徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

ロイヤル・オペラ「椿姫」&河鍋暁斎展

 この週末はロイヤルオペラのシネマシーズンを見に行く予定。金曜日の仕事が大阪なのでそのまま新今宮で一泊することにする。夕食は久しぶりに「グリル梵」ビフカツにライスを付けて頂く。毎度の事ながらここのビフカツは最上。

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グリル梵

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ビフカツが食欲をそそる

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この日の通り具合が絶妙

 夕食を終えるとホテルへ。今日の宿泊ホテルはホテルジパング。私がよく利用するサンプラザの系列ホテルである。例によって3畳の狭小和室だが寝るだけだと問題ない。

 大浴場で入浴してから、部屋に入るとBDをつないでガッテンやヒストリアをチェック。夜はかなり早めから眠気が押し寄せてきたので早めに就寝する。

 

 

 翌朝は6時半頃に勝手に目が覚める。例によって睡眠力の低下だろうか。起きるとしばしボンヤリ。やはり体がだるい。ゴロゴロしながら荷物をまとめたりテレビを見たりしながらホテルをチェックアウトしたのは8時半頃。

 新今宮駅はアジア人でごった返している。最近は週末のこの時間帯の新今宮駅の混雑は洒落にならない。そのうちにホームから転落する者が出ないか心配になる状態。

 さて今日の予定だが、ロイヤルオペラは西宮で13時から。だからそれまでに美術館に立ち寄るつもりである。ちょうど今日から兵庫県立美術館で「河鍋暁斎展」が開催されるのでこれに行くつもり。途中、乗り換えの三宮駅でキャリーをコインロッカーに放り込むと阪神線で美術館を目指す。

「生誕130年 河鍋暁斎」兵庫県立美術館で5/19まで

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 幕末から明治にかけて活躍したが、今まで日本で永らく忘れられたに等しい状態になっていて、海外から逆輸入の形で近年になって人気が盛り上がってきた(伊藤若冲などと同じパターンである)画家の展覧会である。

 河鍋暁斎と言えば、とにかく「何でも描けた」と言われるほどに画業の範囲が広いことが特徴。国芳から浮世絵を学び、また狩野派にも入門して正統派の絵画の修行も行っているが、その作品には風刺画からはては春画までとにかく幅が広く脈絡がない。ただとにかく圧倒的な画力を持っており、その作品を目にしたものは一目で魅了されるだけの魅力を持っている(まさに私がそうであった)。

 ちょうど最近東京のサントリー美術館で暁斎展が開催された直後であるが、本展とは一部の作品は重複しているが(河鍋暁斎記念館の所蔵品が多い)、本展のみの作品も多数展示されている。サントリー美術館の暁斎展は暁斎の狩野派としての矜恃とか、その正当性を示すような作品が結構展示されていたのが特徴だが、本展は写生帳、下絵など暁斎の制作に臨む姿勢を示す資料が多数展示されているのが特徴。それを見ると暁斎は最終的な作品を製作する前にかなり緻密な下絵を制作して徹底的に検討していることが分かり、いかに真摯な姿勢で制作に取り組んでいたかが伺われる。もっともこの一方で暁斎はとんでもなく多作であることでも知られており、一体どれだけ早描きだったんだろうと呆れる次第でもある。

 技術に圧倒され、そこに潜む皮肉にクスリと笑い、誇張も含めたお遊びに大笑いされられる。そんな楽しさも暁斎の大きな魅力。暁斎を堪能できる展覧会である。なお本展は前期4/6~4/29、後期4/30~5/19で展示替えがあるとのこと。私はまた後期も改めて訪問する予定。

 それにしても河鍋暁斎の展覧会が立て続けに開催されるとは、暁斎も実にメジャーになったものだ。私が初めて暁斎の絵を目にしたのはかれこれ10年以上は前だが(もしかしたら20年近いかも)、その時に強い衝撃を受けて「なぜこんな凄い画家が日本で全く無名なんだ?」と疑問を感じたものである。その後、私もことあるごとに「河鍋暁斎は凄い」と宣伝に努めていたのだがそれが報われたか(笑)。


