徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

「奇跡の芸術都市バルセロナ」at 姫路市立美術館&「あずきミュージアム」by 御座候

 今日は姫路に出向いて映画と美術館の予定。先日にバッチリと予習をしているので今日は新海誠監督の「天気の子」を見るつもりだった。

 しかし、いざ姫路アースシネマに到着すると・・・なんと駐車待ちの車列がビルを一回りしている。駐車場が満車なので空き待ちをしているようだ。ザッと見えているだけで50台以上はいる上に、さらに裏手にまで車列は続いていそうである。とてもではないがこんなところを待っていられない。今日の映画は断念して後日に改めることにする。それにしても恐るべし盆休み。今回は何となく予感がして映画のチケットの事前購入をしていなかったのだが(駐車場に入れないということを想像したというよりも、何らかのトラブルで時間までに劇場に到着できない可能性があるという漠然とした予感である)、それが正解だったようだ。

 映画を諦めると最寄りの美術館に立ち寄ることにする。今日の主目的にはそもそもここに立ち寄ることもある。

 

「奇跡の芸術都市バルセロナ」姫路市立美術館で9/1まで

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 スペインのカタルーニャ地方は元々独自の言語と文化を持つ独立国であったが、スペイン継承戦争などを経てスペインに併合されたという。その際にバルセロナは城塞に押し込められるような街になってしまったのであるが、19世紀になって産業革命による都市の発展と共に、かつての城壁が撤去されて都市計画に基づいて新たに生まれ変わることとなった。その後のバルセロナは万国博覧会の開催を経て、独自の文化が花開くこととなる。このような時代からスペイン内戦に至るまでのバルセロナの芸術の潮流を紹介。

 当初はマスリエラなどのやや伝統的な雰囲気の絵画から始まる。そして経済が好調になるにつれて建設がさかんになり、そこで登場するのがガウディである。本展ではガウディデザインの椅子が展示されているが、機能的でありそうながら奇妙なシルエットはガウディらしいところか。

 さらに19世紀末頃からはパリなどの芸術潮流を受け、そこにカタルーニャ独自のスタイルを確立するムダルニズマが現れる。ここで登場するジュアン・リモーナなどの作品はやや印象派的な雰囲気が漂う。その後は芸術家の溜まり場となったカフェ「四匹の猫」で活躍した芸術達の作品を紹介。この辺りはどことなくパリの「ムーラン・ルージュ」と呼応しており、作品も段々と現代に近い色彩を帯び始める。そしてついにはピカソやジョアン・ミロといった前衛芸術の登場となって本展は終了である。

 バルセロナを紹介する観光案内的な展示になるのではという予感もあったのであるが、案に反して美術品を中心にしっかりと展示してあり、なかなかに興味深い内容であった。表題で「奇跡の芸術都市」と冠してあるバルセロナの芸術潮流にを通して、この時代のヨーロッパ自体の芸術潮流も透けて見える面白い展覧会であった。


 姫路市立美術館は最近改装があったのだが、改装によってこれまで廊下スペースに申し訳程度に展示されていたコレクションギャラリーが、よりしっかりとした展示室となって展示作品が増えていた。今回はベルギー近代美術を展示してあったが、エミール・クラウスの作品など、なかなかに見応えのある作品が展示されており興味深かった。


 美術館を後にすると次の目的地に向かうことにするが、ここの駐車場の高さにまた呆れることになる。何しろ美術館の入場料が1000円なのに、1時間足らずしか利用していない駐車場の料金が600円。ここの駐車場の料金体系はなぜか3時間600円からになっているのである。なぜ1時間200円でないのか? そもそもこの駐車場は姫路市の外郭団体の運営である。しかも美術館最寄りの駐車場であるにもかかわらず美術館利用での割引は全くなし。これに関しては毎度ながら呆れるほかない。姫路市は姫路城という世界有数の観光資源を抱えているにもかかわらず、根本的に観光に対する経営意識がなっておらず「おもてなし」以前の問題である。

