今朝は6時半に目が覚めたが、昨日に比べると睡眠時間が短いのでやや眠気がある。とりあえずホテルの大浴場に体を温めに行ってから朝食に出向く。朝食は品目的にはあまり多くはないが味は悪くはない。
今日は比較的普通の「観光」をするつもり。まずは日本平に行ってここからロープウェイで久能山を訪問しようと思っている。ロープウェイが9時から運行なのでそれに間に合うようにチェックアウトする。
大混雑の日本平
山道を車で走るが、どうも車の台数が多いのが気になる。ロープウェイ駅の駐車場に到着したのはちょうど9時頃だが、「もうすぐ閉鎖しますから急いでください」と言われて驚く。いざ駐車場に到着してみると、もう既にロープウェイの乗車券売り場に長蛇の列が出来ている。GWを侮っていたことにここで気づく。今までGWとは全く無関係な場所ばかりウロウロしていたから、このことを忘れていた。結局はロープウェイ乗車までに30分以上待たされることに。40人乗りのゴンドラを片道5分の行程をピストン輸送しているが、次々とくる客を捌ききれていない状況。
ロープウェイに乗ると驚くのは日本平の山の南側の切り立った断崖。どうやら海底の隆起と浸食によるらしいが、それにしても急峻だ。またこれから向かう久能山もとんでもない地形。周囲は完全に切り立っており完全に要塞。それもそのはずで、ここにはそもそも武田氏の久能山城という山城があったのだという。ここに山城を築けば難攻不落なのは間違いない。アクセスするには下から1000段以上という石段を登ってくるか、このロープウェイを使用するかしかない。と言うわけで足腰にガタの来ている私にはロープウェイ一択というわけである。
久能山東照宮 徳川家康を祀る神社
家康の死後に遺命によってこの地に家康を埋葬すると共に、この山上に東照宮が建設された。後に徳川氏は威信をかけて日光東照宮を建築、家康はそちらに改葬されたとのことだが、実際には家康の遺体は久能山に埋葬されてたままとのことである。
ロープウェイの駅から出るといきなり現地は観光地モード。ここに博物館があるので見学する。展示されているのは歴代徳川将軍の甲冑。実用要素が強い家康の甲冑に対し、時代が進むにつれて実用性よりも装飾性の方が正面に出てきているのがよく分かる。またテレビでも放送されていた家康が薬を調合するのに使用した道具やネタ本も展示されている。これで家康は日々精力剤の調合に励んだのである。
博物館の見学を終えると本殿の方を見学することにするが、ほとんどの石段をロープウェイでショートカットしたとはいうものの、まだここからも石段は続いている。しかも山城時代の階段をそのまま使ったと言われているその石段は、最大で一段30センチ以上のところもあり、とにかく素直には登りにくいという代物。
石段を登ったところに本殿があるが、これは確かに日光東照宮を連想させるような煌びやかでど派手なもの。朱・碧・緑・金と言ったキンキラキンのいかにも宗教施設らしい外観である(京都などの寺院がわびさびの風情があるのは古いからであって、本来は朱塗りのキンキラキンが寺や神社の基本)。日光東照宮に比べると規模は小さいが贅を尽くしているのは分かる。
さらにその奥に家康を祀っている廟がある。かつての天下人も今は静かにここで眠っているわけだ。その脇にはひっそりと愛馬も祀られているようだ。さて彼が今、この迷走している日本の状況を見ればどう思うか。これはもう一度自分が天下を取って一からやり直さないとと考えるかもしれない。
なかなか見応えのある建物であったが、神社内に静岡らしく現代の仏像(ガンプラ)が奉納されていたのはなかなか笑えた。時代は変わるものである。
久能山の見学を終えるとロープウェイで日本平に戻る。帰りの乗客は行きの半分ぐらい。しかし日本平に到着したらロープウェイ待ちの客の列が数倍に伸びている。あの人数だと、最後尾は1時間待ち以上になるのでは。
日本平に戻ってくると近くの展望台に登って風景を眺める。生憎と富士山方面は雲がかかっているようで全く見えないがなかなかの絶景。ただこの手の風景には数秒で飽きてしまうのも私の習性。これでするべきことは大体終えたし、次の目的地へと向かうことにする。
三保の松原・・・は断念
次の目的地である三保の松原を目指して車を走らせるが、駐車場から出たところで駐車場に入るのを待つ車の行列に驚く。数十台単位で車の行列が伸びている。この連中がロープウェイに乗れるのは一体何時間後だろう? GW恐るべし。
この行列を見たところで不吉な予感が頭を過ぎる。日本平がこのざまだと、比較的近くの三保の松原は・・・。三保の松原に向かう道路に到着したところで予感が的中したことに気づく。道路が延々と渋滞している。恐らくこれが駐車場の入口にまで続くことになるのだろう。この時点で三保の松原に立ち寄ることは断念する。どうせ今日は富士山は見えないようだし、またいつか機会がある時にということにして車をUターンさせる。
今日の予定だが、後は今日の宿泊地である山梨方面への移動である。ただそろそろ昼時なので昼食を摂る必要がある。結局は考えるのが面倒なので途中で見かけた「はま寿司」に入店して寿司をつまむ。
身延山久遠寺 山中の大伽藍
