徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

コミック最新刊「キングダム」「宇宙兄弟」「鬼灯の冷徹」感想

 ここ数日で立て続けに私が前から愛読していたコミックの新刊が発売されたので、それに対する感想的なものを残しておきます。

「キングダム55巻」

 前巻から死亡フラグが山ほど立っていた松左が、やっぱり死にましたという内容。ただ飛信隊メンバーの中では死亡については河了貂に報告が行くだけという「ナレ死」の奴が大半の中で、さすがに古参の幹部だけあってなかなかに見せ場もある良い扱いを受けていたという印象。私はこの戦いでは飛信隊の幹部クラスの誰かが死ぬのは必至と見ていて、若手連中との絡みで崇原か松左と見ていたのだが、前巻で松左にフラグが立ちまくってのを見て「松左で確定か・・・」と考えていたところ。ああいうクールなタイプのキャラクターの最期は、ああいう熱いところをみせて死ぬというのは定番中の定番。

 松左の死の意味は、飛信隊が身を切る苦しい戦いをしているということを示すだけでなく、若手連中の成長の肥やしという意味が大きいだろう。特に干斗は明らかにもう一人の主人公という扱いなので、彼の成長のためという側面が大きい。この作品の主人公である信が既にあまりに化け物クラスになってしまって、最初の頃の必死であがきながら這い上がっていくという描き方がしにくくなってきているだけに、それを補う第二主人公は作者としても欲しいところだろうと思う。干斗登場の意味は、作者的には「遅れてきたもう一人の信」というところだろう。

 さて今後の展開だが、気になっているのは李牧の最期をどうするかである。歴史的には李牧は最期はあの馬鹿王に謀反の疑いをかけられて処刑されるというのは確定している。しかし信が「成長のために乗り越えるべき壁」と捉えている李牧の最期がこれではどっちらけである。となると扱いをどうするか。考えられるのは史実を無視するパターンと、史実を取り入れるパターン。史実を無視するのなら、趙が滅んだ後にあの賢そうな皇太子が立国するから、李牧はそこに同行してそこで信と雌雄を決するということが考えられる。歴史に従うのなら、現在の戦いで信が李牧と一騎討ちになり、明確に信の勝利が確定する展開(例えば信が李牧の片腕を切り落とすとか)になるが、李牧の命を取るところまでは行かず、敗走した李牧があの馬鹿王に処刑されてしまうという展開。信としてはスッキリとはしないだろうが、一応は壁としての李牧を超えたことにはなる。私なら考えつくのはまあこの辺り。

 後、信のモデルは李信であることは作者も明言しているので、歴史から見れば彼は後に蒙恬と二人で意気揚々と楚に攻め込むが、そこで項燕にケチョンケチョンにやられて多くの武将を失う大敗をする。当然ながらこの時に飛信隊の幹部クラスにまた人死にが出るはずであり、私はそれは渕さんだと見ている。項燕の急襲で全軍総崩れになって逃亡せざるを得なくなる時に、渕さんが「ここは私が食い止めますから早く撤退を」と捨て石になるという展開。渕さんのような地味な縁の下の力持ち的なキャラの一番の見せ場はこういう場面なので、ここで華々しく最期を迎える。そしてずっと影から飛信隊を支えてきた渕さんを失うということは、飛信隊にとっても信にとっても大きなダメージであり、そこから立ち上がるという展開を描けるという次第。

 まあこれからの展開がどうなるかなんて作者の胸先三寸ですから、外野がウダウダ言っても意味のないところではありますが。

「宇宙兄弟36巻」

 ああ、やっぱりヒビトが月に行くことになったか、ということに尽きる。いや、そうでないとこの作品は終われないでしょ。私はこの作品のラストシーンはムッタとヒビトが月面に並んで立つところで、そこにかつて子どもの頃の二人の姿を重ねて「宇宙兄弟 完」だと思っているから。恐らくそこで終わるのが一番綺麗に終われると思う。大人の事情でさらに引き延ばしされる可能性もあるが、そうなるとどうしても蛇足感が出るのは間違いなし。もし私の予測通りのまとめに入るなら、ラストまでには後2~3巻というところか。

 なお本巻を見ていて少々気になったのは、タイムテーブルがかなり錯綜していること。ムッタとフィリップが残留することが決定してから、NASAから要請を受けてロシアでレスキューミッションが立ち上がったと思っていたのだが、本巻を見ていたら、その前からロシアではレスキューミッションの用意をしていたことになる。なんかこの辺りの展開が今ひとつ整理されていなくてスッキリしない。それともどこかで私が何か大きな勘違いをしてるんだろうか? 出来れば、次の巻辺りでアメリカとロシアと月面の動きの整理したタイムテーブルでも掲載して欲しい(笑)。

 なおストーリー的には、明らかにヒビトとオリガの関係に決着を付けてきたし、ムッタとせりかさんの関係も既に実質的には決着付いているし、締めに向けて着々と進んでいるという印象。これから見ると、やはり後2~3巻くらいでしょうか。明らかに大団円が今から見えてます。

「鬼灯の冷徹29巻」

 こちらは続けようと思えば永久に続けることが出来る作品(笑)。ただ気になるのは1巻出る度に登場キャラが2人ずつぐらい増えてきて、あまりにキャラが多くなりすぎて収拾が付かなくなる傾向が見えてきたこと。しかも後から出るキャラほど強烈なキャラが多いので、どうしても前からいるキャラが食われてくる。こうなると結構重要だったキャラでさえ登場がほとんどなくなり、本巻なんて白澤や桃太郎や唐瓜でさえ登場はなし。最近は大半の回を桃太郎ブラザーズかマキミキで回している印象。これって、コミックでやっている時にはあまり大きな問題には見えないが、もしアニメ化とかしたら結構問題になってくる。恐らく演出で無理矢理に登場していない主要キャラを加えたり、新キャラを誰か従来キャラと読み替えるというなことがされると思う。

 内容自体は相変わらず馬鹿馬鹿しくも楽しめる内容で非常に良かったです。個人的には凶霊スカーレットの昔語りの回が一推し。彼女の過去についてはずっと気になっていたので。それにしても予想以上に禍々しい話だった。そりゃ凶霊にもなるわな。もっとも一緒に殺されたはずのエディの方はあっさり成仏してしまっているのはなんだかだが(笑)。それとスカーレットの腰抜け下僕共の名がチャッキー、ジェイソン、フレディにダミアンと蒼々たる名前負けなのは地味に爆笑。それにしても名前のチョイスが何となく作者の年代を物語っていたりする。