長野で昼食とクールダウン
長野に到着するとロッカーにキャリーを置いて美術館に向かうことにする。久しぶりの長野。しかし相変わらず夏の長野は灼熱地獄である。とりあえずバスで美術館に向かおうと考えるが、ちょうど到着した善光寺方面行きバスは大門止まりのもの。そこで予定を変更して昼食を先に済ませることにする。立ち寄ったのは大門のバス停の真ん前にある「八風堂」。例によって「山家定食おこわ大盛り」を注文する。
この岩魚を頭から頂くのがよい。またここの栗ご飯はさすが。これを堪能するとさらに栗氷を注文して体のクールダウン。
やはりクールダウンにはかき氷が一番。さらに栗鹿の子の甘みが体に染みる。かき氷としてはかなり甘いかき氷になるんだが、これがいいんだよな。これで今回の遠征の主目的は達成・・・じゃなかった。
昼食を済ませると歩いて美術館へ向かう。距離は大したことがないのだが、とにかく灼熱地獄がひどい。美術館に到着した時には、折角氷でクールダウンした体が再び汗だくになってしまっている。
「ドラッカーコレクション 珠玉の水墨画」長野県信濃美術館で8/23まで
マネージメントの専門家として知られるドラッカーだが、彼はかなりの日本マニアでもあり、日本美術を蒐集していた。そのドラッカーによるコレクションの展示。
最初に彼が興味を持ったのが室町時代の水墨画とのことなので、雪舟系の作品が最初期のコレクションとなる。そこから徐々にコレクションを広げていったようだが、書斎に飾れる作品というのが基本のようで、掛け軸などの小品が多い。
外国人コレクターによくあるパターンだが、名前にこだわらずに自身の美意識に沿ってコレクションを拡充していったように思われる。なかなかに渋いコレクションである。
「日展三山-東山魁夷、杉山寧、高山辰雄-」東山魁夷館で9/1まで
日展で活躍した三人の画家についての作品を集めた展覧会。
当館所蔵以外の東山の作品が数点展示されていたのが一番の収穫。杉山、高山の作品についてはやはりどこかで見たことがある作品が多かった。
長野新幹線で東京へ
美術館の見学後はバスで長野駅まで戻ってくる。時間が想定よりも早かったので、東京行きの新幹線を早い便に振り替えようとみどりの窓口に行ったが、次に出る便は満席の模様。仕方ないので予約していた新幹線の発車時刻までそばでも頂きながら待つ。
東京行きのかがやきは乗車率8割というところ。途中駅で停車するはくたかの方が乗客が多いんだろうか。かがやきは東京まで突っ走るが、私は途中でウトウト。目を覚ました時には高崎を過ぎていた。今日は関東地方で竜巻に警戒とテレビで言っていたが、途中で巨大な積乱雲と雷を目撃した。あの真下では局地的豪雨が起こっているだろう。関東平野はこういうことが多い。
東京に到着したのは6時前。さてこれからどうするかだが、まだホテルに直行するのは早いが、もう美術館は大抵閉まっている。そこでミューザ川崎に立ち寄ることにする。ミューザ川崎には明日から三日間通うことになるが、今日は昭和音楽大学のコンサートが行われているはずである。アマオケなので事前の予定には入れていなかったが、状況によっては当日券で参加しようと考えていた。これは明日からのミューザ通いの下調べの意味もある。
川崎へは東海道線で3駅で意外に近い。ミューザ川崎は駅から陸橋伝いですぐである。入場してみるとなかなか大きなホールで天井も高い。ちなみに東日本大震災ではこの天井が崩落して修理に数年掛かることになったと言うが、よくも公演中でなかったものだ。もし公演中なら死傷者がいくら出たか想像できない。まさか同じ事故を再び起こすとは思わないが、それでも地震になればパニックになる客も出そう。「当館は耐震構造になっていますので、その場で案内を待ってください」と放送したところで、果たして観客がそれを信用するか。私もとりあえず座席の下に潜り込むぐらいはするだろう。
特徴的なのは客席の配置で、ステージを中心に螺旋状に座席が高くなって行っている。三階席までは完全につながっており、他と分離しているのは四階席だけである。一階席が少なく、通常のホールなら一階席の位置に二階席がある。ステージはすり鉢の底で、オーストラリアなどの露天掘り炭坑の底にステージがあるようなイメージ。なおこの座席配置のため、三階席はステージからかなりの高さがあるにも関わらず、高所恐怖症の私にも全く恐怖感を抱かせないので落ち着いて聴けるメリットがある。
昭和音楽大学 壮大なロシアの音楽に親しむ
指揮:齊藤一郎
ピアノ:加藤大樹
ムソルグスキー:禿山の一夜(原典版)
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」
昭和音楽大学のオケはなかなかがんばってるなという印象。一曲目の禿げ山の一夜はややグダクダした印象の演奏になってしまっていたが、そもそもこの原典版自身が元々グダグタした曲なので仕方ない部分もある。一般に知られているリムスキー=コルサコフ編曲版に比べると曲自体にメリハリがない。
二曲目はピアノソロが加わったことでグッと曲が引き締まった。加藤大樹のピアノはかなり雄弁に謳わせる演奏。甘いことで知られるラフマニノフの二番を、さらに甘ったるく艶っぽく演奏する。なかなかのテクニシャンである。
最後の展覧会の絵はラヴェルの極彩色のオーケストレーションが冴えまくる曲なのだが、管楽器のソロパートが多くなるので危なさも出やすい曲だ。しかし「よく練習してきたな」という印象で、各ソロ演奏がなかなかに頑張っている。特にトランペットの女性には感心。なかなかに見事な演奏を決めていた。
アマオケなので演奏にはほとんど期待せずに、ホールを見に行くつもりで出向いたのだが、予想を超える熱演を聴かせてもらった。1000円でこれだけのものを聴ければ上々である。
それにしてもリムスキー=コルサコフやラヴェルはオーケストレーションの天才と言われているが、シェエラザードや展覧会の絵をライブで聴くとそのことをつくづく感じさせられる。とにかくオケの音を知り尽くしていて、それを計算した上で最大限効果的に極彩色のサウンドを響かせるようになっている。本当に名人芸だ。
一日中走り回ってとにかく疲れたが、これで今日の予定は終了。宿泊先の南千住まで移動することにする。途中の上野駅で乗り換えの間に今半の牛肉弁当を3割引で購入してこれが今日の夕食。
宿泊先は例によってのホテルNEO東京である。さて明日からは三日連続でミューザ通い&都内の美術館駆けずり回りのハードスケジュールが待っている。とにかく体力の回復が必要だ。それにしても今日は長い一日だった。ライブまであったせいで、金沢訪問がはるか昔の出来事のような気がしている。今朝まで金沢にいたという実感はない。
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