徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

東京地区美術館掃討戦2日目

強風による徐行運転で朝から散々

 翌朝は晴天だがとにかく風が強い。8時過ぎに出かけたが、体がぶっ飛ばされそうな強風。とりあえず駅周辺で朝食を摂れそうなところを探すが適当な店がないので結局はパン屋で済ます。

 朝食を済ませると東京まで移動・・・のつもりなのだが、この強風のせいで中央線が徐行運転とかでダイヤが滅茶苦茶。乗るつもりの特快は到着が散々遅れた挙げ句に快速に変更される始末。しかもダイヤが滅茶苦茶の運行本数も減少なので、車内の混み方が半端でない。ついには車内は通勤ラッシュ並に。それにしても東京という町は高ストレス都市である。こんなところで暮らしていたら人間が殺伐としてくるのも納得である。その挙げ句に町中で刃物を振り回すようなおかしな奴が出てくるというわけである。やはり東京の解体は最早待ったなしである。

 通常よりもかなり余計に時間がかかってようやく東京に到着。しかしもう既に疲れてしまったというのが本音。しかしそうも言っていられないので最初の目的地へ。

 

「川端康成コレクション 伝統とモダニズム」東京ステーションギャラリーで6/19まで

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 川端康成は美術品収集家の側面も有しており、結構様々なコレクションを集めていたという。それらのコレクションを展示している。

 川端康成個人の審美眼に基づいたコレクションだけに、内容にはかなり偏りがあるが、それでも伝統的作品から現代アートまで結構幅広い趣味があったと言うことが覗える内容になっている。もっとも中には彼が個人で蒐集したというのではなく、ノーベル賞受賞の記念に頂いたという作品もあるので、そういう作品は明らかに他とレベルが違っていたりなんてこともある。

 美術品云々と言うよりも、そこから透けて見える川端康成の人となりに焦点を合わせているのが実は本展の主題だったりする。

 

 次の目的地はここから歩いていける美術館。落ち着いたハイソな雰囲気のある美術館だが、正直なところ根っからのプロレタリアートである私には、成金ヒルズなんかとはまた違った意味で苦手な雰囲気である。

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東京にはこういう風景もある

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散策がてら歩いて移動

 

「北大路魯山人の美 和食の天才」三井記念美術館で6/26まで

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 魯山人の陶器作品を中心に展示した展覧会。以前に別の魯山人展を見学した時に感じたのだが、魯山人の器は料理を盛って完成品であり、器単独では「どこかが足りない」感が強い。また特に初期の器はまだまだモノマネ的な印象が強く、作品的には面白さが薄い。

 陶器単独で見た場合の魯山人の作品は「平凡」という印象が強く、それがいくらか解消されていくのが晩年の作品。ただそれが面白いというところまで行っているかは微妙。

 

 展覧会の見学を終えたところで、ついでにここのレストランで昼食を摂ることにする。「アサリとエンドウ豆のおこわ」があったので、これにデザートに抹茶アイスをつけて今日の昼食。

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今日の昼食

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デザート

 昼食を終えると地下鉄を乗り継いで次の目的地へ。しかしそれにしても今日は暑い。なにか外を歩いているとそれだけで体力を削がれる。

 

「安田靫彦展」東京国立近代美術館で5/15まで

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 多くの歴史画の名作で知られる日本画家・安田靫彦の展覧会。

 当初の写実的な作風から己の作風を追求して、最終的には線を活かした簡潔で余白の多い画面構成に到達するのであるが、その過程を追って観察することが出来るようになっている。

 とは言うものの、彼のこの作風はこれはこれで芸術として完結しているし、完成度も高いものと感じるのではあるが、この手の作風が私の好みかと言えばそれとは違うというのは動かしがたい事実。そういうわけで個人的には彼の作品にはあまり興味が持てなかったというのが現実なのである。

 

 私は所詮は芸術作品は自分の好き嫌いで見ているので、どうも評価が世間一般のものとズレることがある。世間的には無名でも非常に面白いと感じる作品もあれば、世間の評価が高くても全く面白いと感じられない作品もある。こればかりはどうしようもないところ。

