徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

オスモ・ヴァンスカ指揮の読響を聴きに大阪へ

2泊3日で京阪コンサートツアー

 この週末は京阪地区のコンサートをはしごする事と相成った。まず最初は土曜日に開催される読響の大阪公演。開演は夕方の5時からなので、その前に美術館を回ることにする。

 天王寺に到着したところでまずは昼食。立ち寄ったのはいつもの「プチグリル マルヨシ」。今回は「ビフカツ定食(1380円)」を注文。やはり関西人にはカツと言えばビフカツというのは常識である。

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プチグリルマルヨシのビフカツ

 昼食を終えると、今回の宿泊ホテルであるスーパーホテル大阪・天王寺に立ち寄ると荷物を預けておく。それにしても昨今の大阪・京都地域でのホテルの高騰ぶりは常軌を逸している。今回の宿泊料も、私の感覚で言えば「スーパーホテルでこの価格はあり得ない」という額だが、ほかに選択肢がなかったので妥協した次第。物価の高騰は安倍式大馬鹿経済学で言うと景気が回復しているということになるらしい。しかし物価を煽っても賃金は抑制する方向(ついには労働基準法の廃止さえもくろんでいる)だから、庶民の生活は貧困化する一方で、回り回って経済も好転するはずもない。ただ物価が上がれば良いんだったら、歌舞伎町のボッタクリバーを景気回復に貢献していると表彰でもすれば良いのである。日本の経営者の質の低下が著しいが、それは経団連の姿勢に露骨に現れていて、四半期先のほんの目先の利益のことしか考えないので回り回って自らの首を絞めるような政策を簡単に要望する。日本の経済が低迷している根本原因はここにある。

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スーパーホテル大阪・天王寺

 ホテルに荷物を預けて身軽になると再び天王寺駅に戻る。まずはハルカス美術館に立ち寄ることにする。

 

 

「春信一番! 写楽二番! フィラデルフィア美術館浮世絵名品展」あべのハルカス美術館で12/6まで

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 フィラデルフィア美術館が所蔵する浮世絵コレクションを展示。浮世絵黎明期の単色版から始まり、錦絵が確立する時期の鈴木春信、さらに浮世絵全盛期と言える時期の鳥居清長、喜多川歌麿の美人画、さらに葛飾北斎、歌川広重の風景版画、そして東洲斎写楽の大首絵など、浮世絵の歴史を追える内容となっている。

 浮世絵と一口に言っても作者によって描き方に特徴があるのがよく分かる。妙に中性的な春信に対し、女性を美しく描くことに力を入れた歌麿、さらに独特の八頭身美人を描いた清長。さらには圧倒的な描写力の北斎に、斬新な視点をも駆使した広重、独創性では群を抜いていた写楽などまさに百家争鳴である。

 またアメリカのマニアのコレクションの例外に漏れず、いずれの作品も保存状態がかなり良好であることも特徴。往時の色彩に近い状態で楽しめるので、見たことのある絵でも印象が異なる場合がある。これはなかなかに見応えあり。

 

 ハルカス美術館の見学を終えると地下鉄谷町線で次の目的地へ移動。ここに来るのは久しぶりである。NHK大阪放送局と隣接した博物館である。

 

 

「唐画もん-武禅にろう苑、若冲も」大阪歴史博物館で12/13まで

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 中国絵画の流れを汲んだ絵画が唐画。その唐画の絵師である武禅にろう苑、さらに同時代に活躍した奇想の絵師・若冲の作品などを中心に展示。

 唐画の特徴としてはとにかく精緻な描き込みがあることのようだが、画の雰囲気はかなり硬質であるのでその辺りが所謂円山派や狩野派などの絵画と異なる。武禅の作品などからは特にその雰囲気が感じられた。ただ正直なところ私の好みとは若干ズレる。

 個人的には若冲の「乗興舟」を見ることが出来たのが一番の収穫。白黒反転した画面の中で圧倒的な静けさを感じさせる風景が独特の魅力を醸し出していた。まあとにかく何でもありの画家である。

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謎の記念写真コーナー

 さてそろそろ開演時間が近づいてきた。地下鉄とJRを乗り継いでザ・シンフォニーホールへ向かう。さてここに来るのは今年で何十回目であろうか。

 今回はS席とは言うもののチケットを取ったのがかなり遅かったので、一階の最後列の「本当にここでS席?」と言いたくなる席。読響は人気なのか場内はほぼ満席。多分チケットは完売だろう。定期演奏会がガラガラのセンチュリーなんかから見たらかなりうらやましいだろう状況である。

 

 

読売日本交響楽団 第12回 大阪定期演奏会

[指揮]オスモ・ヴァンスカ
[ピアノ]リーズ・ドゥ・ラ・サール
[管弦楽]読売日本交響楽団

シベリウス:交響詩「フィンランディア」
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番
シベリウス:交響曲 第2番

 最初のフィンランディアはかなり激しいいわゆる「爆演」で始まった。ただヴァンスカが振ると読響が北欧のオケのような音色を出すのは驚いた。

 ラフマニノフのピアノ協奏曲のソリストのラ・サールのピアノについては、以前にPACでラフマニノフの3番を聴いた時には「力強いが、それを通り越していささか乱暴」という印象を受けたのだが、今回は相変わらず力強さはあるがやや慎重な演奏に思われた。バックと合わせるのに苦労してどことなく探り探り演奏している印象で、やや抑えめでいたように感じられた。

 ヴァンスカの交響曲第2番はかなりの熱演である。とにかくダイナミックで、第一楽章はかなり高速に突っ走ると、第二楽章は逆にかなりのスローテンポでの演奏といった超メリハリ演奏。ただこのスローテンポ演奏は金管には厳しいようで、たまに金管がヘロる場面が見られたし、時々チューバが全体のバランスを崩すぐらいの爆音で鳴るのは気になった。ヴァンスカの指揮は、同じ楽章の中でも突然に極端にテンポや強弱を変えてくる。トップギアとローギアの差だけでなく、フォルテッシモとピアニシッモの差も極端に大きく、特にピアニッシモはとことん音量を絞ってくる。それにキチンと追随している読響(特に弦)にはさすがと感心した。ただ全体的にかなりクセの強い演奏であり、好みは分かれるところだと思う。私について言えば、正直なところあまり好みでない。

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アンコールは定番曲

 このコンサートはテレビ放送があるとのことで、ステージにカメラが数台持ち込まれていた。ただこうなると目立ちたがりが現れるもので、フラブラも飛び出せば、「ブラボー」ならぬ「ナイス」という妙な掛け声まで。こんなところでしか目立ちようがないのか?

 

 

天王寺で夕食を摂ってからホテルへ

 天王寺まで戻ると夕食もMIOで済ませることにする。どこで夕食を摂るかと店を物色した結果、「四六時中」に入店することにする。注文したのは「牡蠣三昧御膳」

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MIOの「四六時中」

 牡蠣についてはまあこんなものというところか。産地でないのだからあまり多くを望んでは贅沢だろう。ただ今年はどうも牡蠣が小ぶりな気がする。まあまだシーズンの早めだからという可能性もあるが。

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牡蠣三昧御膳

 夕食後はホテルに戻り急いで入浴。ここはナトリウム-炭酸水素塩の温泉大浴場があるものの男女入れ替え制で、9時を過ぎると次は11時になってしまう。はっきり言って不便極まりない。その割りには宿泊料が高い。

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部屋はシンプルなビジネスホテル部屋

 入浴後はしばしマッタリするものの疲れがひどい。早めに寝ることにする。

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