高越山城を攻略
腹ごしらえをしたところで次の山城に向かう。次は高越山城。高越山城は鎌倉時代末に蒙古襲来に備えて幕府が宇都宮貞綱に作らせた城郭だという。戦国時代には伊勢氏がここを居城にしており、ここの出身である伊勢新九郎盛時が後の北条早雲であるという。後の関東の覇者たる北条氏の礎を築いた北条早雲が、関東から遠い岡山の出身とは実に意外な気がする。
美星町から南下するとゴルフ場を突っ切って山中を進む。途中で案内が出ている分岐があるので、そこを南下すれば高越山城の広い駐車場がある。高越山は花見公園として整備されている模様で、駐車場も大きいし道路も通りやすい。
ここを曲がる
この駐車場に車を置くと徒歩で山上を目指す。道なりに進むとたどり着くのが四の郭、一の郭はこの上であり、ここには城跡碑と北条早雲生誕の地の碑がある。
一の郭からは辺りを見渡すことが出来て風光明媚。下に見える小山には高越山城の出城があったらしい。
桜が満開の城内
この一の郭を取り巻くように先ほどの四の郭、さらに二の郭などがある。五の郭は四の郭の下にある。さらに裏手を下っていったところに三の郭があり、ここからさらに下ると登りで通った道路に突き当たる。
城跡としては取り立てての特徴はないが、公園整備されているので訪問しやすいし、風景もなかなか良くてこのシーズンには花見も出来るというので観光には良さそうである。まあ私はそもそも花見に来たのではないが。
これで今回の山城見学の予定は終了。さてこれからであるが、当初の目論見では井原市の田中美術館に立ち寄ってから岡山県立美術館に梯子するつもりだったのだが、ここまでで予定以上に時間を費やしてしまったために、これだと岡山には時間切れでたどり着けない可能性が高い。別件もあって今日中に岡山には絶対行く必要があるので、今回は田中美術館をカットすることにする。
笠岡ICから山陽道に乗ると岡山まで突っ走る。しかし例によって岡山ICを降りてからが大渋滞でかなり時間をロスすることになる。毎度のことだが岡山ダンジョンは実にたちが悪い。それにも関わらず今日まで状況の改善が全く見られないのは、岡山市の都市計画は一体どうなってるんだ?
かなり時間をロスしたが何とか岡山県立美術館に到着、駐車場に車を放り込むと展覧会の見学である。
「没後100年 宮川香山 虫明焼と明治の陶芸」岡山県立美術館で5/8まで
先に宮川香山展をサントリー美術館で見たが、岡山でもまた香山展が開催される理由は、彼が岡山の虫明焼の指導に当たったことがあるから。今日の虫明焼の基礎を築いたのは彼とも言えるとのこと。本展ではまずその草創期から現代までの虫明焼作品の展示から始まっている。これらの作品もなかなかに面白い。
後半部がいよいよ香山の作品となるのだが、これがまた圧巻。香山の名を今日まで世に知らしめている精密でリアルな高浮彫作品から、晩年の釉薬ものまで様々な作品を展示してある。高浮彫に関しては、今にも動き出しそうなリアルさと精密さに驚かされるのであるが、さらにこれを焼き物で制作しているというのが信じがたい技術である。
晩年の釉薬ものは彼の研究の成果が結実した色彩が実に見事。深みがあり透明感がある色彩には魅せられるものがあり、「宝石とは自然が作り出したものだが、人間の手によって作り出された宝石が陶磁器である」という言葉が納得させられるもの。
やはり香山の作品には終始圧倒されっぱなしだった。桁違いという言葉はこういう時に出てくるもんだろう。
展覧会の見学を終えたところで近くの岡山シンフォニーホールまで足を伸ばす。実は今日中にどうしても岡山を訪問する必要があったのは、取り置きしてもらっていたチケットを受け取る必要があったため。何とか無事にチケットをゲットすると再び美術館に戻ってくる。このまま帰っても良いのだが、少々疲れたので館内の喫茶で特別展連動メニューを頂いてくつろぐ。焼きたてのワッフルがうまいし、これと言った特徴のないコーヒーがコーヒー初心者の私にはかえって飲みやすい。
ようやく人心地ついてくつろいだところで今日の遠征の全予定は終了。家路につくことにした。しかしここに来て久しぶりの山城連チャンの疲れが襲ってきて、帰路の運転はかなりヤバいことに。やはり本格的に体力をつけていかないと・・・。