徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

「暁斎展」など東京の美術展を巡って、さらに横浜にまで足を伸ばす

ハードな美術館巡りが続く

 翌朝は7時半に起床するが体がグッタリと重い。今日は元気があれば幕張メッセの「メガ恐竜展」を訪問するつもりだったが、とてもそんな元気はなさそうだ。そこでメガ恐竜展は明日に時間の余裕があれば立ち寄ることにして、今日は残った美術館を掃討していくことにする。

 とりあえず遠い目的地から攻略していくのが正解だろうと、最初に向かったのは両国の江戸東京博物館。ここは駅からすぐのはずなのだが、なぜか微妙に遠く感じるのはなぜだろう。やはり建物が非常識に馬鹿デカイせいか。

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どうにも距離感が狂う江戸東京博物館の巨大な建物

 

 

「徳川の城~天守と御殿」江戸東京博物館で9/27まで

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 大阪の豊臣方との対立の関係もあり、安土桃山時代末から江戸時代初期にかけて多くの城が家康主導の天下普請で建設されている。これらの城郭の図面や復元図等を展示。

 豊臣時代の城郭は黒壁のものが一般的だったのだが、徳川氏は漆喰による白壁のものを中心にして時代を改めている。また権威を示すためもあって巨大な天守を建造した城郭も多い。

 展示内容は極めてマニアック。江戸城の復元CGなどは一般にも分かりやすいが、さすがに古図面を並べても相当のマニア以外はさして興味も湧かないのでは。私も一番興味がでたのは幕末の江戸城の写真。

 

 展覧会見学後は「茶ら良」で朝食に蒸し鶏とゴボウのうどんを頂く。奇妙なうどんではあるが悪くない。

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変わったうどんだが、結構美味い

 朝食を済ませて一息ついたところでまた東京に戻る。次の美術館はこれも駅から微妙な距離があるところ。ただ美術館的には本展が実はこの遠征の第一目的である。

 

 

「画鬼暁斎 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル」三菱一号館美術館で9/6まで

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 建築家として知られるジョサイア・コンドルだが、河鍋暁斎に弟子入りして日本画の制作も行っていたことが知られている。本展では暁斎の鯉の絵を元にした彼の作品があるが、そのタッチはなかなかにして立派なものである。ちなみに彼は暁英という雅号までもらっており、彼が暁斎について海外で紹介したことにより、暁斎は海外では北斎に並んで知られる画家にまでなった(その一方で日本ではほぼ忘れられていたのだが)。

 本展では暁斎の幅広い画業が紹介されているが、狩野派に学んだ伝統的な絵画から、山水画、さらに風刺画に有名な怪物画、さらには果ては春画まで、暁斎のとてつもなく幅広い画業を紹介している。ただいずれにも共通しているのは、とてつもない技量を持ちながらサラッと描いていることである。底が知れぬとはまさに彼のためにあるような言葉であり、今回も圧倒されっぱなしであった。

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巨大化け猫の絵

 それにしても暁斎の幅の広さを感じさせられた展覧会であった。このあまりの幅の広さが暁斎像を不鮮明にして、最近までしばし忘れられてしまう原因になったとの解説があったが、確かにその通りかも。私がこの画家に注目しだしたのもつい数年前からで、京都で大規模な暁斎展があったのはその後である。ようやく時代が私に追いついてきた・・・なんていうご大層なものではないが。

 三菱一号館の次は新橋に移動。ここも駅から決して遠くはないのだが、疲れ切っている時には結構嫌な距離がある。

 

 

「アール・ヌーヴォーのガラス展」パナソニック汐留ミュージアムで9/6まで

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 この手のガラス展となれば、大抵はガレから始まり、ラリックへとつながっていくというのがパターンであるが、本展ではまずガレ以前から始まってガレへとつながり、ガレの同時代の別の工房の作品などを紹介し、ドーム兄弟周辺につながって終わっている。つまりはアール・ヌーヴォーからアール・デコにつながる流れでなく、表題通りのアール・ヌーヴォーに限った作品の展示となっている。

 植物などをモチーフとしたアール・ヌーヴォーは、装飾的でありゴテゴテしている。本展の展示品もそういった過剰装飾気味の作品が多数である。中には華麗を通り越して悪趣味の一歩手前のものもある。私はガレは嫌いではないのだが、さすがにこの手の作品が大量に集まるといささか胃にもたれる感がある。

 

 新橋に戻ると東海道線で川崎を通り越して横浜まで移動する。今日は横浜の美術館にも用事がある。みなとみらい駅に到着するとなぜか巨大ピカチューがお出迎え。最近は妖怪ウォッチに押されて存在感が薄くなっていたピカチューだが、まだまだ現役アピールか。

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みなとみらいではなぜか巨大ピカチュー

 

 

「蔡國強展:帰去来」横浜美術館で10/18まで

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 中国出身の現代アートの旗手の一人、蔡國強の展覧会。彼は中国の文化・歴史などを背景にして作品を作っているとのことなのだが、私が個人的に最も中国的だと感じたのは彼がやたらに火薬が好きなところである。本展では館内のホールに彼が火薬を使って描いた大作が掲げられている。

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 自然などをモチーフにした彼の作品は理解の範疇を超えるというものではなく、その感性については納得できる部分もある。もっともそれが作品として面白いか言えば別になる。

 なお大作が多いために館内に展示されているのは数点。おかげで10数分でサクッと見学を終えてしまった。そういう意味ではCPの悪い展覧会ではある。

 

 これでとりあえず美術館午前の部は終了。ライブまでにとりあえず昼食を摂っておきたいところ。時間に余裕があれば横浜中華街にでもと思っていたのだが、残念ながらそこまでの時間はない。この周辺で食べるにしてもあまり良い店を知らない。そこでいっそのこと川崎まで行ってから考えるとことにする。

 確かホールの一階に飲食店があったはずだとのぞいてみたが、あるのはサイゼリアにリンガーハット、スシローに牛角と言った入る気の起きないチェーン店ばかり。サイゼリアに行列が出来ているという末世的状況である。そこでホールの建物から離れてラゾーナ川崎をのぞくことにする。4階の飲食店街に行くがどこも一杯の上に暑さにあたられたのか食べるものを考えるのが面倒臭い。そこでたまたま待ち客がいなかった「かつくら」に入店。とんかつ定食を頂くことにする。そう言えば以前に横浜に来た時もかつくらに入ったような。なんでわざわざ関東で京都のとんかつ屋に入る羽目になるんだろう。

 昼食を終えるとホールに移動する。今日は東京シティフィルによる真夏の第九である。

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