徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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2015年度クラシックライブベスト3

 2015年度のクラシックコンサートの中でのベスト及びワーストです。100人いれば100の感性があり100のベスト選定があると思いますので、異論反論のある方もあるでしょうがご容赦を。

 なおあくまで私が体験したコンサートの中からの選定ですので、網羅性はありません。特に東京にだけ来日したオケなんてのはわざわざ聴きに行けない場合が大半ですので・・・。

 

 

ベストライブ

第3位
ベルナルト・ハイティンク指揮 ロンドン交響楽団

 やはり圧巻だったブルックナーの分厚い響きが印象的。第一音を聞いた途端に背中がゾワゾワとなったのは今でも覚えている。私のブルックナーに対する「長ったらしくて退屈な曲」という思いこみさえ破壊した名演。

第2位
オッコ・カム指揮 フィンランドラハティ交響楽団

 「これがシベリウスだ」と言わんばかりの密度の濃い演奏。ラハティ響は決して巧みなオケという印象ではなかったのだが、技量を超えた次元の感動があった。またチクルスの後半になってくるほど集中力が上がって曲の雰囲気も変わってきたのも圧巻。しかし個人的には一番凄かったのは最終日のアンコール最終曲のフィンランディア。ここでこれを持ってくるのは見え見えの演出などと思いつつも、あまりの熱い演奏に興奮のあまり拍手しながら立ち上がってしまったのだが、同様の観客が多数いて気がつけば場内総立ちという状態になっていた。あんな経験は初めて。

第1位
ヴァレリー・ポリャンスキー指揮 ロシア国立交響楽団

 チャィコの456という無理ゲー三連発で「どうせまともな演奏にならないだろう」と冷やかし半分で聴きに行ったのだが、最初の第4番のテンションから完全に飲まれてしまった上に、曲が進むにつれてさらにテンションが上がっていくのに唖然。最後の悲愴になると場内の観客の全員が完全に雰囲気に飲まれて息を呑んでいるのがビンビンと伝わってきた。演奏終了後にはあれだけフライング拍手が出まくるザ・シンフォニーホールで観客全員が凍り付いてしまったという激レア体験。ここまで凄いチャイコを聴いたのは初めて。

 

 

ワーストライブ

 これは「なぜこのライブがワーストなんだ!」という文句なんかも結構ありそうだが、あくまで私の個人的趣味による「期待はずれ」度の高いライブをあげる。

第3位
ワレリー・ゲルギエフ指揮 ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団

 辻井のピアノとしっくり行っていない印象の「皇帝」の平板な演奏もイマイチだったが、今一つぬるさを感じた「悲愴」も私にはしっくりこなかった。もっともこれについては上のポリャンスキーの超ハイテンション演奏が頭に焼き付いてしまっているので、それの影響を受けて実際以上に悪い評価を下している可能性は否定できない。

第2位
クリトスフ・エッシェンバッハ指揮 ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

 特別にどこかが決定的に難があるというわけではないが、どこにも特別な魅力を感じなかったという印象の薄い演奏。私の方が「天下のウィーンフィル」ということで過大な期待を抱きすぎていたので、それを肩透かしされたというのが実態だが。

第1位
グスターボ・ヒメノ指揮 ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

 ユジャ・ワンのピアノは良かったのだが、ヒメノの指揮が一体どういう音楽を表現したいのかが全く伝わってこなかった。オケの方の技量は抜群なだけに余計にその悲しさが増した。指揮者の重要性というものを改めて認識させた演奏会。なおこの時も曲目は「悲愴」なので上のゲルギエフ同様にポリャンスキーの記憶が響いている可能性はあるが、ゲルギエフの演奏と比べてもさらに数段ぬるかった。

総評

 総じて今年はロシア・チェコ・北欧のオケが大豊作で、ドイツのオケがハズレという年だった。もっともこれは私の嗜好が反映したものでもあろう(私は洗練された演奏よりも野趣に満ちた演奏の方が向いているようだ)。来年はアメリカ・フランスなどのオケも来日するらしいからどうなるか。もっとも私がこれらのオケのライブに参加できるかどうかは分からないが(主に金銭的理由で)。なお来年はドイツの帝王たるベルリンフィルも来日するが、これについては既にチケット争奪戦における敗北が早々と決定してしまっている。 

 なおベスト・ワースト共に海外オケばかりなってしまったが、これは海外オケの方が最初からの期待値が高い分、評価が両極端になりやすいことが影響している。

 国内オケに限ってベスト・ワーストを挙げると、ベストは都響、京響(アクセルロッドの「シェエラザード」、高関のブラームス1番など)、大フィル(メルクルの幻想交響曲)、東京交響楽団(秋山の「復活」)など。ワーストについてはN響、日フィル(西本のチャイコ)、大阪交響楽団など。ワーストトップにN響がくるのもこれは期待値の裏返し。純粋なオケの技量なら明らかに中部フィルや岡山フィルなどの方が遙かに低いが、これらのオケは最初から期待値を低めに設定しているので、ライブ自体は満足して終えている。

 

 

2016年度ベストライブはこちら

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