 展覧会を終えたら移動。今日はロイヤルオペラのシネマシーズンを鑑賞予定なのだが、これが関西で上映されるのはたったの3館で、その内の大阪ステーションシティシネマは夜間上映(上映終了が23時頃)だし、朝に上映されるのは京都の劇場ということで、昼の13時からの上映がある西宮TOHOシネマズの一択にならざるを得ない。ただ13時と言えば若干早いので昼食をゆっくり摂っている暇がないのが難点。

 西宮に移動すると目星をつけていたそば屋を訪れるが、何とそこは20人以上の大行列。SNS口コミ時代の悪弊である。とにかく特定の店に客が集中してしまう。スマホを覗きながらあーだこーだ言って並んでいる連中を見ていると、私は自分のことを棚に上げて馬鹿に見えてしまう。こんなところに並んでいる暇はないし、並ぶ気も起きないしということで仕方ないので他の店を探す・・・と言っても西宮周辺には意外と昼食用の店がない。というわけでこの日はモスバーガーでジャンクな昼食になってしまう。

 ジャンクな昼食を終えると映画館に急ぐ。ロイヤルオペラに割り当てられている劇場はこの映画館の中で最も小さいクラスの劇場。観客は20人ほどというところか。やっぱりロイヤルオペラよりは、ドラえもんやキャプテン・マーベルやダンボの方が客が入るんだろうな・・・。

ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン ヴェルディ「椿姫」

【演出】リチャード・エア
【指揮】アントネッロ・マナコルダ
【出演】エルモネラ・ヤオ(ヴィオレッタ)、チャールズ・カストロノボ(アルフレード・ジェルモン)、プラシド・ドミンゴ(ジョルジョ・ジェルモン)

 リチャード・エアの演出はもう既に25年前から上演されて続けているものとのことで、そういう意味では今や古典的で伝統的と言っても良い演出になる。作品に忠実に奇をてらわず美しい舞台を見せることになっているが、よく見ていると場面がヴィオレッタの心情に呼応するように設計されているのが巧みである。

 ヴィオレッタのエルモネラ・ヤオについては、やや歌唱にか細さがあるのと彼女自身がそもそもやつれ顔であることから、第一幕の社交界の華としてのヴィオレッタよりも、第三幕での死に瀕してのヴィオレッタの方がしっくりきている感がある。最後の演技などはなかなかに鬼気迫るものがあって最大の見物となっている。

 アルフレードのチャールズ・カストロノボについてはいかにも甘ちゃんの若者と感じさせるような雰囲気がある。その歌唱も終始甘いのであるが、第二幕の嫉妬に駆られてパーティー会場に乱入するシーンなどはもう少し狂気に近いものがあっても良かったように思われる。

 やはり圧巻はドミンゴだろうか。落ち着いて貫禄タップリの父親・ジョルジョを演じている。この辺りはキャリアの差というところか。もっとも貫禄がありすぎて、本当に苦悩しているのかと疑問を感じるシーンもないではなかったが(笑)。

 「椿姫」は今までMETのライブビューイングも含めて何回も見ているが、やはり音楽なども劇的にストーリーを盛り上げるうまい構成になっており、この作品が人気がある理由が分かるような気がする。こういう劇的な音楽の使い方はやはりヴェルディは見事。


 ロイヤルオペラを楽しんでから帰途につく。それにしても花見客か、春休み最後の週末のせいか、やたらどこも人が多いのには閉口した。帰りの電車もそれでなくても満員のところに、JRで事故があったとかでダイヤが滅茶苦茶。おかげで通常よりもはるかに長い時間を寿司詰めの列車に乗せられる羽目になったのである。こりゃ散々だ。