徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

METライブビューイングアンコール ワーグナー「タンホイザー」

 台風一過・・・というものの、今度は灼熱地獄が襲来している今日この頃。出来ることならあまり出歩くことは避けたいところだが、現在神戸の国際松竹でMETライブビューイングのアンコールで「タンホイザー」が上映中とのことであるので、それを見に行くことにした。これは2015年のシーズンの公演で、レヴァインが例のセクハラ騒動で追放される以前の公演のようである。本作品は私は今まで全く見たことがないので、この際に見ておこうという考え。私は同じ作品を何度も見に行こうと考えるほどコアなオペラファンではないが(と言いながらも「椿姫」などは既に複数回見ているが・・・)、やはり見たことのない作品には興味がそそられる(しかもメジャー作品だし)。

三ノ宮で昼食

 上映開始が12時からなので、三ノ宮に11時頃に到着すると、まずは昼食をどこかで摂ることにする。面倒なので阪神三宮横の飲食店街をうろついて「酒房 灘」に入店する。この店は夜はおでんを中心とした飲み屋であるが、昼には昼食用の定食メニューがあり、過去にも何度か利用したことがある。

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三ノ宮地下の灘

 私が入店したのは開店直後である。注文したのは「すき焼き定食(980円)」だが、煮込み時間が必要なのかしばし待たされることに。その間に店内には次々に客が訪れて満席状態となる。料理が出てきたの10分以上経ってから。

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意外に野菜が多い(笑)すき焼き定食

 思いの外、野菜が多くてヘルシーである(笑)。味付けが濃すぎずちょうど良いところ。コストを考えるとまずまず悪くない内容だと考える。

 

 昼食を終えると地下伝いで国際会館へ。11階の劇場からは大量の女の子がゾロゾロと出てくるところだった。いわゆる腐女子受けしそうな作品が上映中のようで、劇場前には二次元イケメンのポスターが多数貼ってあり、本日の上映会はすべて満席との表示が出ていた。私の若い頃はいわゆるアニオタは宮崎勤事件なんかのせいで白眼視(と言うよりも端的に言えば危険視)されていたが、今では若者のアニオタ率はかなり増している上に、彼らは堂々とオタ活動をしている。何となく隔世の感がある。

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国際松竹

 「タンホイザー」の上映はシアター2。ここの劇場は平土間のせいでスクリーンがかなり高い位置にある。そのために見上げる形になるから首がややしんどい上に、頭がシートに埋もれる形になり、それでなくても貧弱な音響がさらに貧弱になるという悪条件。この作品を見るのに適した劇場とは言いにくい。

 

METライブビューイング ワーグナー「タンホイザー」(2015年度版)

指揮:ジェイムズ・レヴァイン
演出:オットー・シェンク
出演:ヨハン・ボータ、ペーター・マッテイ、エヴァ=マリア・ヴェストブルック、ミシェル・デ・ヤング、ギュンター・グロイスベック

 恋人であるエリーザベトがいながら、官能の愛に憧れて愛の女神ヴェーヌスが支配するヴェーヌスベルクで官能の日々を送っていたタンホイザー。しかしその生活に倦んだ彼は人間界に戻ってエリーザベトの元に現れる。しかし歌合戦で官能の愛の歌を歌ったことでヴェーヌスベルクに堕ちていたことがばれ、背徳者として非難されることになる。領主から追放されて贖罪のためにローマに出向くが、教皇からは「永久に救済されることはない」と見捨てられる。失意で再びヴェーヌスベルクに堕ちようとしていた彼を救済したのは、命を捨てたエリーザベトの純粋な愛の祈りであった・・・という何やら説教臭さも秘めたエピソードであり、ワーグナーの私生活を考えると「お前がそんな偉そうなこと言えるのか」とツッコミを入れたくなる作品でもある。

 ただ人格はともかくとして、さすがにワーグナーの音楽は冴えている。序曲などに登場する基本フレーズを使用して全体の音楽に統一性を持たせつつ、場面に合わせた音楽を盛り上げる手法はさすがである。

 さらにさすがであるのは主役陣の実力。主役のタンホイザーのヨハン・ボータ、エリーザベトのエヴァ=マリア・ヴェストブルックの存在感が抜群であるが、彼らに劣らぬのがボルフラムのペーター・マッテイ。二幕でのハープに合わせて気高い愛を歌うアリアなどはなかなかの見せ場であった。また一幕とラストで登場したヴェーヌスのミシェル・デ・ヤングの歌唱もなかなかに立派であったが、二幕に登場したのみの領主のギュンター・グロイスベックの堂々たる威厳ある歌唱はかなり印象的であった。

 特に奇をてらわぬ正統派な演出も作品を阻害しなくて正解。ワーグナーの作品はとかく奇をてらう演出に走りがちになるので、こういう演出の上演を見るとむしろホッとするところがある。

 何となく下半身が暴走気味の10代男子が、同年代の彼女に飽き足らなくて年上女性とのめくるめく官能の世界に溺れるが、やがてそれに倦んで彼女の元に戻ろうとするけれど・・・というような話に見えなくもない。ただこうしてしまうと、急に格調高いオペラでなくて下品な昼メロになってしまう(笑)。もっともオペラのストーリーは、オブラートに包んではいるが本質はかなり下品なものも多い(笑)。そもそもモーツァルトなんて人間そのものがとんでもなく下品だし(笑)。

 

宇治金時ドーピングをして帰宅

 オペラの鑑賞を終えると帰りにサンチカの「神戸風月堂」に立ち寄って「宇治金時」ドーピング。やっぱり灼熱地獄の時にはこれに限る。

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さんちかの風月堂

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宇治金時でホッと一息

 宇治金時ドーピングでようやく生き返ると家路につくのであった。なおMETライブビューイングのアンコールであるが、本作以外にも見たい作品はあるのであるが、平日上映で行くことが不可能だったり、週末でも他の用事とまともにブッキングしていたりなどで、スケジュール的に合わない場合がほとんど。せめてなんばパークスシネマとスケジュールがズレてたらまだ何とかなるのだが・・・。