この週末は東京に出向いて美術館の攻略とコンサートの予定。金曜の仕事を終えると新幹線に飛び乗る。
相変わらずのぞみの車内は狭くて不快。かと言ってグリーンに乗る金なんかないし・・・。金持ちを優遇するために、貧乏人は徹底して迫害というのがアベノミクスの正体だから、世の中はこういう方向にばかり進むのか。
暇だからスマホでネットを見ていたら、東京の区立高校の9万円のアルマーニの制服が論議を呼んでいる。私立学校なら制服を9万にしようが100万にしようが勝手だが、公立学校でこれは駄目だろう。しかも校長の独断というのだから、分かりやすい癒着の構図。こちらの要望に真摯に応えてくれたのはアルマーニだけだったとかいう類いのコメントを校長がしているようだが、それは「キックバックの要望」だろう。そもそも服育なんて言葉を引っ張り出しているが、それは何なんだ? 高い服を買えない貧乏人のことは蔑みましょうという教育か? 教育関係者の中にはたまにこういう勘違いした輩がいるからたちが悪い。まあ金持ちの馬鹿ボンが貧乏人の優秀な子弟に脅かされないように、貧乏人からは教育を剥奪するというのが安倍の理想であるから、そういう考えに沿っているとも言える。
かなり疲れた頃にようやく東京に到着する。東京は最近は雪などで大騒ぎになっていたが、今日は寒いのは確かだがそう極端な寒さでもない。
北千住のいきなりステーキでガッツリ肉を食ったはよいが・・・
さてとにかく腹が減った。気分としてはガッツリと肉を食いたい。というわけで久しぶりに北千住の「いきなりステーキ」に立ち寄り、サーロインの300グラムをガッツリと頂く。
夕食をガッツリと摂った後はホテルに移動。宿泊は例によっての定宿、ホテルNEO東京である。ホテルに到着すると直ちに大浴場で入浴すると、明日に備えて就寝するのである。
翌朝の目覚めは最悪だった。どうも胸がムカムカしている上にひどい下痢をしている。どうやら昨日レアステーキをガッツリと食い過ぎたせいで消化不良になっている気配。私も年相応に胃腸が弱くなってきたということだろうか。とりあえず朝食を摂るが胸焼けに追い打ちがかかって吐き気がする。
しかし部屋でゴロゴロしているわけにもいかないので、整腸剤を飲んでから出かけることにする。今日の予定だが、メインは都響とN響のコンサートのはしご。そもそも今回の遠征はこの週末に都響、N響、読響のいわゆる東京トップ3がそろい踏みするということで企画されたもの。しかも都響は私が注目している準・メルクルの指揮、N響はパーヴォでマーラーの7番、読響はテミルカーノフ指揮と蒼々たる内容。
上野に出かける
都響のコンサートはサントリーホールで14時からなので、それまでに美術館を回っておこうと考える。とりあえず近いところから上野の東京都美術館に出向く。しかし上野駅を降りるといつにない大混雑。何が起こっているんだと思ったら、その群集はそのまま上野動物園へ。どうやらパンダの赤ちゃんフィーバーの模様。上野動物園の入口前には長蛇の列が出来でいる。「パンダの赤ちゃんがそんなに珍しいかね?」というのは、白浜のアドベンチャーワールドに何回か行っている私の感想。
私の目当ての東京都美術館の「ブリューゲル展」は観客はあまり多くなく、鑑賞にはなかなか好条件だが、これだと主催者はつらいだろう。何しろ、隣で開催されていた盆栽展の方が観客が遙かに多いのだから。
「ブリューゲル展 画家一族 150年の系譜」東京都美術館で4/1まで
ブリューゲル一族は16~17世紀のヨーロッパでブリューゲル派と呼ばれる一大潮流となって絵画界に大きな影響を与えた。そのブリューゲル一族の作品を集めた。
ブリューゲル一族の祖と言えるのがピーテル・ブリューゲル1世、さらに長男のピーテル2世、その弟のヤン1世の家系がまた多くの画家を輩出したらしい。本展では実に4代に渡っての作品が展示されている。
一つの一族がこれだけの絵画を描き続けたというのも凄いが、作風が完全に引き継がれているのがまた驚き。ただこれはマンネリと紙一重というところ。正直なところあまりに王道過ぎて意外性の類いは全くない。
面白いのであるが、どうしても地味という印象は拭えない。一点だけあったルーベンス工房による絵の方が明らかに目を惹くのは事実。やはりブリューゲルはまだ中世絵画の伝統を引きずっているところがある。
腹の具合も胸のむかつきもまだあまり良くはなっていない。これはあまり今日は無理はしない方が正解だろう。美術館はもう一軒だけにしておくことにする。東京駅まで移動すると、そこから美術館へ移動。
「ルドン-秘密の花園」三菱一号館美術館で5/20まで
この美術館が所蔵するルドンの「グラン・ブーケ」はフランス・ブルゴーニュのドムシー男爵が城館の食堂の装飾のために注文した作品である。他の15点の作品は現在はオルセー美術館の所蔵となっている。今回これら15点が来日し、一堂に会するというのが本展の最大の売り。