 何しろあまりに中身がひどすぎて来場者のほとんどが「高い入場料を払って長時間待った挙げ句に菓子箱を見せられただけ」と猛烈な不満を抱き、姫路の悪名が全国にとどろいたあの「菓子博」でさえ、内部評価では「大成功」ということになっているのだから根本的に考え方自体が狂っているとしか思えない。あの菓子博なんか、もし私が姫路市の重役か市長だったら、企画を持ってきた時点で「アホか!」と一喝して中止させている。あんなイベントが成功するわけがないのはやらずとも企画の段階で明らかであったのだが、それさえ分かっていなかった上に、しかもその事実をまともに反省もしてないのだから、相当根深いダメ体質だと言える。この自治体はこれが一事が万事である。もし私が姫路の市長にでもなったらこの体制を一新し、新たに姫路城を中心に書写山なども絡めた一大観光都市として姫路を売り込むと共に、「馥郁たる文化の香りのする街・姫路」のキャッチコピーの元に姫路の文化施設を一新するのだが・・・(特にあの全く使い物にならない姫路市文化センターは全面的に作り直す)。そもそも姫路駅の改修にしても、あんな意味のない駅前広場を作るぐらいなら道路を南北貫通させて、さらにそこに路面電車を通している。とにかくこの自治体は戦略も思想も何もない。どれだけ無能揃いなのだと呆れる。

 ・・・暑さと怒りで我を忘れそうになった。少し頭を冷やすために自販機で買い求めた綾鷹を飲み干すと次の目的地に向かうことにする。

 

御座候のあずきミュージアムを訪ねる

 次に立ち寄るのはあずきミュージアム。姫路市民のソウルフードである御座候(他地域の方のために解説すると、いわゆる大判焼き、回転焼き、今川焼きと呼ばれる焼き菓子である)のメーカーが設立した日本で唯一の小豆専門の博物館という変わった施設である。そもそも御座候の工場内に建てられており、売店では焼きたての御座候なども購入することが可能とのこと。

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あずきミュージアム

 駐車場に車を入れるが、意外に人気施設なのか結構車が止まっている。先に売店を覗くが昼時でもあるせいか人が一杯である。

 売店を一回りするとミュージアムの方に向かう。博物館を見学する前に博物館棟のレストランで昼食を摂ることにする。「小豆御膳(1500円)」を注文。

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中庭を眺める雰囲気の良いレストラン

 赤飯を中心に小豆の入った料理を集めた膳である。味付け的には非常に上品という印象。下品な私にはもう少し濃いめの味付けでも良いかなという気がする(特にこのようにやたらに暑い時期には)。

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小豆御膳

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デザートのあずきソフトが付随

 昼食を終えるとミュージアムに入場する。内部は小豆の種類、歴史、栽培から収穫方法など小豆に関する情報を徹底的に紹介している。非常に密度の濃い展示。

 小豆の歴史を東アジアの古代史に絡めて紹介している30分の映像がなかなかに秀逸であったが、やけに本格的な良く出来た映像だと感心していたら、上映終了後に「企画御座候 製作NHKブラネット」との表示が。道理で本格的なはずである(笑)。もっとも東アジアの農業史になってしまうとどうしても稲作伝来の方がメインになってしまって、小豆の存在感は薄くなるきらいがある。そもそも小豆は東アジアの照葉樹林系文化の伝来と共に伝わってきているようだが、小豆は雑草として生えていたものも存在したので、いつから作物として栽培されたのかという判断が非常に難しいのだとか。

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一階に展示されている巨大な小豆の模型

 2階の展示はより御座候らしい生活の中での小豆の展示。御座候の焼き器の展示まであったが、これはあえて展示する必要があるかは疑問(笑)。生活の中での赤色について展示したコーナーが韓国や中国の真っ赤っかの衣類などを展示してあって、目に刺さりそうな派手さ(笑)。またこちらでも小豆を通して日本の文化と自然の関わりを紹介するかなり説教くさい(笑)映像展示があったが、こちらも製作NHKプラネット。

 入場料1200円というのはやや高い気もするが、意外に楽しめる展示であった。ここに来たらレストランに立ち寄るだけでなく、1度は入場しても良いのではなかろうか。

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入場時にもらった記念品は御座候色の缶に入った小豆色のクリップ

 あずきミュージアムの見学を終えると、再びアースシネマ姫路を覗いてみるが、車列は縮まるどころかさらに伸びた印象。これで完全に諦めて帰宅することに相成ったのである。それにして灼熱地獄で疲れた。