徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

関西フィル 第292回定期演奏会&「江戸の戯画」at 大阪市立美術館

 翌朝は7時半に目が覚める。昨日買い込んでおいた朝食を摂ると、とりあえずは朝風呂。後はチェックアウトの10時までグダグダと過ごす。

 さて今日の予定だが、まずは先週雨のせいでやめにした美術館の訪問から。天王寺の大阪市立美術館である。

 久しぶりに来ると天王寺公園がかなり様変わりしていて驚く。以前には有料ゲートがあって中は閑散としていたのだが、完全にリニューアルしてゲートがなくなっている。店なども出ていてかなり人出が多い。以前はホームレスを閉め出すことを目的にして公園を有料化したのだが、結果としては市民も閉め出すことになっていた(そもそも特に何があるわけでもない公園に金を払ってまで入る者はいない)。それを考えると今回のリニューアルは正解だろう。ただホームレス対策はどうしてるのだろうか? そもそもホームレスは閉め出しても消えてなくなるわけでなく、どうしてホームレスが発生しているのかの根本から解決しないといけないのだが。

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天王寺公園は雰囲気が一変していた

 公園を抜けたところに美術館はある。公園はリニューアルして明るくなったが、薄暗くて古びたこの美術館はそのまま。ここもリニューアルの必要があると思うのだが。

「江戸の戯画-鳥羽絵から北斎・国芳・暁斎まで」大阪市立美術館で6/10まで

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 江戸時代に庶民の間で流行した戯画について紹介。最初は関西で流行した鳥羽絵から始まるが、伸び伸びとした描写には今日の漫画につながるものを感じさせられる。

 次は北斎のそのものズバリの北斎漫画だが、これは一種の図案集のようなものであり、海外の画家にさえ大きな影響を与えたという代物。北斎の描写の巧みさを覗わせる作品である。

 次が国芳の作品だが、これがまたいろいろと趣向を凝らしたものがある。有名な人体で顔面を作ったシリーズや、影絵のシリーズ、猫を文字にしたシリーズなど様々だが、楽しいのは金魚を擬人化したシリーズ。巧みでいて笑える描写であり、これもまさに今日の漫画の原点とも言える。

 さらにはあらゆる絵画に卓越した技倆を発揮した暁斎の作品が続く。暁斎の戯画となると、今日の漫画の原点のような作品から、いわゆる劇画の原点とも言えるような作品まで幅広い。

 とにかく日本漫画文化の根はかなり昔から存在したのだということを感じさせる展覧会。まさにクールジャパンの原点とも言える。かなり楽しめた。

 

 美術館を出た時にはもう昼前。昼食を摂る必要がある。ここらで昼食となると天王寺でか。今回は天王寺を抜けて阿倍野の「グリルマルヨシ」を訪問することにする。ここがMIO内に出店している「プチグリルマルヨシ」は今まで何度か利用しているが、その時に気になることがあったので是非とも本店で確認したかった次第。

 恐らく昔はゴミゴミした界隈にあった店なんだろうが、今はこの辺りは再開発でショッピングセンター的なビルになっており、そこに入居している。店内は結構混雑しているが私の訪問時はまだ12時前だったこともあって待たずに入店できる。注文したのは現在サービス価格という「ロールキャベツのセット(2280円)」

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グリルマルヨシ

 まずはアミューズから。鴨とサーモンとピクルスのセット。普通に美味い。やはり鴨って偉大だ。

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アミューズ

 続いてロールキャベツ。スッとナイフが抵抗なく入る柔らかさ。一口口に含むとキャベツの甘味とソースの味が溶け合って絶妙。「やっぱりな」と思わず納得する。

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ロールキャベツ

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挽肉を巻いてある

 というのは、今回確認したかったのはこれ。実は以前にMIOの方でこのメニューを注文した時には、どうも今ひとつ不満があったから。特にソースとの溶け合いなどが良くなく、「このメニューはもっと美味くなるはず」ということをずっと感じていたからである。本店で下味をつけたものを持ってきて料理しているという旨が書いてあったが、やはり味付けが微妙に違うのだろう。私の「本店ならもっと美味いはずでは」という直感は正しかったようである。

 なかなかに満足の出来る昼食だった。やや高くついたがまあそれは良しとしよう。腹が膨れたところでザ・シンフォニーホールに移動することにする。

関西フィルハーモニー管弦楽団 第292回定期演奏会

[指揮]オーギュスタン・デュメイ
[チェロ]岡本侑也

ブラームス:大学祝典序曲 op.80
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番 op.107
ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 op.73

 大学祝典序曲についてはデュメイが振ると軽妙さよりも厳格さのようなものが前に出てきて、この曲にしては妙な重々しさがある。

 チェロ協奏曲は岡本の妙技に尽きるだろう。実に自在の演奏で良い音を出している。終始岡本がリードする展開で関西フィルも安定した演奏を聞かせた。

 ブラームスの2番は関西フィルの長所が最も発揮されやすいレパートリーの一つとも言える。落ち着いた弦の音色がなかなかに聞かせる。もっとも金管陣がやや怪しいのも相変わらずではあったが。

 

 やはりデュメイのドイツ系レパートリーは安定感があるなというところ。これでこの週末の全予定は終了、家路につくのである。

 今回でMETライブビューイングも9作目、本年の作品は後1つとなった。ラストはシンデレラを原作にしたマスネの「サンドリヨン」。この前見たロッシーニのチェネレントラとどこが違うかなんかが興味があるところである。