ルドンと言えばモノクロの不思議絵画の印象が強いのだが、本店の出店作は装飾と言うことで色彩豊かで穏やかな調子の作品が多い。こういう絵画もルドンの一面ではある。
ルドンの絵画については、好きとも嫌いとも言えない奇妙なところである。
さてそろそろ時刻が迫ってきたサントリーホールに移動することにするが、さすがに昼を過ぎているのに腹に何も入れないというのは体調がおかしくなりそうなので、六本木一丁目駅近くの「杵屋」で「きつねうどん」を一杯だけ腹に入れておく。今は整腸剤と水分を抑えることで下痢を無理矢理止めている状態なので、腹具合を見ながらの昼食である。
都響プロムナードコンサートNo.376
指揮/準・メルクル
チェロ/エドガー・モロー
メンデルスゾーン:序曲《フィンガルの洞窟》op.26
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 op.104 B.191
シューマン:交響曲第3番 変ホ長調 op.97《ライン》
準・メルクルの指揮はメリハリのついた表情のハッキリしたもの。一曲目のフィンガルではそれがやや表情過多気味の印象がなくもない。
ドボルザークのチェロコンはモローのチェロ演奏に尽きる。音色が太くて堂々としている。オケもそれに合わせてしっかりとした演奏をしている。
圧巻はラストのシューマン。下手に演奏すると単にダラダラした退屈な曲になってしまうことさえあるシューマンの交響曲を、メルクルの指揮は的確な表情をつけて魅力的な音楽に紡ぎ上げる。またメルクルの細かい指揮に対して的確に反応している都響も見事なもの。実に魅力的なシューマンとなったのである。
やっぱり都響はうまいなあというのと、準・メルクルは今後も注目だなと言うのを再確認である。
この後はNHKホールへ移動。幸いにして腹の方は強攻策が功を奏してやっと落ち着いてきたようだし、胸のむかつきも大分遠のいてきた。ただそれでも渋谷駅からNHKホールへの道のりはいささかしんどい。
久しぶりのNHKホールだが、やはりとんでもなくでかいホールだ。さすがに紅白歌合戦ホール。ただそれだけに音響に関しては絶望的であるということでもある。私の席はステージの正面ではあるが、2階席の一番奥というかなり距離のあるポジションなので、果たしてここまで音が飛んでくるかどうかが心配である。
それにしてもこの巨大ホールがほとんど埋まっている。さすがにN響は人気も一流のようだ。関西のオケでこのホールを満員に出来るところは残念ながら一つもないだろう。何しろ大阪四大オケが束になってもフェスティバルホールが満員にならないのだから。オケの力もさることながら、ファン層の人数が違う。もっとも首都圏は無駄に人口が多いので、分母の大きさが効いているとも言えるが。
N響第1879回 定期公演 Aプログラム
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
マーラー/交響曲 第7番 ホ短調「夜の歌」
難しい曲だなというのが一番の感想。うまく演奏しないと単なる冗長で退屈な曲になってしまうのがこの曲である。ヤルヴィはこれに対して多彩な音色で表情をつけ、引き締まったテンポで推進していくという方法をとったようである。これに対してN響の演奏はある程度まで指揮者の要請に応えているのは感じられたのだが、それでも完璧に統率がとれているとは言えない部分も多々見えた。もう少しピシッとした演奏となれば、かなりの名演になったのであるが、残念ながらまだ随所に甘さの見られる演奏であった。
さすがにN響は関西のオケよりも技量が上だなというのは感じられたのだが、残念ながら手放しで絶賛という内容ではなかったようである。実際にマーラーのこの曲はなかなか難しいようである。特に金管陣の技量が問われる場面が多く、これが大フィルだったら完全に空中分解していただろうと思われる。
上野の黒船亭で夕食
コンサートが終わったら夜の8時前。腹具合がまともになってくるにつれて、昼食をかなりセーブした反動もあって、猛烈な空腹感が襲ってきた。これはどこかでしっかりと夕食を摂る必要がありそうだ。南千住まで戻ってしまうと良い店がないので、これは途中の上野で夕食を摂ることにするか。となったら・・・と思いついたのは「黒船亭」。結局はここに立ち寄って「ミンチカツ」を注文することに。
かなり肉肉しいミンチカツというイメージ。そんじょそこらの下手なミンチ肉を使ったものではなさそうだ。しっかりと肉の味がしてうまい。やっぱり私はいわゆる町の洋食屋というのと相性が良い。
満足して夕食を終えるとホテルに戻ってくる。それにしても今日も疲れた。万歩計を見ると何気に2万歩を超えている。とにかく乗り換えだなんだで意味もなくやたらに歩かされるのが東京である。ホテルで入浴してゆったりすると、そのまま就寝する。