徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

びわ湖ホール開館20周年記念公演 マーラー交響曲第8番「千人の交響曲」

 この日曜日はびわ湖ホールの開館20周年記念イベントの京都市響のマーラーの8番を聴きに行く予定だった。しかしここに台風24号が直撃、いろいろとややこしいことになってしまった。

 びわ湖ホールからの当初のアナウンスによると、何が何でも日曜日の公演を実施するつもりでいたようだが、その内にJRが30日の運休の可能性を言い出し、予定通りに公演を行っても観客は来られずにホールはガラガラ、それどころか終演後に合唱団員が帰られないなんてことになりそうな気配になってきた。これを受けてびわ湖ホールもかなりドタバタし始めたようで、結局急遽飛び出した方針が、前日の土曜日の16時から緊急公演を行い翌日の公演も行うつもりというもの。で、前売り券を持っている者はどちらの公演に来ても良いということらしい。

 私がHPでこれを見たのは金曜の夜だが、今の台風の進路を見ているとどう考えても日曜日の公演なんて出来そうにないし、またやったとしても私がホールに行く手段がない。となればやはり土曜日の公演に行くしかないと決断した。幸いにしてこの土曜日は何の予定もない。

 とりあえず土曜の昼前に家を出るとホールに向かう。途中で京都駅で昼食。いつものごとく「東洋亭」「フィレビーフカツレツ」を頂く。

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このトマトがいつもなぜか妙に美味い
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フィレカツとデザート

 昼食を食べ終わってスマホで状況を確認したら、JRの「明日は運休の可能性」が「12時から全路線で運休が決定」に変化していた。これを受けてさすがにびわ湖ホールも30日の公演は中止を決定。今日の緊急公演に来られない人にはチケットの払い戻しをするという方針が発表された。なお今日の公演に際して自由席券を発売するとのことで、これはキャンセル料によるダメージを少しでも低減しようとのことだろうが、この公演はそもそも全席完売しているので、もしその客が全員今日の公演にやってきたら、自由席の客は座る席がないことになるのだが・・・。

 京都からびわ湖ホールに移動する。現地は小雨がばらつき、空はどんよりと怪しい雰囲気だがまだ台風の気配がない。これはびわ湖ホールがギリギリまで明日の公演を実施たがったわけである。そもそも記念公演だし、払い戻しとなるとチケット完売だけにダメージも大きい。

 開場時刻にホールに到着すると、当初はホール内の客は数えるほどだったので「これで大丈夫か?」と心配になったが、時間の経過と共に客がゾロゾロと現れて、最終的には4割程度の座席は埋まった状態になる。突然のドタバタした発表にしては結構集まったものだ。それだけ熱心な観客が多いのか、それとも単に暇人が多いのか。

 開演前にホールの代表と指揮者の沼尻の挨拶があったが、沼尻の「台風までが祝いにやってきてしまった」には笑い声が上がる。また開館20周年イベントが普通にオペラだと面白くないので少しひねったつもりだったのに、今年になっても九州交響楽団、名古屋フィルなどもマーラーの8番を企画しており、図らずしも8番祭状態になってしまったという話も出た。ちなみに昨年も新日フィル、N響などもマーラーの8番を行っており、昨年から続くこの8番祭には「?」というのは私も感じている。

 なお今日に公演を行うということを急遽決めたのは沼尻らしい。前日に合唱やオケのリハを行った感触で、これは行けると判断したのだとか。また場内の観客の数を見てややホッとした風のホールの代表の様子も印象に残った。かなりドタバタした決定だっただけに、もし観客がほとんど来なかったらどうしようという心配もやはりあったんだろう。

 

開館20周年記念公演 マーラー作曲 交響曲第8番「千人の交響曲」

指揮:沼尻竜典
管弦楽:京都市交響楽団
横山恵子(罪いと深き女)
砂川涼子(贖罪の女)
幸田浩子(栄光の聖母)
谷口睦美(サマリアの女)
竹本節子(エジプトのマリア)
清水徹太郎(マリア崇拝の博士)
黒田博(法悦の教父)
伊藤貴之(瞑想の教父)
合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル、「千人の交響曲」合唱団
児童合唱:大津児童合唱団

マーラー交響曲第8番「千人の交響曲」

 急遽の公演にも関わらず、合唱、オケ共にかなり気合いが入っているのが雰囲気で感じられた。特に合唱はやや気合いが入りすぎの感があり、序盤は沼尻が抑えに入る部分も見られたぐらい。合唱とオケの絡みも、序盤はややヒヤヒヤする部分もないではなかったが、それは曲が進むにつれて解消された。

 沼尻の演奏はやや速めのテンポで軽快に進めるタイプ。ソリストの歌唱を中心に盛り上げ、交響曲よりも声楽曲としての側面が強調されているような印象を受けた。演奏自体は快活で本公演の趣旨にも即してかなり祝祭的ムードの強いもの。それがこの曲の曲想とも良く合っている。

 もう冒頭の音からゾクッときたが、なかなかのサウンドスペクタクル。特に3階から聞こえてくる天国のラッパは感涙ものだった。あの部分は今までの公演でも一番演出効果を気にするところなのだが、演出としては今までで一番決まっていたのでは。非常に力のこもった実に熱演であった。

 場内の観客の数は少ないにも関わらず、かなりの拍手で盛り上がっていた。沼尻らの様子にもやりきった感が見えた。ぶっつけ本番に近い部分もあっただろうに、それを感じさせないような熱演で大いに盛り上がった。なおオケの安定感には京都市響は昨年にもこの曲を演奏しているということも影響していそうに思われる。

 

 帰りにはやや雨が強くなりかけていた。とりあえずさっさと帰宅する。明日の台風が心配だ。