徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

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白鷺館アニメ棟

チェコ国立ブルノフィルオペラシティ公演&「アルヴァ・アアルト」「子どものための建築と空間」

 翌朝も8時に起床するが、どこかに馬鹿みたいに一晩中ドタバタやっているうるさい奴がいたせいで眠りが浅く、かなり体に疲労が残っている。たまにこういうことがあるのが安宿のリスク。どうしても安宿に来る客の中にはこういうおかしな輩も紛れ込んでしまう。高級ホテルというのはサービスが云々と言うだけでなく、価格で客をフィルタリングするという意味もあるのである。もっとも金は持っていても人間的にあれな輩もいるので、必ずしも金でフィルタリングすれば客層が完全に良くなるとは限らないが。

 とにかくグッタリした体を奮い起こし、朝食のサンドイッチを腹に放り込むと荷物をまとめて10時前にはチェックアウトする。まずは身軽になるために東京駅のコインロッカーにキャリーを放り込みに行くが、東京駅は改装中で様相がかなり変わっており、コインロッカーがどこにあるか分からずにウロウロする羽目に。

 ようやくロッカーを見つけてキャリーを放り込むと、まずはここの最寄りの美術館に立ち寄る。

 

「アルヴァ・アアルト もうひとつの自然」東京ステーションギャラリーで4/14まで

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 フィンランドを代表する建築課であるアルヴァ・アアルトの作品を展示。彼は建物のデザインだけでなく家具のデザインなども手がけており、それらはすべて有機的に建築物に溶け込むように考えられている。

 機能的でシンプルである彼のデザインは、今時の北欧デザインとしてイメージするようなものの原点のようにも感じられる。単にデザインの奇抜さに走って実用性を無視するような大馬鹿建築家もいる中で、彼の合理的なアプローチは非常に好感を持つものである。

 あの渋谷駅ダンジョンを設計した某大馬鹿建築家は、彼の爪の垢でも煎じて飲むべきだろう。建築から実用性を廃したら、それはただの巨大な粗大ゴミである。

 

 さて現在は11時前。オペラシティで開催されるブルノフィルのコンサートが14時開演なのでまだ時間がある。しかし実はこれで予定していた美術館のスケジュールはすべて終了してしまった。とりあえず渋谷にでも行くかと山手線に乗り込んだところで、新橋のアナウンスを聞いたところで閃く。汐留のパナソニックミュージアムに立ち寄ることにする。

 

「子どものための建築と空間展」パナソニック汐留ミュージアムで3/24まで

 子供にとっての空間である幼稚園や学校などのデザインを写真で紹介している。子供のことを考えてある種の思想を持って建築された建物ばかりで、そこには広々とした空間があり、変化に富んだ風景が展開する。正直なところ、私も子供の頃にこういったところで過ごしてみたかったと感じる建築が多数。日本にも無機質な校舎だけではなかったんだと驚いた次第。

 子供のための建物としては、やはり発見やワクワクがあるものでないと魅力がない。いずれの建物もそういう点に配慮しているように思われた。戦後の典型的な安い量産型箱型コンクリート校舎(しかも学校の裏が墓地)で小中学校時代を過ごした私としては、ああいう環境で学習を出来た子供達はうらやましい次第。子供の情操教育には環境要素は重要である。

 

昼食はあっさりと喜多方ラーメン 

 ここまで来たついでに昼食もこの辺りで摂っていくことにする。近くのビルの中に喜多方ラーメン坂内があったので、ここで喜多方ラーメンを食べることにする。喜多方は朝からラーメンを食べる習慣があるというが、まさにそれができるあっさりしたラーメンである。今のようにへばっていて重たいものを食いたくない時には最適。

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喜多方ラーメン坂内

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あっさりした喜多方ラーメン

 昼食を終えると渋谷に移動し、そこから昨日乗ったのと同じ系統のバスで初台に向かう。渋谷周辺は人が多すぎて、バスが走っている道路の前にも平気で人が横断する無法地帯。ここがハロウィンの時に文字通りの無法地帯になったというニュースがあったが、この界隈はハロウィンでなくても普段から結構滅茶苦茶な場所である。私の目から見れば、新今宮の方がここよりも余程治安が良い。

 開場時刻の10分前ぐらいに会場に到着。今日の公演は全席売り切れとのことで、会場周辺には大勢の客が待っている。そのせいで建物内のトイレがどこも満員で困ることに。と言うのは私は今日は腹の具合が悪いと言うか、腹が痛いとか下痢をしているわけではないのだが、やたらに便意を催してその度にかなり大量に便が出るのである。これはもしかして昨日の薬膳が効いているのか? とにかくおかげでトイレを求めて建物内を上へ下へと走り回る羽目になった。どうやらあの店の麻婆豆腐は便秘で悩む方にはお勧めのようである。

 ようやく一息ついたころに開場時刻。ゾロゾロと会場に入場する。

 

チェコ国立ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団

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レオシュ・スワロフスキー(Cond)

マシュー・バーリー(Vc)

チェコ国立ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団

・スメタナ:交響詩「わが祖国」より「モルダウ」

・ドヴォルザーク:チェロ協奏曲ロ短調 op.104, B.191

         交響曲第9番ホ短調 op.95, B.178「新世界より」

 スワロフスキーはなかなかの爆演型である。最初のモルダウはいかにもチェコ情緒タップリの演奏で実に正統派なチェコらしいモルダウ。

 チェロコンはバーリーの軽快な演奏が冴える。バックのオケとの意思疎通も十分であり軽妙で痛快な演奏。

 最後の新世界も典型的なチェコの新世界。舞踏の旋律が前面に出て徹底的に踊る、騒ぐ。痛快で気持ちの良い演奏。スワロフスキーに煽られたオケがかなり力強い演奏を行った。決して技術的に高いレベルのオケではないが、やはりご当地ものの強みは遺憾なく発揮している。


 場内は結構な盛り上がりであった。満員の観客も結構堪能したのではなかろうか。満足してホールを後にすると東京駅に急ぐ。この日は大丸の地下で夕食の弁当を買い求めて帰宅の途についたのである。