徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

イギリスのドタバタ

 イギリスがEU離脱に関して迷走している。離脱を決めたは良いが、具体的な条件になるとまとまらない。

 そもそも最初から読み違えがあったんだろう。国民投票の結果で離脱を決定してしまったが、イギリスの本音は離脱をちらつかせてEUを脅迫して、自分たちに有利な譲歩を引き出そうと考えていたのだと推測している。EUのメリットは享受したままで、移民受け入れなどの義務は回避するという美味しいところを考えていたのではないか。

 EUの発足に関する目的としては、経済交流を活発にしてヨーロッパの経済を強化するというのもあるが、かつては戦争までしたことがある独仏英といった列強が経済的に手を結ぶことで、将来の戦争の危機などを回避する(戦争など起こるはずもない関係を築く)ということもあった。だからイギリスが脱退するなんてことは認めないだろうという読みがあったような気がする。実際にイギリスだけはEUの通貨統合には参加しないという特別なポジションを確保していただけに、少々の特例は認めてもらえるという考えがあったのではと私は推測している。

 しかしイギリスの読み違えは、EUがヨーロッパ全域に広がるにつれてその意味づけが変わってきていることと、その間にイギリスの政治的経済的プレゼンスは低下していたと言うことだろう。もしここでイギリスだけに特例を許可すれば、ギリシアやスペインなどが自分達もと主張し始めてEU内が収拾が付かないことになるのは明らかである。イギリスが国民投票の結果をちらつかせた途端、EU側は「離脱するならさっさとしろ」と事実上門前払いにしてしまったのにすべてが現れている。目論見が外れた離脱派の中には今は本音では歯がみしている輩もいよう。配偶者に譲歩させるために「それなら離婚だ」と脅迫したら、あっさりと「どうぞ」と言われて判を押した離婚届を突きつけられたような状態が今のイギリスなのではないか。こうなると土下座して復縁するか、生活破綻覚悟で意地を通して離婚するかという情けない二者択一になってしまう。

 また離脱派の中には、EUの中に埋没してしまっている大英帝国の現状に不満を持っているロマンチストもいよう。しかしEUを離脱したら大英帝国の復活どころか、イギリスのプレゼンスはさらに低下するという現実に早晩直面するだろうと思われる。どちらにしろ、この騒ぎでイギリスは国内の混乱は避けられないだろう。

 かつて世界帝国だったスペインが没落して久しい。次の時代に世界に覇を唱えた大英帝国も今や見る影もない。このような歴史の流れを見ていると、今はアメリカが「かつての大国」となる時代が近づいていることを感じる。特にトランプなどという愚かな指導者を選んでしまったことで、取り返しの付かない愚策を繰り返している現状を見ていると。

 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹花の色、盛者必衰の理をあらはす。これはまさに世の真理である。