とりあえず昼食が済んだところで山梨方面に向かう。ただこのまま山梨に直行だと面白くないので、途中で身延山に立ち寄ろうと思っている。願うべくは身延山は日本平のようなことがないことを。
身延山に向かって走ること1時間ほど。ここで私は予測が甘かったことを痛感させられるのである。久遠寺の門前町を走り抜けて、一番奥のロープウェイ駅最寄りの駐車場を目指したのだが、なんと駐車場から100メートル以上手前で大渋滞。どうも駐車場待ちの行列の模様。しかもこの道路がとんでもない登り斜面で、ブレーキを緩めるとオートマ車でも勝手にバックしてしまう状況。ここで前が進む度にチリチリと前進なのでひたすら坂道発進の連続である。私は左足ブレーキをアクセルと併せて車が後退することを防いでいたのだが、前の車は発進の度に豪快に後ろに数十センチ下がってから急発進するので危なっかしくて仕方ない。結局はこの坂道発進の連続を30分以上に渡って繰り返させられることになった。もしマニュアル車が混じっていたらドライバーは完全に左足が死んでいるところだろう。
ようやく駐車場に車を置くと、駐車場奥にある斜行エレベータで久遠寺境内に上がる。このままロープウェイに向かっても良いが、どうせならその前に久遠寺の見学をしておくことにする。
それにして大伽藍である。しかも下の山門からの石段がすごい。久能山も1000段を越えるとんでもない石段があるのだが、ここもかなりのものであり傾斜もきつい。高所恐怖症がある私はのぞき込んだら軽く目眩を感じるレベル。
建物内を見学できるようなので寺院を一周する。中には就業中の僧侶などもいるようであるが、その一方で妙に観光慣れを感じさせる。この聖俗入り交じった奇妙な感覚は以前に福井の永平寺で感じたものと同じである。良くも悪くもお寺も「今風」になってきているんだろう。
久遠寺を一回りするとロープウェイで身延山に登ることにする。ロープウェイはそう大きなゴンドラではないが、山上まで上る人間があまりいないのか大して混雑していない。標高が上がるにつれて背後に富士山が見えてくる。
山上は展望台に売店などもある観光地。ここでよもぎ団子を頂くが、これがあえて串を切って渡すのがポイント。苦(く)死(し)を切り捨てる縁起物らしい。これで私も俗世の苦しみから解放されるか・・・ってこう書いてしまったら、成仏する意味になってしまうな。それはまだ少々早い。なお団子は香ばしくてなかなか美味かった。
ここの奥に久遠寺の奥の院があるのでついでにそれも参拝しておく。なおここの奥には日本アルプスを一望できる絶景の展望台もある。
山上を一回りしたところで山を下りようと考えるが、売店内にロープウェイを待つ大行列が出来ていた。どうも山上に来ていた観光客がそろそろ帰り始めるピーク時間に当たってしまったらしい。何か今日はロープウェイで並ばされてばかりいる1日である。結局は20分程度ここで待たされて身延山から下りてくる。
身延山を後にすると今日の宿泊地である石和温泉を目指すことにする。ただ私のカーナビの地図が古いせいで中部横断自動車道が全く存在しないので、Googleマップで場所を確認してから手入力で下部温泉早川ICを指定する。事前にマップをよく確認しておいたので幸いにして道に迷うことはなかったが、高速に乗った後は私のカーナビはしばし道なき道を走ることになっていた。
途中で低速車につかえるなんてこともあったが、無事に甲府まで到着、ここからは渋滞気味の一般道を通って石和温泉を目指す。今日の宿泊ホテルは大江戸温泉グループのホテル新光。長期遠征ということで宿泊費に予算のしわ寄せが来ているので、本遠征ではここが一番の高級ホテルになる。現地に到着すると大きな建物が見える。この地域を代表する大型ホテルのようである。現地に到着すると駐車場が満杯で車を止める場所に困るぐらい。
私のシングルルームは所謂旅館ぽくはない部屋だが、まずまず良い部屋。イメージとしては独身者の寮といったところ。もしかして元は従業員寮? 温泉旅館でシングル泊だと、もろに添乗員部屋で煙草の臭いが染みついているなんとこともよくあるので、これなら上々である。
部屋で着替えるとまずは大浴場へ。石和温泉はアルカリ単純泉とのこと。ヌルヌル感はそう強くはないが肌当たりは柔らかい優しい湯。今日もなかなかに疲れたのでこれでたっぷりと疲れを抜く。
入浴を終えて部屋でしばしくつろぐと、すぐに夕食の時間となるのでレストランへ。相変わらず大江戸温泉のバイキングは質量共に満足のいくもの。品数も多いし味もまずまず。今時の学校給食以下という伊東園などとは比べるべくもない。「圧倒的じゃないか我が夕食は」とギレン総帥もご満悦だし、「バイキングは品数だよ!」のドズル閣下も満足されている。
一渡りを頂いてから、やはり山梨といえばほうとう、それにクラムチャウダーを頂いてからデザートで締め。久しぶりに死ぬほど食ったと言えよう。
部屋に戻ってしばしこの原稿の入力を行ってから再び入浴。体がとろけそうという感触。体の表面に疎水性皮膜が出来た感触で、一回目の入浴よりも明らかに体が濡れない。湯が体に絡みつかずにそのまま流れ落ちる感覚。
かなり体に疲労が出てきたので夜の10時過ぎには就寝する。