徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

関西フィル第304回定期演奏会&「山村コレクション」「灘本唯人の全貌」in 神戸

 世間が夏休みの頃はオケもオフシーズンである。既に9月も半ば、ようやく各オケも営業再開となった模様。今日は一ヶ月ぶりぐらいにザ・シンフォニーホールにコンサートに出向くこととなった(コンサート自体は先々週に豊田のN響に行っているが)。

 午前中に家を出ると大阪に向かうが、その前に寄り道をする。やはり夏の暑さのせいで美術館もパスしてたので行くべき展覧会はある。JRの灘で降りると、最初の美術館へ。

 

「集めた!日本の前衛-山村徳太郎の眼 山村コレクション展」兵庫県立美術館で9/29まで

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 山村硝子の社長であった山村徳太郎氏の個人コレクションだという。山村氏は日本の前衛芸術を中心に作品をコレクションしている。

 コレクションの最初は津高和一の「母子像」から始まったという。この作品は津高の初期の作品なのか、まだ具象の影が残っているので、比較的分かりやすく印象も強い作品。ただしこの後の津高の展開は抽象に走って絵の具を塗りたくっているだけの「私でも描ける作品」ばかりになっていって興味を惹かない。

 こうして眺めていると、私は以前に「つまらない画家」と感じていた元永定正辺りの作品が意外と面白いことに気づく。特に「ヘランヘラン」などは空中に巨大クラゲがぶら下がっているようなイメージで、オトノマペ的に本当にヘランヘランとしか表現のしようがない。異様な色彩といい、なかなかに目を惹く。これ以外では形態に対する異常な執着が見える関根美夫の「そろばん」とか超自然的な印象の四宮金一「Room(25)」などは私の感性ともなかなか合致する。

 ただ80年代以降の作品となるとやたらに巨大作品が増え、私の目には素材とスペースの無駄遣いにしか映らないようになってくる。アルミで立体の巨大図形を作る内田晴之の作品などは今日によく見かけるタイプ。高田洋一の作品などは芸術的感慨はともかくとして、造形的な興味は持たせるものではある。

 玉石混淆の感はあるが、これだけの作品を集めた執念はなかなかのものである。果たしてこの中でどれだけが年月によるフィルターを経た後に真に名作として生き残ることが出来るのだろうか。

 

 美術館を一回りした頃には11時過ぎになったので、次の目的地の前に昼食を摂ることにする。最初に訪れたのは洋食SAEKIだったのだが、月曜日のせいか祭日のせいかは定かではないが休みの模様。そのせいか手前の担々麺の店に大行列が出来ている。しかし私は担々麺が欲しい気分でもないので、別の店を探す。結局入店したのはBBプラザの隣にある「神戸肉処 壱屋」。高級焼肉店のようだが、ランチ向けのリーズナブルの価格のメニューもあるようだ。ランチメニューの「200グラムステーキのランチ(1000円)」を注文する。

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壱屋

 価格的にやはり良い肉を使うわけにもいかないので肉自体はそれなりである。しかし焼きもソースもまずまずというわけで、価格を考えるとCPは悪くないだろう。

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肉はそれなりだがCPはまずまず

 昼食を終えると隣の美術館に立ち寄る。

 

「イラストレーター・灘本唯人の全貌 -男と女のレシピ-」BBプラザ美術館で9/16まで

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 イラストレーター灘本唯人の作品を展示した展覧会。灘本唯人という名前を聞いてもピンときにくいが、彼の作品はありとあらゆる場所で使用されているので、作品を見れば見たこともあるある人も多かろう。私も彼の作品を見た途端に、細木数子のインチキ本の表紙がまっさきに頭に浮かんだ。

 かなりザックリと描いた印象を受けるイラストだが、対象人物の特徴を良く捉えてデフォルメも加えながら描写している。ミュシャではなくてロートレックのスタンスである。私の印象に残ったのは「日本の歌い手」たちを描いた作品であるが、東海林太郎から安室奈美恵までと年代は多種多彩な混淆なのであるが、いずれもなかなかに特徴を捉えていて説明が付いていなくても誰だか分かる。ところで一人だけ名前表示なしで黒く塗りつぶされている人物がいたが、どうやらあれは田代まさしのように思われる。

 どこか面白くてエスプリの効いたセンスの良いイラストと言ったところ。この人も一時代を作った人物であるようである。

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こういうタイプの絵

 展覧会の見学を終えたところで阪神石屋から梅田に移動する。梅田駅からザ・シンフォニーホールまで歩く。最初は太陽が雲影に隠れており風に涼しさを感じたのだが、途中に雲間から太陽が顔を覗かせた途端に辺りは灼熱地獄に変化する。気温には秋が迫りつつあるようだが、まだまだ日差しは灼熱の夏である。ホールにたどり着く頃には全身汗だく、これはたまらんとカフェで冷たい飲み物でも買おうと思ったが、同じことを考える者が多いのか、カウンターには大行列であった。しばし行列に並ばされた後に、コーラとサンドイッチを購入して一息つく。

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カフェで一息つく

 カフェの中も大勢の観客でごった返していたが、客席もほぼ満席で補助席まで出ている状態。デュメイの人気?にしてはあまりに多すぎる。やはり長いオフシーズンの間に禁断症状が出ていたクラ中が多いのか?

 

関西フィルハーモニー管弦楽団 第304回定期演奏会

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[指揮]オーギュスタン・デュメイ
[ピアノ]ジョナサン・フォーネル
[管弦楽]関西フィルハーモニー管弦楽団

ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
ショパン:ピアノ協奏曲 第2番
ベートーヴェン:交響曲 第6番「田園」

 一曲目はショパンらしくロマンティックにピアノが大活躍する曲。途中から唐突にオケも加わるが、それはあくまで添え物(笑)。中心はあくまでピアノで最後までピアノが大活躍である。二曲目も若きショパンの情熱がたぎるような協奏曲。後の1番(2番の方が作曲は先らしい)につながる雰囲気はあるが、オーケストレーションなどの点では1番以上に若気の至りも散見される曲である。

 そのショパンの曲をフォーネルは実に軽やかかつロマンティックに弾ききった。バックのデュメイは決して情緒に流れない淡々としたところのある演奏なので、全体的にはかえってバランスが取れているような印象。

 休憩の後はフォーネルはさりげなく客席の側に回って鑑賞。その中でデュメイの田園が始まる。デュメイの指揮はやや早めのグイグイと前進力の強い演奏。決して煽っているわけではないし、情緒に溺れてしまわないのは相変わらず。冷たい演奏ではないがクールな印象を受ける演奏。関西フィルの音色もいつになく硬質に響いて、やや弦の艶のようなものが後退している印象を受けた。個人的にはもう少し、ねっとりしっとり響いた方がこの曲は心地よいような気がするのであるが。


 これでこの週末の予定は終了である。まだ暑さの残る中を家路へとつくのである。明日からまた仕事だ・・・。