徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

新日フィル「復活」&ラファエル前派展&千住博展

 翌朝は8時頃には目が覚めたが、とにかく体がダルい。何か最近は異様に体力が落ちているのを感じる。

 今日の予定は新日フィルの復活だが、これがサントリーホールで14時から。それまでに残りの美術館を回るつもり。

「ラファエル前派の軌跡展」三菱一号館美術館で6/9まで

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 ラスキンの「芸術は自然に忠実でなくてはならない」という考えに呼応して「ラファエル以前の絵画に戻る」をかけ声に登場したのがラファエル前派である。彼らの絵画は自然を忠実に写すことに主眼を置いているので、総じて美しい絵画が多い。特にミレイなどは「オフィーリア」に代表されるような非常に美麗な絵画を描いている。もっともラファエル前派の運動自体は確固たる理念があるというほどで強固なものではなく、ミレイがロイヤルアカデミーの準会員になったことがきっかけで解散している。

 本展ではミレイの作品はあまりなく、ロセッティの作品が多数展示されていた。彼の作品はやや耽美的な傾向のある美しさを感じさせる絵画だが、技術的には細部に雑さがあったり、デッサンにバランスの悪さがあったりなどのかなりのクセ絵である。

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ロセッティの作品

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綺麗ではあるがクセ絵でもある

 「自然に忠実に」という思想自体は、この後バーン=ジョーンズなどに引き継がれ、さらにはウィリアム・モリスの装飾芸術などにもつながっていく。本展ではその辺りの流れが分かるように展示されており興味深い。

 

 三菱一号館美術館の次は六本木に移動する。サントリー美術館の「暁斎展」の展示替えがあったのでそれを見学。数点の作品の入れ替えが行われているが、意外に入れ替え数は多くなかった印象。それでもやはり暁斎の素晴らしい絵画には魅せられる。

 暁斎を堪能した後は「加賀麩不室屋」「生麩ぜんざい」を頂いて一息つく。良い絵画に美味い甘味。至福の一時というやつである。

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不室屋の絶品生麩ぜんざい

 一息ついたところでそろそろ時間が近づいてきたのでサントリーホールに向かう。ところでこのサントリー美術館からサントリーホールに向かうというのは結構やっかい。直接のバス路線も地下鉄路線もないので、どういうルートを通っても結構遠回りになって無駄に時間がかかる。この立地は何とかならないんだろうか。

 

新日本フィルハーモニー交響楽団第602回定期演奏会 <ジェイド>

指揮:上岡敏之
ソプラノ:森谷真理
メゾソプラノ:カトリン・ゲーリング
栗友会合唱団
新日本フィルハーモニー交響楽団

マーラー:交響曲第2番 ハ短調 「復活」

 とかく個性的な演奏をすることの多い上岡敏之だが、今回はマーラーから外連やハッタリを完全に省いた。終始スローテンポで音量はピアニッシモが多い。時折の大音量はあるものの、なぜかリミッターがかかったような雰囲気がある。

 今まで聞こえてこなかったような音が聞こえてきて発見はある演奏なんだが、問題は一切のハッタリを除いたら高揚感も全くなくなってしまったこと。正直なところ聞いていてあまり面白くない。やはりマーラーは少々ハッタリがあるぐらいの方が面白いということか。

 どうも今回は上岡が一人で空回りしている印象を受けた。場内の拍手も何となく微妙な感じ。

 

 コンサートを終えると長駆して横浜を目指す。横浜のそごう美術館で開催中の千住博展を見に行こうという考え。窓口でチケットを買おうとしたら、そごうのカードに加入したら割引があるとのことなので、ついでだから加入してしまう(年会費、入会金は無料らしいし)。このパターンは高島屋に続いてである。

 

「高野山金剛峯寺 襖絵完成記念 千住 博展」そごう美術館で4/14まで

 千住博が高野山金剛峯寺に「断崖図」と「瀧図」を奉納することになったのを記念しての展覧会。

 彼は最初は結構オーソドックスな日本画を描いていたようであるが、段々と技法に凝りだして、その結果として瀧の絵と断崖の絵に行き着いたようである。瀧の絵は実際に水を流しつつそこに胡粉を流すというような技法のようであり、何となく技法頼りのような気がしないでもない。断崖図の方も実際に皺をつけた紙を貼り付けて着色するというような類いのことを行っているらしい。

 会場には蛍光塗料を使って描いたブラックライトで光る瀧の絵も展示されている。ただかれのこれらの作品はその巨大さもあって圧倒されるような迫力は感じるのであるが、どうも芸術的表現と言うよりも、新規表現技法開拓の方に主がありすぎるように感じるのは微妙なところ。

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この瀧の絵が

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ブラックライトでこうなる

 

上野の老舗そば屋で夕食

 これで今日の予定は終了なので夕食を摂ろうとそごうの飲食店街を覗くが、やはり高島屋と同様にここの飲食店街は私の金銭感覚とマッチしない。仕方ないので上野まで戻ることにする。上野界隈をウロウロして、結局入店したのは「上野藪蕎麦」。ここで春のキノコのそばを頂く。

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突然に雨がぱらついてきた

 肉厚の椎茸などキノコ類がなかなかに美味い。そしてそばはさすがと言うべき味。ただ肉類は鴨が一切れというのはいささか寂しかったか。単純に鴨なんばそばでもしていた方が私向きだったかも。

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キノコそば

 夕食を終えるとホテルに戻る。疲れが出てきたのでこの日は早めに就寝する。