徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

異世界に転生したら魔法も剣も全くダメのパンピーだった件

 最近はオタの妄想を反映してか異世界転生ものが全盛とのことだが、私がその手の作品を書いたとしたらこういうのになるだろうな・・・。


 22歳でニートの新島リョータ。以前から「自分の歩むべき人生はこんなつまらないものではないはず」との考えを持っていた彼は、高校の途中で中退、そこからは引き籠もってゲームに明け暮れる毎日。いつかは異世界に転生して勇者になるということを夢見ていた。

 そんな彼がある日、コンビニに買い出しに行った帰りに暴走車両にはねられ飛ばされる。しばし意識を失い、ハッと気がついた時には辺りの様子が全く違う。どことなく中世ヨーロッパ風の街並み、これはもしかして憧れの異世界・・・夢が叶って小躍りするリョータ。「さて、俺の能力は・・・」いろいろ調べようとしてみるが、どうやってもMPもHPも各種パラメータも全く分からない。その時、町の人の叫び声が「ゴブリンの襲撃だ!」。

 たかがゴブリン如き雑魚、そう思って現場に駆けつけるリョータ。しかしどうやって戦えば良いのか分からない。適当に思いつくゲームの呪文を何個か唱えるが全く何も起こらない。「もしかして俺は魔法使いでなくて剣士か?」そばに落ちていた剣を拾ってゴブリンに斬りつけるが、その一撃はあっさりとかわされ、リョータの剣は簡単にゴブリンに弾き飛ばされる。剣を構えて迫ってくるゴブリンに青ざめながら後ずさりするリョータ。「助けて!おまわりんさん!いや、自衛隊!」いよいよこれまでかと思ったところで、ようやく駆けつけた衛兵達に助けられるリョータ。

 この世界で一体どうやって生きていけるか、この世界の軍事技術がようやく黒色火薬が登場したぐらいであることが分かったリョータは、自分の軍事技術を売り込もうと城に乗り込む。とりあえずは銃について説明するリョータ。しかし城の技術者から「原理は分かるのだが、その火薬の爆発に耐えられる強度の筒はどうやって作るんだ?」との質問で、鍛冶屋でもない彼は返答に窮してしまい「机上の空論」として否定されてしまう。次は戦争に対する知識から軍師としての売り込みを図ろうとするが、そもそも実戦経験もない上にこの世界の軍事技術を良く理解していないリョータは話自体が全くかみ合わず、こちらは「机上の空論以前」と完全に門前払いを食らう。

 「いきなりハマったか・・・」。どうしようもないリョータは町の中でパーティー組む仲間を探すが、屈強そうな戦士には全く相手にされない。それどころか声をかけた美少女には不審者扱いされて衛兵に捕らえられそうになる始末。「俺を助けてくれるNPCはいないのか?!」あてもなく街をうろつく内に、空腹から行き倒れのように倒れてしまうリョータ。

 そんなリョータを救ったのは中年のパン屋のボルカ夫妻だった。パンを与えられてようやく生き返るリョータ。これからどうするつもりなんだと聞かれて「自分はこの世界を救う勇者になるはずの男だ」と答えるリョータ。それまで穏やかな表情を浮かべていたボルカの顔が険しいものになって「どうやって?! お前は剣の達人か何かか?!」と厳しく問い詰める。返答に窮するリョータに対してボルカは続ける。「今時の若者は皆そのようなことを言う。しかし勇者だろうが戦士だろうが腹が減ればパンを食う。俺たちはそのパンを作っている。そして百姓はパンの材料となる麦を作る。実際に世の中を支えているのはそういった俺たち普通の人間だ。」という事をつぶやいて悲しげな表情を浮かべる。

 リョータは後でボルカの妻から、彼らの息子が「俺はただのパン屋なんかで終わらない男だ!」と家を飛び出したということを聞かされる。彼は城の衛兵達と共に意気揚々と近くのオークの集落の討伐に出かけたのだが、その初戦であっさりと戦死してしまったのだという。ボルカの心の奥底の悲しみに気付くリョータ。

 その後、リョータはただ居候するわけにもいかないので、ボルカの元でパン焼きの手伝いをすることになる。ボルカの事を「親方」と呼んでパン焼きの技術を身につけていくリョータ。ただボルカのパンは決してまずいものではないにも関わらず、店が繁盛しているわけでないことが気になるようになる。それに対してのボルカの答えは「パン屋はあちこちにあるからな」というもの。リョータは「それだったら、他のパン屋では作らないようなパンを作れば」と提案する。どんなパンを作れば良いんだ? と聞くボルカに「例えばジャムパンとかクリームパン」と答えるが、「なんだそりゃ?」と返される。そこでやむなくリョータは記憶を頼りにジャムパンの試作品を焼き上げる。

 間もなくリョータの「変わりパン」は街の中で大評判となる。記憶に基づいて、クリームパン、あんパン、さらには全くオリジナルのパンを作り上げるリョータ。リョータのパンは大ヒットしてボルカの店は大繁盛することになる。ボルカがリョータに言う。「お前はもしかしたらパン屋の天才かもな。こんなパンはお前以外、誰にも思いつかなかった。」そう言われたリョータの頭に一つの考えがよぎる「もしかして、これが俺の特殊能力か?」

 そんな時に街がまたゴブリンの襲撃を受ける。自分の店を守ろうとしてゴブリンに立ち向かうボルカ。しかし追い詰められる。「親方!」慌てて棍棒を握るとボルカをかばって飛び出すリョータ。そのリョータの背中にゴブリンの一撃が振り下ろされる。「うわっ」そのまま気を失うリョータ。

 リョータが意識を取り戻した時にはそこは病院のベッドの中だった。回りを見渡すと見慣れた両親の顔があった。ホッとしたように脱力する母親。「ここは・・・」一瞬考えるリョータ。右手を握りしめると、先ほどまでの棍棒の感触が残っていた。「親方・・・」小さな声で呟くリョータ。意識を取り戻したリョータの顔を心配そうにのぞき込む両親にリョータはハッキリと答える。「母さん、父さん、俺は明日から働くよ。」病院を退院した後、近所のパン屋で元気に働くリョータの姿があった。彼はいずれ独立して自分の店を持つという夢を持っている。その時の店名は決まっていた「ボルカのパン屋2号店」だった。「最初の店なのになぜ2号店なんだ」と聞く人にリョータは笑顔で答えるのみ。


 うーん、ザッとプロットを書いてみましたが、相変わらず私のセンスは古くさくてベタですね。恐らくこの話だと、今時のオタの琴線には全く触れんだろうな(笑)。なお私にはこのプロットで実際に小説を書くだけの文才はありませんから、このプロットで小説、もしくはアニメを作ろうという奇特な方がもしいらっしゃいましたらご一報ください。アイディア料はお安くしておきます(笑)。