 やはり疲労が溜まっているのか異常に体がへばっている。正直なところもうホテルに帰って寝たいというところ。しかしそう言うわけにもいかない。とりあえず後二カ所だけ回ることに決めて地下鉄とバスで次の目的地へ移動。

 

「奥村土牛-画業ひとすじ100年のあゆみ-」山種美術館で5/22まで

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 山種美術館のコレクションの中でも大きな比重を占めるという奥村土牛の作品をまとめて展示した展覧会。

 とは言うものの、やはり土牛の作品は私の好みとはややズレる。ややデッサンが狂っているのではと見える形態や、ボケて精彩を欠くように感じる色彩。どちらかと言えば明確な絵を好む私とは相容れない境地のようだ。

 

 正直なところイマイチであった。どうも私は安田靫彦とかこの手の典型的な日本画は性に合わないようだ。それにしても今日は暑い中をわざわざ出てきたのに、ここまでの展覧会は私的にはことごとくハズレである。テンション落ちるわ・・・。とりあえず最後に期待してもう一カ所。

 

 次の美術館は久しぶりの再訪。ただ以前に来た時にあまり良い印象が残っていない。その理由は駅に到着してから思い出す。ここの美術館は駅から無駄に距離がある上にその道のりが坂道。

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雰囲気の良い散策路もあるのだが

 昼食が軽かった上に今日は歩き回って既に一万歩を越えている状態なので、ここに来てガス欠で頭がフラフラしてきたので、美術館に入場するととりあえず見学の前に喫茶に立ち寄ってお茶をすることにする。

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サイダーでようやく復活

 サイダーでようやく意識が回復してきたところでいよいよ見学。

 

「没後40年 髙島野十郎展-光と闇、魂の軌跡」目黒区美術館で6/5まで

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 東京帝国大学農学部を首席で卒業後、独学で画家への道を目指して研鑽を重ねた孤高の画家・高島野十郎の展覧会。

 光と闇の追究が彼の生涯の課題であったとも言われるのだが、彼の作品は時々ギョッとさせられるぐらいにリアリティと存在感のあるものがある。影や光沢の表現にかなり高度なものを感じさせるのである。またひたすら蝋燭の炎を描き続けた一連のシリーズなどのように、非常に研究的で挑戦的な作品もあって芸術家でありながら理系的な思考を感じさせられるところがある。

 この辺りが私と嗜好が一致するのか、かなり突飛な作品もあるにも関わらずなかなかに興味を刺激される作家であるのである。

 

遅めの昼食にラーメンを頂く

 ようやく最後に面白い展覧会に当たったというところ。これでやっと帰れるというところだが、さすがにサイダーとコーヒーやクッキーだけだともう燃料が切れてきた。駅までの帰りに「麺屋黒」に立ち寄ってラーメンを一杯食べていく。濃いめのスープに太めの麺を組み合わせたラーメンで、結構私の好みのタイプ。

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麺屋黒

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ラーメン

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ようやく一息

 腹が膨れて体調が持ち直してきたところでようやく八王子に帰ることにする。

 ホテルに戻ってきたらすぐにバタンキューになってしまった。近くに銭湯があるらしいからそこに入浴に行こうかと思っていたが、しんどくて出かける気にならないのと、ネットで調べるとそこはモンモンが禁止されていないためにモンモン比率が異様に高いとの記述もあったことからやめにする。

 

夕食はホテル近くでトンカツ

 しかしそれでも夕食は食べに行く必要がある。遠くまで行く気にならないので、ホテル近くの「とんかつ専門店大國」「特上ロースカツ定食(1350円)」を注文。ボリュームもあってなかなかの内容。町のとんかつ屋さんである。

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大國

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特上ロースカツ定食

 腹は膨れたが、よく考えると2日続けてトンカツだった。いいのか?これで?

 ホテルに戻ると翌朝の朝食を申し込んでから部屋に。部屋に帰ると疲れが出てきてベッドでバタンキュー。この日も早めに就寝することにする。

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