徒然草枕

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白鷺館アニメ棟

東京地域の美術館掃討戦(兵馬俑、モネ、シスレー、印象派)

今日はひたすら美術館巡り

 今朝は8時頃まで横になっていたが、昨晩の寝付きが異常に悪かったせいで体に疲れが残っている。とは言っても今日は予定が目白押しである。メインイベントは午後6時からサントリーホールで開催されるチェコフィルのコンサートだが、その前に様々な美術館を回る予定になっている。

 まずはホームグランドの上野から。朝食を上野の駅ナカで済ませると、上野駅内のチケット売場で国立博物館の「兵馬俑展」と東京都美術館の「モネ展」の入場券を購入しておく。現地の窓口で購入しようとすると結構待たされることを経験的に把握しているためである。

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朝食は上野のエキナカで摂る

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朝からとり天

 チケットは購入したが問題はどちらから行くかである。意外とこれを間違うと無駄な時間がかかってしまうことがあるのも経験則。ネームバリューから行くと「モネ展」の方が混みそうだが、兵馬俑のネームバリューも侮れない上に、とにかくなぜか混むことが多いのが国立博物館である。結局は国立博物館を先に訪問することにする。私が現地に到着したのは開館の15分ほど前だが、既に入場待ちの行列が200人弱。やはり予想通りチケットをこちらで購入していたら出遅れるところであった。開館時には私の後ろにも200人程度の行列が出来た状態になる。

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既に開場待ち行列が

 

 

「始皇帝と大兵馬俑」東京国立博物館で2/21まで

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 展示は主に前半と後半に分かれており、前半は秦帝国にまつわる品々。秦が周辺国の文化などを取り込みつつ中国を統一する大帝国へと発展していく過程の技術進歩がその品々から垣間見られる。初期には文化レベルは明らかに中華の辺境国に過ぎなかったのだが、有力な周辺国を取り込んでいくことで急激に技術レベルと洗練の度が向上していく。特に青銅器文明が発展していた巴蜀を手に入れたことが大きかったように思われる。

 後半がいよいよ兵馬俑に関する展示。復元されたものを含めて、数種の兵馬俑が展示されて現地の雰囲気を伝える構成となっている。間近で見るとその造形の精密さには驚かされるばかり。またこの巨大な像を焼き物で作るというのもかなり高度な技術が必要であることが推測され、さすがに中国の技術は侮れない。

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複製された兵馬俑

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一人一人顔が違う

 兵馬俑展を終えると東京都美術館に向かう。幸いにして表に行列はなくスムーズに入場できたが、問題は入場してから。会場内が人混みでごった返していてゆっくりと絵画を鑑賞するというような雰囲気でない。

 

 

「マルモッタン・モネ美術館所蔵 モネ展」東京都美術館で12/13まで

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 マルモッタン美術館に収蔵されているモネの作品を展示。序盤はモネの周辺の人物に関する肖像画などが展示されており、終盤にはモネの末期の作品が大量に展示されているのが本展の特徴。

 モネの最晩期の作品は、既に事物は形態をほぼ失いかけており、わずかに光だけが残っている状態で、抽象画の先駆けとなったものと評価されている。とは言うものの、私に言わせると晩年に目を悪くしたモネがろくに見えてなかっただけではないかという気もしてならないのであるが。

 モネ展については今までいろいろな場で何回も訪れているが、本展については会場のコンディションが最悪に近いこともあるだろうが、あまり印象に残るような作品はなかったのが正直なところ。もっとも印象的だったのは、やはり本展の目玉であるサン=ラザール駅の風景を描いた作品か。蒸気の表現に関してはさすがであった。

 

 最晩期の作品が多かったために、私としては今一つ魅力に欠ける展覧会であった。場内が混雑しすぎていてゆっくりと見る気にもなれなったせいもあり、結局は20分足らずで会場を出てきてしまった。うーん、これは予定外。

 

 

一服してから練馬まで長駆

 何かいきなりかなり疲れてしまった。あまり甘物は禁止されている身だが、こういう時にはパフェが食いたくなる。美術館のカフェに立ち寄って抹茶パフェを頂く。

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カフェで抹茶パフェで一服

 人心地ついたところで次の予定だが、次は練馬区美術館まで長駆することにする。山手線で池袋まで移動すると、そこから西武で中村橋まで。ここの美術館に来るのは2回目か。

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中村橋駅

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なぜか「アニメは発祥の地」の看板

 

 

「アルフレッド・シスレー展 -印象派、空と水辺の風景画家-」練馬区立美術館で11/15まで

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 もっとも印象派らしい画家と言われる一方で、段々と先鋭化してくる印象派の中で最後まで旧態依然として進化しなかった画家と貶められることもあるなど、必ずしも評価が定まっているとは言えないシスレーの展覧会。

 国内に所蔵されているシスレーの作品を一堂に集めたのが前半で、後半にはこれらの作品の舞台にもなったセーヌ川の河川水運や治水について紹介するという奇妙な構成になった展覧会である。個人的にはセーヌ川の云々はどうでも良いのだが(と言いつつも「はあ、なるほどね」とかなり勉強になったのは事実だが)、前半のシスレー作品の一堂展示はなかなかに見応えあった。確かに彼の作品を見ていると、終始一貫「光を描く」という印象派の初期理念に忠実であったことが感じられる。また彼は風景を非常に忠実に写しているようで、作品の舞台となった場所が容易に確認できるらしい。

 「進化がない」との評もあると言うが、果たして何をもって進化と言うべきか。少なくともその進化が先ほどの展覧会でモネが晩期に見せたような方向なのなら、私にとってはシスレーの頑なさの方がよほど好ましいものに見えて仕方ないのであるが。

 

 

昼食は練馬で頂くことに

 美術館の見学を終えた時には既に昼を回っている。これから新宿方面に移動するつもりだが、あの辺りはとにかく高いだけでろくでもない飲食店が多い。昼食をこの辺りで済ませておいた方が賢明だろう判断して、昼食を摂る店を駅前で探すことにする。先ほどパフェをガッツリ食べているので、あまりガッツリとした昼食だとカロリー的に問題がある。結局はそばを頂くことにする。「辰巳庵」なるそば屋を見つけたので入店。「鴨南蛮そば(1000円)」を頂く。

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駅前の「辰巳庵」

 そばはなかなかうまい。出汁の味付けも的確。鶏で誤魔化さずにキチンと鴨を使っているのは評価できる。CPがイマイチの気もするが、東京という異常な場所の事情を考えると許容範囲内か。普通においしい町のそば屋というところ。

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鴨南蛮そば

 昼食を終えると新宿まで移動。合併その他でやたらに長い名前になったこの美術館だが、今まで何度も訪問している馴染みのところでもある。

 

 

「もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20′s Paris」損保ジャパン日本興亜美術館で11/8まで

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 印象派のスタイルを受け継ぎながら、サロンなどを活躍の場として選んだカリエール、アマン=ジャン、シダネルなどの一団の画家たちの作品を展示。

 印象派は登場当時は権威に反した異端という位置づけなったのだが、それがやがて主流派になっていった課程で登場した画家たちの作品ということになる。当の印象派自体は後期印象派からさらに現代絵画につながって先鋭化していくのであるが、その過程で印象派の原点である「光を描く」という目的はどうでも良くなっていったような感がある。それに対して彼らの作品はむしろ原点に忠実であるように感じられた。結果としてその作品は私の目には好ましいものとして映るのである。

 

 かなり疲れてきたが、今日の予定はまだまだ山積みである。次は渋谷へ移動する

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