにした作品を集めている。

 テーマがテーマだけに冒頭から登場するのはモンドリアンやカンディンスキーのモダンな抽象絵画。これにさらにピカソの作品やウォーホルのポップアートなどが続く。

 中盤以降は一転して河合寛次郎やバーナード・リーチなどの民芸派にウィリアム・モリスの室内装飾などが登場、これも当時としては「モダン」ということか。この辺りの展示になると私にも非常に興味の持てるものになる。

 終盤は唐突に若冲や等伯の作品、さらには大観の日本画なども登場する。これと同じような感性という意味でか現代の作品も合わせて展示されているのだが、こうして並べると感性が同じと言うよりは大幅に見劣りし、しかも具合が悪いことにそのことが若冲や大観の名品の足まで引っ張っている。この部分は私的には展示の失敗に見えた。

 

 うーん、今来ている客は野次馬客が大半だと思うのだが、そういう客にあえてモダンアートをぶつけるか? これだと「やっぱりアートはよく分からん」と次回から来なくなるのがオチでは。私ならオープン記念は「エジプト、浮世絵、印象派」といった定番どころを持ってくるところだが。とにかくお祭りブームの間に普段は美術館なんかには来ない客に「美術館って意外と面白いじゃん」と思わせることが大事だと思うのだが、今回の展示を面白いと思う者がどれだけいるか。いきなりわけの分からん現代アートばかり並べた冒頭で、完全につかみに失敗しているように思われた。意味不明の独善的アート作品の羅列に、冷笑を浮かべている観客が少なからず見受けられた。私の見たところでは「高い金だけ取られて絵の具を叩きつけているのを見せられた」となってしまうような気がしてならない。もっとも子供の中には「こんな作品を作って芸術家になれるなら自分もなれる」と思う者もいるかもしれないが、それは芸術家育成と言うよりは、単なるニート予備軍育成にしかならない気がするし。

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とにかく空間の広い美術館

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天井が高い

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蒸泄展示室のフロアには中庭が

 特別展よりはむしろ田能村竹田などの作品が中心の所蔵品展の方が面白かったというのが本音。現代的感性によって作られた竹細工作品などなかなかに興味深かった。また具象を極めた挙げ句に抽象画のようになってしまった福田平八郎なども面白い。そもそも特別展は各地の美術館の収蔵品の寄せ集めなので、見たことのある作品もかなり多かったし。

 県立美術館の次は市立美術館を訪問。ここは先ほどの美術館と違って車でないと行きにくい場所にある。

 

 

「大分発アヴァンギャルド 芸術都市の水脈~田能村竹田からネオ・ダダまで~」大分市立美術館で7/5まで

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 大分市立美術館の所蔵品の中から代表的な物を集めて展示している。絵画では田能村竹田や高山辰雄など地域にゆかりのある画家の作品など。田能村竹田の明瞭で精細な絵画が目を惹くが、高山辰雄の初期の「らしくない」作品なども意外に面白い。

 後半はネオ・ダダなどのいわゆるアバンギャルドになるので、こうなると私にはどうでも良くなってくるのは致し方ない。展示の仕方に変化を加えるなど工夫しているのは覗えたが、肝心の作品自体が私には魅力がない。

 

 ちなみにダダイズムは社会には一定の影響を与えており、それが反映された怪獣がウルトラセブンにも登場している。今となってはダダイズムよりもむしろそちらの方が有名であるかも知れない。

     
ダダといえばこいつである
  
こんなグッズまであるぐらい人気の模様

 

 

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