とりあえず駿河匠宿で昼食を摂る
丸子城から降りてくると駿河匠宿で昼食を摂っておくことにする。「たくみ亭」に入店して名物というとろろ汁のある「丸子(1500円税込)」膳を頂く。良くも悪くも観光地レストランという印象だが、とろろ汁は悪くない。
宇津ノ谷を見学する
丸子城の次は宇津ノ谷を訪問することにする。旧東海道沿いの集落で丸子宿と岡部宿の中間に当たり、厳しい峠越えの前後で旅人が休憩を取った集落だとか。現在は町並み保存に力を入れているとのこと。
近くの道の駅の駐車場に車を置くと徒歩で見学に向かう。かつては街道の街だったが、今では国道はトンネルで横を通過しており、今ではメインストリートから外れた寂れた集落という趣。集落内は木造の懐かしい造りの家が多く、往時のような看板を掲げてはいるが、今日では商売を行っている家はほとんどなさそうである。地元では町並み保存に力を入れているらしいので、それが功を奏して集落の活性化につながると良いが。
集落を抜けた奥に明治時代のトンネルが残っている。今では登録有形文化財となっているこのトンネルは、今では車は通行止めで観光客が通過するのみ。と言ってもこれを抜けた先には特に何もない。薄暗いレンガのトンネルは一種の不気味さも感じさせるスポットとなっている。
宇津ノ谷の見学を終えると静岡県立美術に立ち寄ろう考えて国道1号を突っ走る。しかし到着した美術館では何かのイベントでもあったのか駐車場が大混雑。最寄りの駐車場どころかかなり手前の図書館との共有駐車場にも空きが全くない状態で、駐車場の空きを求めてウロウロしている車も多数。これは今日は美術館に立ち寄ることを断念するしかないと判断する。
梅ヶ島温泉まで長駆する
美術館の見学を諦めると今晩の宿に直行することにした。今日宿泊するのは静岡の北の山中にある梅ヶ島温泉。当初は静岡市内で宿泊することを考えていたが、それでは面白くないと山中の秘湯に立ち寄ることにした次第。静岡から移動すること30キロほどだが、これがところどころすれ違い困難箇所もある難儀な道路。しかも驚いたことにこの道を路線バスが走っている。1時間弱ほどの運転だが、とにかく疲れるし神経がすり減る。
予約を取っていたのは「よしとみ荘」。梅ヶ島温泉の入口に当たる宿である。ポイントは価格とお一人様宿泊が可能だったこと。また「じびえ料理」という言葉にも惹かれた。
悪路を無事に通り抜けてようやく宿に到着したのは3時過ぎ。すぐに風呂に入りたいところだが、その前に一カ所立ち寄りたいところがある。この近くに安倍の大馬鹿・・・じゃなかった、安倍の大滝という滝があるとのこと。ただし通常のルートは大雨で吊り橋が落ちてアクセス不能になっているという(2021年時点での注:現在は正規ルートが復旧したとのこと)。そこで上の林道から降りていくルートでアクセスしようと考えた次第。旅館の人に降り口の場所を聞くが、かなり危険な山道なのでお勧めはしないとのこと。滑ったらただで済まないような道らしい。しかしそういうところをあくまで自己責任で進むのは今まで何度も行ってきたところ。とりあえず実行あるのみ。
安倍の大滝にアタックするが・・・
梅ヶ島温泉街を抜けて先に進むと道はさらに細くなり、傾斜もきつくなった上に路面もかなり荒れたものになっていく。この道路は本来は山梨まで抜けていたらしいが、今は途中が閉鎖されたまま放置されている。それでも安倍の大たわけ・・・じゃなかった、大滝のところまでは行けるらしい。このひどい路面をしばし進んでいくと確かに安倍の大滝の表示があり、目印のロープが張ってある。この辺りは道幅が広くなっているので道路脇に車を置いて下に降りてみることにする。
いかにも急整備な印象のある山道であるが、今まであちこちで進んできた登城路に比べると極端に悪い道というわけではない。ただ道幅が狭い上に斜面はかなりキツイので、万一足を滑らせるとただで済まないのは明らかであり、これは地元としては大っぴらには推奨はできないわけである(大っぴらに推奨したら、事故が起こった時に責任問題が発生する恐れがある)。ただ晴天である限りは足下に問題はないが、もし雨が降ってきたらまずいことになるのも明らかである。
しかし大分下まで降りてきたところで状況が悪化してきた。それまでも若干怪しげだった空模様がいよいよ薄暗さを増し、今にも雨が降りそうなものに変わってきた上に、遠くから雷の音まで聞こえてきたのである。単独行の場合の大原則はとにかく安全マージンを十分に確保しておくこと。怪しきは進まずである。結局は一番下まで降りきらずに、滝が近くに見えたところで引き返してきた。そもそも私は「石橋を叩くだけで渡らない」と言われているぐらいの慎重派である。なお時間に追われながらあわてて引き返すこの帰りの行程がかなり大変であったことは言うまでもない。上がりきった時には息も上がっている上に足下はガクガクとなっていた。丸子城からのダメージの蓄積で完全に限界が来てしまったようだ。
最高の湯を堪能してから、ジビエ料理を楽しむ
とりあえず宿まで戻ってくると、入浴して汗を流すことにする。風呂は二人程度が入れる小さな浴槽が二つ、内風呂と露天風呂になっている。泉質はアルカリ性の単純硫黄泉とのことだが、硫化水素や硫酸イオンの含有量が多い。浴室内には硫黄の匂いがこもり、湯は肌に当たるとかなり強くヌルヌルとする濃厚な湯。ここまで強烈な湯は以前に寸又峡温泉で経験して以来である。やはり静岡北部の山中の秘湯は侮れない。ここまではるばるやって来た価値があったというものである。ここはかなり上質な湯でゆったりと疲れを抜いたのである。
風呂から上がると夕食時までマッタリと過ごす。夕食はジビエ料理であるが、鹿のタタキやイノシシの角煮などが非常にうまい。なかなかに期待通りの食事であった。やはり改めて思う「日本人よ、もっと鹿を喰え」。
食後にもう一度入浴すると部屋でマッタリ。しかしこうなるとする事がなく暇になる。何しろ近くのコンビニまで車で1時間近くはかかる秘湯である。出かけるような所はどこもない。そこでipadに落としてきた「ヒロイックエイジ」を鑑賞。鬱アニメの代表にもされている「蒼穹のファフナー」のスタッフが精神的均衡を図るために作ったと言われている作品で、「追い込まれた人類」いう設定は同じなのだが、無双で脳天気な主人公のキャラもあってストーリーに微塵も影がない。意外と面白いので気がつけば12時過ぎまで見入ってしまっていた。
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