やはりカプセルホテルで熟睡は難しい
翌朝は7時半頃に起床のつもりだったが、それよりも早い時間に回りのカプセルがドタバタガタガタ始めたので目が覚めてしまう。それでも意地でも7時半まではカプセルの中で横になっている。
7時半になって活動開始。ゴソゴソとカプセルから出たところ、ほとんど全員出払っている。みなさん活動がお早いようで。とりあえず朝風呂で目を覚ますとレストランで朝食。カプセルホテルの朝食ということで全く期待していなかったが、予想に反して存外まとも。少なくともこの前のスーパーホテルよりは数段立派。
あまり早く出かけても仕方ないので、9時頃までは再びカプセルでゴロゴロとすごし、チェックアウトしたのは9時半過ぎ。ふと見ると「都路里」は10時開店なのにもう既に開店待ちの客が。こりゃ駄目だ。
今日の最初の目的地は京都市美術館。祇園からバスで移動する。今はまだ朝の早めの時間のせいか、途中で何カ所か引っかかったもののバスは概ね順調に走行する。
「フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち-世界劇場の女性-」京都市美術館で1/5まで
フェルメールとレンブラントというように銘打っているが、実のところは彼らの作品は一点ずつ。しかもフェルメールの作品の方は今ひとつパッとしない作品で、有名な「青いターバンの少女」のような強烈なオーラは感じられない。こういう作品を見ているとやはりフェルメールはただ一人傑出した画家というわけではなく、あくまであの時代のオランダ絵画の流れの中の一人だということが痛感される。
一方のレンブラントの方であるが、これはたった一点にもかかわらず、これが完全に他から群を抜いていて明らかに目を惹く作品。実のところ私はこの作品がレンブラントの作品だということを知らずに「すごい作品があるな」と感じて、作者を確認したらレンブラントだったという次第。
オランダ絵画のまさに黄金時代に当たる作品を概観できる展覧会。実際のところ、上記の二人以外にもかなり目を惹く作品は多々ある。精密絵画系が嫌いでないなら一見の価値はある展覧会である。
京都市美術館の見学を終えると、向かいの京都国立近代美術館へ。ちなみに先ほどの半券を持参すると入館料が団体料金に割引される。
「琳派イメージ展」京都国立美術館で11/23まで
琳派は400年前に確立したスタイルであるが、今日に至るまで多くの芸術家に影響を与えている。そのような琳派の影響を受けた絵画、工芸、版画、ファッション、グラフィック等多彩な分野の作品を紹介。
紹介される作品は実に多彩であるが、これが琳派かと言われると微妙な作品もないではない。ただその中で最も私の印象に残ったのは加山又造の大作屏風絵。確かに琳派的な装飾スタイルを受け継ぎながら、強烈な彼らしさが炸裂した作品。
これ以外では工芸系の作品に意外と面白いものがあり。尾形乾山を思わせるような作品から、いかにも近代陶芸作品まで多彩。
次の目的地へ移動する前に、美術館内の「cafe de 505」でトマトソースのパスタを昼食として頂くことにする。悪くはないのだが、私の好みからするとトマトソースがやや酸っぱすぎか。
昼食を終えると次の目的地へ。どこにするか迷ったが、バスで京都国立博物館に行くことにする。しかしこのバスが途中で渋滞に捕まって進まない。結局はかなりの時間を浪費することになる。
ようやく到着した博物館は大勢の観客で満員である。残念ながら美術品鑑賞の条件としては最悪に近い。
「琳派 京を彩る」京都国立博物館で11/8まで
他の美術館が「琳派の現代」という視点の展示が多いのに対し、本展は真っ向から正統派で、琳派の祖である俵屋宗達から、それを受け継いで琳派スタイルを確立した尾形光琳、さらにそれらの伝統を受け継ぎながら独自の展開を図った酒井抱一などの琳派の歴史を追った展示である。
一番の展示の目玉は宗達、光琳、抱一の風神雷神図屏風の揃い踏み・・・のはずだったのだが、残念ながらこれが実現するのは後期展示の模様。私の訪問時には抱一は別の作品の展示であった。宗達の力強い風神雷神に対し、光琳のものはより明快で装飾的になっており、ある意味で最も琳派らしい印象を受けた。
またやはり面白かったのは工芸作品。やはり琳派は工芸装飾と極めて相性が良い。なかなかに唸らせられるような作品が多かったのである。
鑑賞を終えて表に出ると、謎の灰色の虎キャラが闊歩していた。何だと思えば、光琳の「竹虎図」を元にした本展の公式キャラ・トラりんだそうな。今時は何でもありだな・・・。ちなみに私が何かキャラをデザインするとしたら、円山応挙の「虎図」をモチーフにして・・・駄目だ、これだとトラりんでなくてネコりんになってしまう。
博物館を出た時にはもう時間的に大分余裕がなくなっていた。これは直接にホールに向かった方が良さそうだ。まずは京都駅まで移動だが、ここからバスに乗る気も起こらず、キャリーを引っ張りながら京都駅まで早足で移動することにする。距離的にはそう大したこともないのだが、キャリーを引いての移動は意外としんどい。
京都駅からは地下鉄でホールに向かう。ホールに到着した時には開演30分前であった。
小林研一郎× 京都市交響楽団supported by ゼロホーム
指揮/小林研一郎
Pf/小林亜矢乃
管弦楽/京都市交響楽団
チャイコフスキー :エフゲニー・オネーギン~ポロネーズ
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
チャイコフスキー:交響曲第4番
一曲目はややゴチャゴチャした印象の演奏になってしまっていた。
ラフマニノフはピアノの小林亜矢乃がなかなかの熱演。力強い演奏である。彼女は指揮者のコバケンの長女とのことだが、さすがに呼吸を心得ているようだ。
最後はコバケン節が炸裂のチャイコの4番。例によっていろいろと歌わせてくるが、やはり基本が演歌である。ラストは超アップテンポの怒濤のフィナーレで盛り上げる。もっともやや俗な演奏とも言える。
これで本遠征の全日程は終了、地下鉄でJR京都に戻るとそこから新快速で家路に・・・のはずだったのだが、何と今日の強風で架線に飛来物がからんだとのことで現在は快速と新快速が休止中、いつ京都駅にやってくるか分からない状態とのこと。延々とホームで待つのもしんどくさいし、どうせ列車がやって来ても息も出来ないぐらいの満員になるのは見えているし(既にホームは人であふれかえっている)、諦めて新幹線で帰宅することにする。全く無駄な出費だ・・・。
結局はコンサートを2日間で梯子しつつ、琳派一色に染まっている京都の美術館を回ってきたというのが今回の遠征。なおカプセルホテルについては、意外と使えるなという印象。ただ運が悪ければ熟睡とはいけない危険性がある。実際に今回も近隣のいびきのせいで夜中の三時に一度中途覚醒しており、朝もやや疲労感が残っている状態であった。さすがに連泊だったらキツいだろうな。