徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

備中松山城奥の大松山城を攻略する

朝は美味な和食で

 翌朝は7時まで爆睡。ただ布団が少々硬かったのか、肩などがいささか痛い。目が覚めるととりあえず入浴。朝からお湯で体をほぐす。これはなかなかに気持ちよい。

 朝食はレストランで和定食。オーソドックスだがホッとする内容。ここは結構料理が当たりだったな。

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朝食はホッとする美味な和食

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鮭にヨーグルトってのが和モダンか?

 ホテルをチェックアウトしたのは9時頃。宿泊料に土産物を合わせ技で1万5千円分のチケットを使用。天候が心配だったのだが今のところは晴天だ。さて今日の予定だが、備中高梁まで赴くつもり。今回の遠征は当初は山城は予定に入れていなかったのだが、備中高梁まで行くなら備中松山城の奥にある大松山城を見学したいと考えている。永らく山城とご無沙汰していたので、リハビリにちょうど良いか。

 

 

備中松山城へ

 高梁の市街に到着すると案内に従って松山城の駐車場まで車で進む。上の駐車場は狭い上にそこまでの道路がすれ違い困難なほどに狭隘であることから、土日はここで車を置いてシャトルバスで上に登ることになる。ちなみに私が以前にここを訪れた時は、駅前の観光案内所から乗り合いタクシーで上の駐車場まで移動した。シャトルバスの乗り場は駐車場の隣にあり、ここでバスのチケットを購入すると共にお茶や土産物も購入できるし、トイレもここにある。かなり本格的に観光整備されている。

 まもなくシャトルバスが到着するが車内はすぐに満員になる。どうもここのところお城ブームが来ているのを肌で感じる。ちなみに備中松山城のキャッチコピーも「天空の城」。何やら日本中がラピュタだらけだ。

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シャトルバスで到着

 上の駐車場までバスで登ると、そこから備中松山城までは15分ほどの登り。以前に来た時の記憶だと「そこそこしんどいが、そう大したこともない」行程だったはずなのだが、現在はしばし山城とご無沙汰になっていたせいで体力が極限まで低下している。以前のつもりで登っていたらあっという間に息切れがして、ついにはゲーゲー言い始める情けない状態。今回の大松山城はリハビリのつもりだったのだが、これはリハビリのためのリハビリが必要なのではないかという惨状。

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備中松山城及び大松山城マップ

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中隊湖櫓跡

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小松山城虎口

 それでも備中松山城の立派な石垣が見えてくると気分は盛り上がる。以前の訪問時には木の根のせいで石垣が崩落寸前になっていた箇所があったのだが、今回見てみると工事の跡があり、どうやら木の根は除去した模様である。やはりこういう定期的な整備をしていないと山城はすぐに朽ち果てる。

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虎口を抜ける

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石垣の連続

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いくつもの門の跡を抜ける

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天守が見えてくる

 ヘロヘロになりながらもようやく備中松山城本丸に到着。ゾロゾロといる観光客は全員天守閣の方に向かうが、私は天守閣に向かわずに裏手に回り込む。大松山城はここからが本番である。

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備中松山城天守

 

 

備中松山城の裏手に回り込む

 備中松山城が近世城郭なら、その裏手にある大松山城はそれ以前の中世城郭である。かつてはこちらの方が本城であったのだが、近世になってより手前に拠点を移したことになる。現在の備中松山城は、元々は小松山城と呼ばれていた部分だとか。この小松山城の近世城郭としての整備にはかの小堀遠州が関わっているという。

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本丸の脇をすり抜ける

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搦め手門跡

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本丸裏手に出る

 松山城の本丸を回り込んで搦め手門よりさらに奥に進むと、大松山城を示す案内看板がある。それに従って進むとかなり降りていくことになる。堀切を木橋(案内には土橋とある)で渡ったところから先が大松山城の領域になっていく。手前の松山城が大勢の観光客でごった返しているのに対し、こちらに向かう者はどうやら私しかいないようである。

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案内標識にしたがって進む

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かなり降りていくことに

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堀切を橋で渡る

 橋を渡ってから細かな石垣がある中を登っていくと広い削平地に出る。これが相畑らしい。用途はよく分からないが、大松山城の手前を守る曲輪だろうか。

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さらに奥に進むと

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斜面を登っていくことになる

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細かい石垣があちこちにある

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この削平地が相畑

 

 

手前の天神之丸を見学する

 ここからさらに登ると天神之丸と本丸方面への分岐に当たる。とりあえず天神之丸に立ち寄る。ここは大松山城手前の独立峰で、これだけでも小規模な城郭を作れる構造になっている。また中央には祠らしきものが建っていた跡がある。ここは松山城の裏手を守る要地でもある。かつて松山城に籠もる三村氏が毛利氏の攻撃を受けて落城した際、最初に落城したのがこの天神之丸とのことである。

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分岐に突き当たる

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ここを登る

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ひたすら登っていくと

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天神之丸

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祠のあった跡がある

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そこそこの広さの曲輪である

 

 

いよいよ大松山城へ

 再び戻ってくると大松山城本丸を目指す。大松山城は一番奥に位置しており、小松山、天神之丸、大松山とかつてはこの尾根上に一大要塞を築いていたことが覗える。大松山城は本丸の奥に二の丸、三の丸と並んでおり、全体であわせるとそれなりの面積の曲輪となっている。周辺は断崖であり、これは守るには格好の地形だったろう。また井戸もあり水の確保も出来たようだ。

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構造図

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先ほどの分岐を左の方に進んでいく

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どんどんと進んでいくと

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ようやく大松山城

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奥の高くなっている部分が本丸

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井戸

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井戸の中

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ここが本丸

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向かいの二の丸

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堀切を隔てた先には三の丸が

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三の丸の先には数段の曲輪が

 以前に備中松山城を見学した際には、かなり小規模な山城という印象を抱いたが、こうやって大松山城まで含めて考えると尾根上に展開する大要塞であり、構造としては浅井氏の小谷城に近いものがある。この辺りを押さえる実力者にはふさわしい城郭ということになる。

 大松山城の見学を終えると戻ってくる。本丸の脇に大池なる貯水池があるとのことなので帰りに立ち寄ろうと考えていたが、疲労でボンヤリしていたせいで忘れて通り過ぎてしまった。戻ろうかとも思ったが、疲労がかなりキツイのと、空模様がやや怪しくなってきたことから今日はこれでやめにしておく。

 駐車場のところまで降りてくると、多くの観光客がシャトルバスの到着を待っている。しばらく後にようやくバスが到着。バスは満員で立ち客もいる状態で下の駐車場に向かう。

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駐車場まで降りて来た

 これで長年の宿題も解決である。ただいささか疲れた。久しぶりの山城の上に結構距離と起伏もあったのでかなり体にダメージもある。これは後でツケが来そう。

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