徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

備前三石城&岡山桃太郎温泉&江戸の奇跡 明治の輝き展(岡山県立美術館)

 今日は久しぶりの山城訪問に美術館を絡めようと計画した。目指す山城は三石城。JR三石駅そばに聳える山上にある山城である。私はここのところコンサート通いばかりが週末行動の中心となり、体が鈍りに鈍っていたのでリハビリ登山の意味もある。

 山陽自動車道をひた走り、備前ICで高速を下りて北上すると三石はすぐである。三石城の登城口周辺には駐車場はないので、少し離れたところにある運動公園の駐車場に車を置く。三石城には裏手から回り込む山道もあり、そちらの方が高低差が少ないので楽という情報もあったが、そちらは道のりが長いので片道1時間ほどかかると聞いているし、そもそも今回はリハビリ登山ということで麓から登ることにしている。

三石城

 三石城は1333年に地頭の伊東大和二郎が築城したことに始まる。その後赤松氏が備前守護となった際に浦上宗隆が守護代として城主となり、以降浦上氏の居城となる。後に浦上村宗の時に赤松氏との対立が決定的となり、三石城は赤松義村の軍勢に囲まれるがこれを退けている。しかし1531年、浦上村宗天王寺の戦いで敗れて死亡(大物崩れ)したことにより廃城になったとのこと。まさに浦上氏と興亡を共にした城郭である。

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三石城登山口

 駅前の住宅街の中に三石城址登山口の案内看板まで立っており、登城口脇の民家の軒先に登城の栞まで用意されており、地元の方々のこの城址に対する思いが感じられる。登城路も険しい山道であるが概ね整備されていて、山城慣れしている者には全く何の不安もないがさすがにスリッパやハイヒールなどといったあまりに山を馬鹿にした格好だと命に関わりかねない箇所もいくつかある。また枯れ葉が降り積もっていて滑る場所もあるので、特に下山時には要注意である(実は私も下山時に一度滑って転倒している)。

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第二見張所

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まだ高度が不十分


 登り初めて5分も経たないうちに第二見張所と書かれた場所にたどり着くが、ここはまだ高度もそれほどないので単に見張所というよりは、兼登城口の番所といったところか。

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険しい山道をひたすら登る

 ここから本格的に山道を登ることになる。しかし険しい箇所にはロープやチェーンも張られているし不安はない。もっとも足下が崩れることが考えられるので、悪天候下での登山強行は避けるべきだろう。

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第一見張所

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ここは高度が十分

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目指す山頂はそこ

 20分ほどで第1見張所の看板にたどり着く。反対側が本丸への近道とのことだが、とりあえず第1見張所に立ち寄ることにする。少し下るがすぐに見晴らしの良い場所に出る。こちらは先ほどの第二見張所よりも高度があるのでかなり見晴らしは良い。また向こうに山頂も見える(後これだけのぼらないといけないのか・・・)。

 先ほどの分岐に戻ってくると、本丸への近道というルートを登りかけてふと考える。近道と言うことはもう一本の看板が出てないルートは遠回りということだが、確かこの城は一番の見所である大手門があるはず。多分そちらの方が大手門に立ち寄るルートだと判断して、そちらの看板のない方の道に進む。するとドンピシャ、数10メートル進んだところで「大手門→」の看板がある。しばしほぼ高低のない道を進むと大手門の立派な石垣が目に飛び込んでくる。

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大手門の立派な石垣

 大手門の裏手には枡形まであるようである。かなり本格的な曲輪。ここからさらに登っていくと、三の丸に出るのだが、三の丸の手前には馬場と表記された帯曲輪まである。とにかくこの三の丸は山頂にも関わらず結構広いので、ここに家臣の屋敷などを配置することは十分可能である。

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三の丸脇の馬場跡は奥に深い

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二の丸跡も結構広い


 ここから奥に進むと二の丸。三の丸よりは狭いがそこそこの面積がある。ここには倉庫などを配するところか。

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本丸は立派な屋敷を構えるに十分

 その奥の一番高いところが本丸であるが、これが想像以上に広い。さぞかし立派な屋敷を構えることが出来たであろう。この地に覇を唱えた浦上氏の本拠に相応しい城郭である。石垣なども使用しているし、往時にはかなりの威容を誇ったのは間違いない。また本丸周囲は結構切り立っており防御も鉄壁。井戸もあちこちにあるので水の確保も万全と言うことで、まさにこの地を治めるのには格好の城郭である。

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三の丸の石垣

 帰りは三の丸の先端まで行って三の丸の石垣を見学。こちらもかなり立派である。ここから下りてくると先ほどの「本丸への近道」の標識の所まで下りてくる。この道は登るのはともかく、下りる方はかなり注意しないと足下の危ない険しい道だったので、つまりは見学時にはこちらを登って、帰りに大手門から下りてくることを想定しているのか。確かにそちらの方が無難ではある。

