徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

美術展を挟んで日フィルと東大オケのダブルヘッダー

ミューザに到着

 前日に下調べをしてあったこともあり、ミューザにはスムーズに到着する。それにしても座席構成に特徴のあるホールである。

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ステージはすり鉢の底

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これが地震で落下した天井か

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客席はらせん状である

 実は最初期の計画では今日はまる一日を美術館巡回に当てるつもりだった。ただよくよく考えていると、灼熱地獄の中をまる一日美術館のために駆けずり回るのは体力が続かないのではと思い至ったことから、予定を変更して昼はライブに参加することに決め、今日の日フィルのチケットを入手したのである。日フィルは以前に一度演奏会に参加しており、その時の日フィルの演奏は非常に冴えないという印象を抱いていたので、今回は日フィルはもうよいだろうと思っていた。しかしよくよく思い返すと前回の演奏会は西本智美指揮のもので、あれはオケが悪いのではなくて指揮者に問題があるのではという疑問に行き当たったので、一度確認をしておく必要があるだろうと考えたのである。今回は小林研一郎指揮とのことなので、好き嫌いはともかくとしてオケと指揮者の意志疎通には問題はないだろう(コバケンと日フィルのつきあいは長いと聞いている)。日フィルの真の実力は今回のライブで判断できるだろうと考えた次第。

 

 

日本フィルハーモニー交響楽団 世界音楽紀行③北欧ノルウェー~フィンランド

指揮:小林研一郎
ピアノ:上原彩子

グリーグ:ピアノ協奏曲
シベリウス:交響曲第2番

 やはり弦の音がプロとアマでは全く違うと感じた。アンサンブルの精度は高いし、金管もシッカリしている。コバケンの指揮はかなり細かい指定が多そうだが、オケはその指示にしっかりとついて行っている。ここでやはり前回のライブは指揮者に問題があったのだということがハッキリと確定する。

 一曲目のピアノの上原彩子はかなり表情の豊かな演奏。おかげでグリーグがラフマニノフのように聞こえる。ただ私の好みから言えば、明らかに表情過多。グリーグはもっと北欧の厳しさをたたえた淡々としたぐらいの演奏でよいと考える。ただこの演奏が彼女の本来の演奏かどうかは若干疑問。どうもコバケンの演奏に合わせたようにも感じられた。

 二曲目はこれがコバケン節炸裂というものか。テンポ指定、強弱指定などがかなり芝居がかっている。よく言えば表情豊かな感情のこもった演奏だが、悪く言えば下品。感情の込め方が西洋音楽と言うよりは演歌である。これは好き嫌いが明らかに分かれそうだ。私の場合は嫌いとまでは言わないが、やはりやや胃がもたれるというところ。

 コバケンは爆演型と聞いていたが、どうやら爆演と言うよりも演歌というのが正解だったようだ。アンコールはユーモレスクでコンサートを終えたが、これも事前にかなり解説が付くというコバケンらしい展開。なお以前にコバケン指揮大フィルの演奏を聴いたときには今一つパッとしない印象だったが、あれは大フィルがコバケンの手兵ではないため、意志疎通が中途半端で指示が不徹底だったのではないかと思われる。

 

 休憩時間にホールのあちこちを偵察したが、それにしてもここはなかなか良いホールである。ただ三階席は怖くないが、さすがに四階席になると怖かった。なおこのホール、一つだけ難点は段差が多い上に構造が複雑だから高齢者に優しくないところ。実際に終演後に「ここのホールは何回来ても分からなくて迷う」とこぼしている高齢者を見かけた。チケットに入口ドア番号まで指定してある理由もよく分かる。

 さてコンサート終了後も予定は目白押しである。まずは渋谷に移動する。ここで展覧会午後の部である。

 

 

「エリック・サティとその時代展」BUNKAMURAで8/30まで

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 作曲家であるサティが活躍したのは19世紀末から20世紀にかけて。多くの芸術家とも交流のあった彼の人脈を中心に、この時代のフランスの雰囲気を伝えようという展覧会のようである。

 ただこの手のテーマの展覧会となると、主題が曖昧になるのが常。本展でもこの時代のフランスに関係ある美術品をズラズラと並べているだけで、雰囲気は伝わっては来るのだがそこからもう一歩の踏み込みはない。おかげで展覧会自体の印象が極めて希薄。

 

 

予定を変更して東京芸術劇場へ向かう

 展覧会の見学を終えたが、疲労のせいでかなり見方が雑になってきているのを否定できない。予定ではこの後2箇所立ち寄るつもりだったが、果たしてこの状態で意味があるか。これは予定を組み直すべきではと考えたところで思い付いたことがあった。そう言えば東京芸術劇場で東大オケのコンサートがあったはずである。実は当初予定では今日は一日美術館にかけずり回ってから、その後に夜にこれを聴きに行くつもりであった。しかし諸々を考えていたら「どうせ聴きに行くならアマオケよりもプロオケの方が良かろう」と最終的にミューザの日フィルに行くことにしたのである。しかしここに至って、朦朧状態で美術館を回るよりは東大オケのライブの方がまだ良いとの結論に達した。

 会場の東京芸術劇場のある池袋へは渋谷からすぐ。東京芸術劇場は池袋駅のすぐ北隣にある。初めての池袋なので出口で迷って遠回りになったが、難なく到着できる。かなり大きな建物でコンサートホールは5階にある。当日券を購入すると二階席へ。

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池袋の東京芸術劇場

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長いエスカレーターで5階へ

 このホールは三階席まであるかなり巨大なホールである。雰囲気としてはNHKホールに近い。ただNHKホールは残響が限りなく0に近いのに対し、ここのホールは残響はあるのだがそれにややクセがある。正直なところクラシック用ホールと言うよりも演劇ホールというのが本分のようにも感じられる。

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かなり巨大なホールである

 

 

東京大学音楽部管弦楽団 サマーコンサート2015 

指揮 三石精一

モーツァルト/歌劇『魔笛』序曲 
R.シュトラウス/交響詩『ドン・ファン』
ブラームス/交響曲第2番

 アマチュアにしてはよく練習して頑張っているというところか。管楽器がところどころヘロッたり、弦のアンサンブルがグチャッとなるのは仕方ないか。ただそれが致命的なレベルには達していないことを良しとするべきだろう。

 小編成の一曲目が終わってフル編成で二曲目が始まったときに驚いた。一体何人チェロがいるんだ? チェロの人数が10人を越えていてヴィオラよりも多い。またバイオリンが全部で30人以上いる。アマオケだから編成の少々の偏りは仕方ないが、これだとさすがに管がしんどいだろう。実際に全体のバランスはかなり微妙。そう言えば以前に東大オケのHPを見た時に管楽器奏者を募集していたが、それも納得。

 

 プロオケの演奏を聴いた後ではどうしても粗が目につくが、それでもまあ楽しめるなかなかに良いコンサートだった。それしても疲れた。とりあえず夕食をどこかで摂ってからホテルに戻ろうと考える。気分としては肉を食いたいが、その一方であまりコッテリしたものはしんどくもある。結局立ち寄ったのは東武百貨店の飲食店街の「青葉」塩タンの定食を頂く。可もなく不可もなくというところか。それにしてもなぜか東京で牛タンを食べることが多い気がする。

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東武百貨店の「青葉」

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塩タンの定食

 さすがに今日はハードすぎた。クタクタになってホテルに戻ったが何をする気力もないまま「ジュラシックパーク」の後半を見るでもなくボケーッと眺めているだけ。しかし気力を振り絞ってなんとか入浴を済ませると、そのままダウンしてしまったのである。

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