翌朝は8時に起床する。かなり寝たはずだがそれでも体がだるいのは昨今の常。とりあえずコンビニで買い込んだ朝食を摂ると、朝風呂で目を覚ます。この辺りはルーティンのようなもの。
この日はびわ湖ホールで3時に開演のイタリアバーリのオペラ以外に予定はない。そこでチェックアウト時刻の10時まで室内でウダウダと過ごす。
ホテルをチェックアウトしたもののすることがない。仕方ないのでとりあえず京都に移動することにする。京都に到着すると11時頃になっているのでさっさと昼食を摂ることにする。
立ち寄ったのは「東洋亭」。「フィレカツのランチ」を頂く。ミディアムの牛肉が抜群のうまさ。また相変わらずトマトのサラダが異常にうまい。そして私好みのプリン。
昼食の満足度は高かったが、何やら厨房が人手不足気味でてんやわんやしていた。おかげで料理が出てくるまで30分以上を要し。最終的に店を出た時には入店してから1時間以上を経過していた。サービス業などで人手不足が深刻化しているというが、その辺りがここにも及んでいるのだろうか。
昼食でかなり時間をつぶしたものの、それでもまだ開演まで3時間近くある。今は京都の美術館もこれといった出し物はないし、仕方ないので駅前のネットカフェでゴロゴロしながらしばし過ごすことに。
ネカフェで1時間半ほどつぶすとJRと京阪を乗り継いでホールへ移動する。びわ湖ホール大ホールは大入り。私の席は4階の貧民席(と言っても16000円する)。ステージからは遠いが見通しは悪くない。
イタリア・バーリ歌劇場『イル・トロヴァトーレ』
レオノーラ:スヴェトラ・ヴァシレヴァ
マンリーコ:フランチェスコ・メーリ
ルーナ伯爵:アルベルト・ガザーレ
アズチェーナ:ミリヤーナ・ニコリッチ
指揮:ジャンパオロ・ビサンティ
管弦楽:イタリア・バーリ歌劇場管弦楽団
合唱:イタリア・バーリ歌劇場管合唱団
ガザーレの堂々たる悪党ぶりと、それに挑むメーリの力強いテノールが圧巻の盛り上がりを示す。男声陣の迫力に比較すると、急遽の代演のヴァシレヴァは悪くはないものの若干の弱さを感じさせられたのが残念。
シナリオにはあちこちと無理が見えるのはこの手のオペラの常だが、そういう作品の粗はほったらかして圧倒的な歌唱で押しまくるのがイタリアオペラである。そのイタリアオペラの神髄を堪能させてくれるなかなかの名演であった。
二幕終了後の休憩の時にロビーに出ると、外はとんでもない豪雨になって稲妻が光っていたので帰りがこの状況だとたまらないなと思っていたが、終演時には幸いにしてもう雨は上がってきた。しかしホッとしたところで場内放送が。京都と草津の間でJRが大雨のために運休とのこと。これは困った。JR大津までのバスが出るというが、電車が動いていないJRの駅に行っても仕方ない。私の今日の宿泊予定ホテルは瀬田なのだが、京阪で石山まで行けたとしても、そこから瀬田までのたどり着けるかどうか。とりあえず仕方ないので事態が改善することに期待しつつ石山まで移動する。
しかし石山に到着した時には事態は改善どころか悪化しているようだった。京阪石山駅のホームは人であふれかえって危険な状態で、列車から降りるのさえ困難なぐらい。そしてJR石山駅周辺には列車に乗れない人間が溢れている。ネットで情報を調べると、さっきまで「20時に運転再開予定」だったのが、知らない間に「早くとも20時30分に運転再開」に変わっている。これはJRは全くあてにならないと判断するしかない。
バスを調べたが、瀬田駅に行くバスは夕方の最終便が遙か前に出た後、それ以外の路線は見当違いの方向のものばかり。タクシー料金を調べると1400円ぐらいとのことなので諦めてタクシーを利用しようかと思ったが、既にタクシー乗り場は長蛇の列で、しかもタクシーがやってきている気配がない(実はこの時、国道1号線が大渋滞でノロノロ運転になっていたことは後で知った)。仕方ないので最終手段。Google先生によると瀬田駅までは3キロで徒歩で38分とのこと。「歩こう」と決意する。日頃のウォーキングの距離を考えると、3キロは歩ける距離である。
それにしてもこんなことで瀬田川を渡ることになるとは思わなかった・・・。私と同じ状況に追い込まれたのか、意外と歩いている人が多いのが驚いた。多分京都方面に移動するのに石山を目指しているのだろう。橋上などで多くの人とすれ違うことになったのである。
歩くと決めたは良いが体力的には結構キツいし、かなり蒸しているので頭から汗だくになる。雨がやんでいることだけが幸い(もし雨が降っていたらさすがにキャリーを引っ張って歩くという選択肢は選びようがなかった)。しかし一つだけ計算違いは、今回の遠征は出張のついでだったせいで、いつものスニーカーではなくて革靴を履いていたこと。おかげで足への負担が大きい。30分以上を費やしてようやく瀬田駅にたどり着いた時には、頭から汗でずぶ濡れの上に足はパンパンという悲惨な状態。
瀬田駅で数分待つとホテルからの送迎バスがやって来るのでそれに乗車。ようやくホテルに到着である。今回の宿泊ホテルは今までにも何度か利用したニューびわ湖ホテル。温泉でゆっくりしたいと思って選んだホテルだったのだが、そのためにこんな目に遭うとは・・・。京都のホテルを選んでいた方が正解だったか。しかも今回に限って夕食付きプランを選んでいたためどうやっても夕食時間までにホテルに着く必要があり、京都駅辺りで夕食を摂りながらJRの再開を待つという選択肢もとれなかった。まあ石山から瀬田までの電車140円を節約できた上に日頃の運動不足の解消もさせてもらったと前向きに考えることにするか。
シャワーで軽く汗を流してから浴衣に着替えると、隣の入浴施設に入浴と夕食を摂りに行く。風呂に飛び込みたいところだが、腹が減っているのでまずは夕食から。夕食は御膳がついている。味はまずまず。刺身がないのに刺身醤油がついているのが奇妙だなと感じていたら重の下の段に刺身が隠れており、危うく見逃すところだった。
腹がふくれたところでラドン泉の温泉に入浴。足にダメージが来ているからそれをゆったりと癒やす。ラドン泉なのでこれという特徴がある湯ではないが、それでも大浴場は快適至極である。とにかくできる限り足をほぐしておく。
風呂上がりには食堂で冷やし飴を頂く。まさに関西の夏の風物詩。さらに小腹が空いていたのでシーザーサラダを頂く。このサラダ、意外とボリュームがある。
部屋に戻ると夕食を済ませて風呂に入った後の疲れが一気に押し寄せる。この日はやや早めに床につく。