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貫井戸は今も水を湛える

 帰路では往路で無視した千貫井戸にも立ち寄ることにする。底無し井戸との表記があるが、本当に底無しなほどに深いのかは定かではないが、今でも水を湛えていた。

 下まで降りてきて車の所に戻った時には昼を過ぎていた。久しぶりの登山なのでかなり体に堪えたが、ゲーゲー言いつつ途中休み休みだが本丸まで40分程度で到着したのでまずまずだろう。それにしても立派な城郭だった。これは続100名城に準ずると言っても良いぐらいの城郭では。それに地元による整備が良好であることも無視できないところ。

岡山桃太郎温泉

 もう昼時だし、かなり汗をかいたしということで昼食と風呂にしたいところ。どこに立ち寄るかと考えた時に頭に浮かんだの岡山桃太郎温泉。そこで車をそちらに向けて走らせる。とりあえず昼食は桃太郎温泉館の隣にある「御食事処ひなせ」「みやび弁当」を頂くことに。いかにも仕出し屋弁当的であるが、オーソドックスに美味い。

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御食事処ひなせ

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オーソドックスな和食です

 昼食を終えると隣の桃太郎温泉館で入浴。ここは泉質はアルカリ性単純温泉ということでそう特別な泉質ではないが、湧出量が毎分320リットルもあるということで、その豊富な湯で全浴槽を源泉掛け流しにしているという贅沢さ。また驚きはカランまで温泉水だということ。最近は源泉掛け流し浴槽にする入浴施設は増えてきたが、カランまで温泉が出るという所はあまり聞いたことがない。こんなことが出来るのも十二分な湧出量があるから。また湧出温度が41度なので全く加温加水が不要というのも奇跡のような温泉である。

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桃太郎温泉館は大衆演劇鑑賞や宿泊も可

 掛け流しの露天風呂でゆったりと体をほぐす。まさに極楽気分である。もう既にかなり両足がダルくなってきているので、とりあえずそれをほぐしておく。

 

 汗を流してサッパリしたところで岡山まで走ることにする。そもそも今日の目的は山城だけでなく、美術館との二枚看板である。

「江戸の奇跡 明治の輝き-日本絵画の200年」岡山県立美術館で4/21まで

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 最近評判の江戸絵画から幕末の動乱を経ての明治の絵画まで日本の絵画を概観しようという企画。伊藤若冲、曽我蕭白辺りから始まって、竹内栖鳳横山大観などに至る蒼々たる面々の作品を展示している。

 最初は江戸絵画から、ここでは伊藤若冲、曽我蕭白長沢芦雪、鈴木其一といった奇想系に加えて、円山応挙酒井抱一などの王道の正統派も加えている。先の奇想系画家については現在東京で大規模展覧会開催中なので作品があるのだろうかと心配していたのだが、寺社所有や個人蔵の名品を集めており、伊藤若冲などなかなかの秀品多数。個人的には一番面白かったのは芦雪の「蹲る虎図」。虎というか猫が丸まっているような妙に愛嬌のある作品でまさに芦雪の面目躍如。また応挙の精密な孔雀、酒井抱一の鮮やかな屏風などは非常に目を惹く。

 さらには与謝蕪村池大雅といった文人画に洋画の要素を大胆に取り入れた司馬江漢の作品、そして奇想の系譜展では無視されていた葛飾北斎の作品も展示されている。

 明治になると横山大観菱田春草といった面々の朦朧体に、何やらいつも楽しげな富岡鉄斎、さらには京都画壇の竹内栖鳳上村松園と行ったところの名品が多数。

 予想していた以上に作品のバリエーションがあり、さらにはそのレベルも高いものであった。地方美術館の企画といささかなめてかかっていたのを反省。

 実に見応えのある内容であった。これを東京で奇想の系譜展を開催中にぶつけてくるのがすごい。確かにあちらはインパクトのある作品が多かったが、網羅性ではこちらの方が勝っている。

 

 美術展を楽しんだ後はここの喫茶で展覧会と連携した特別セットを頂いてホッとする。ここの珈琲は本格的とはほど遠いものだが(インスタントではないかと思っている)、珈琲を飲み始めて日が浅い「違いの全く分からない男」の私には本格的な珈琲よりもむしろ口に合う。

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喫茶でマッタリ

 展覧会を楽しみ、お茶も楽しみ、久々に体を動かして清々しい気分で帰途についたのである。多分、私の足腰に地獄が訪れるのは明日の午後ぐらいだろう・・・。