翌朝は7時半に起床。すぐに外の様子を確認するが、天候は良いものの風は強いようだ。しばらくボンヤリとテレビを見ていると「なつぞら」の放送が始まる。どうやら今週でラストの模様。しかしやはり広瀬すずの演技は表情がないな・・・。どうもドラマ自体が広瀬すずを綺麗に見せるのだけが目的のように見えてくる。後半の名作劇場風のアニメを見て涙を流す正雄は良かったのだが。
近くの喫茶店で朝食を摂る
ドラマが終わった頃に朝食のために外出する。この界隈にはモーニングを提供している昔ながらの喫茶店が数軒あるので、その一軒「カフェ・ド・イズミ」を訪問。店内には音楽がかかっていて昔懐かしい名曲喫茶風。かかっていたのはクラシックだったので、さすがにこれではこのJASRACも著作権料は請求できないだろう(笑)。いや、流しているのが国内盤だったら危ないか。
珈琲に一品をつけるのがモーニングのパターン。私はホットコーヒーに生サンドをつけて450円。珈琲は薄めのあっさりしたもので私向き。サンドの方は若干塩が強い。
朝食を終えるとホテルに戻ってくる。昨日に続いて今日もかなり暑いようだ。朝食を摂りに行っただけで汗をかいてしまったので、しばし部屋で一休みしつつ汗を乾かす。チェックアウト時刻の10時までマッタリ過ごしてからチェックアウト。まだ外はかなり風が強いようだが、何となく蒸し暑い。まずはJRで一駅移動して天王寺へ。大阪市立美術館に立ち寄ることにする。
「メアリー・エインズワース浮世絵コレクション -初期浮世絵から北斎・広重まで」大阪市立美術館で9/29まで
アメリカ人女性、メアリー・エインズワースが一生をかけて蒐集した日本の浮世絵コレクションの一部を展示。浮世絵の最初期の作品から歌川国芳などの末期の作品まで実に幅広い。
最初はかなり素朴な菱川師宣辺りから始まり、ついで鈴木春信の作品へとつながる。鳥居清長辺りになると今日イメージされる浮世絵のスタイルが完全に確立されたと言えよう。
歌麿や写楽の作品もあるが、エインズワースが蒐集に力を入れたのが北斎の作品だという。北斎の富士の作品が多数所蔵されているようだが、海外のコレクター品の常で状態の非常に良いものが多い。
そしてエインズワースが最も力を入れて蒐集したのが広重の作品とのこと。どうやら彼女は広重の作品のコンプリートを目指して蒐集していたようであるらしい。本展展示品の中でも広重の風景画は圧倒的な量を誇っている。しかも特徴的だったのは、摺の違うバージョンが何パターンか展示されていたこと。それらを見れば、浮世絵が同一木版を使用しながら摺を変えることで作品のニュアンスを変えるということを行っていたことがよく分かる。中でも名所江戸百景の両国花火を描いた作品などは、摺の違いで花火の表現を根本的に変えていたのが印象に残る。
上質のコレクションで浮世絵の歴史を概観することができる展覧会で実に面白い。もっとも私の趣味から言えば、もっと国芳とかの豪快で変な作品を見たかったのであるが、その辺りは女性コレクターであるためか全体的にやや品の良い作品ばかりだったような印象を受けた。
展覧会の見学を終えた時にはそろそろ昼時。昼食を摂る必要がありそうだが、正直なところ考えるのも面倒臭い。そこで天王寺の地下で見かけた「心斎橋ミツヤ」に入店。カツスパゲティである心斎橋モヒカンを注文(モヒカンの意味がよく分からんが)。
この手の店は大体見本よりも2回りくらい少ない量が出てくるのが普通なので、そう踏んでいたのだがそれが失敗だった。グツグツ言いながら出てきたパスタの量に圧倒される。なるほど、メニューにわざわざSサイズなるものがあった理由が納得できた。
味については悪くはない。ただこのパスタはカツ自体が具であるので、カツを食べてしまったら後は延々と具なしのパスタを食べ続けることになり、これは結構キツい。
とりあえず昼食を終えると地下鉄で淀屋橋まで移動。中之島をプラプラと歩きながら次の美術館を訪問する。
「フィンランド陶芸 芸術家たちのユートピア―コレクション・カッコネン」東洋陶磁美術館で10/14まで
独特のセンスを誇るフィンランドの陶芸品を展示すると共に、これもフィンランドを代表するデザインであるマリメッコのテキスタイルがジョイント。美術館内にフィンランドデザインワールドを展開している。
陶芸品に関しては作家ごとに趣味や志向が異なっており、形態にこだわる作家や、色彩にこだわる作家など様々。その中でどこかで見たことがある作品があると思ったら、ルート・ブリュックの作品だった。
マリメッコのデザインと言い、とにかく日本人とはかなり感性が違うのがフィンランドデザインである。これはなかなかに面白いが。
展覧会の見学を終えるとホールに向かって移動することにする。途中で日の丸や旭日旗を掲げた気色悪い一団を見かけたのでなんだと思えば、どうやら某新興カルト教団の集会の模様。信教の自由というものがあるから、カルト教団にはまって教祖の美味しい生活のために食い物にされるのも個人の自由だが、オウム真理教や人民寺院事件のようなことがあるから、ああいう連中が徒党を組んで良からぬことをやらないかの監視は必要であろう。
それにしても暑い。ホールにたどり着いた時には汗だくになってしまう。体を冷やすためにしばしロビーでくつろいでいたらホールコンサートが始まる。
気分が良くなったところでホールに入場する。ホール内の入りは大体6~7割といったところか。
オーケストラ・アンサンブル金沢 大阪定期公演
[指揮]ユベール・スダーン
[ヴァイオリン]辻 彩奈
[管弦楽]オーケストラ・アンサンブル金沢
モーツァルト:歌劇 「後宮からの逃走」序曲 K.384
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 「トルコ風」 K.219
ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調 op.92
オケは8型編成という小編成であるが、その音色はパワーに満ちていてホールの音響の良さも手伝って音量不足を感じさせることがない。一番驚くのはアンサンブルの精度の高さである。一糸乱れぬ合奏が非常に心地よい音色を響かせる。
スダーンの指揮は非常に明快かつ快活なものである。一曲目から豪快にガンガンと鳴らしてくる。
辻のヴァイオリンは若さに似合わないに非常に雄弁な演奏である。またオケの編成規模が幸いしてか、演奏の細かいニュアンスをオケが糊塗することがないのでソリストの表現がビンビンと伝わってくる。実に魅力的なモーツァルトであった。
ラストのベートーヴェンはまさに元気いっぱい。非常に溌剌として気持ちよくならしてくる。スダーンは結構細かい指示を出しているし、場合によってかなり煽る場面もあるのであるが、オケは一糸乱れずに見事にスダーンの意を汲んで動く。結果として非常に切れ味の良い爽快な名演となった。
アンサンブル金沢恐るべし。関西の12編成のオケでは味わえぬ精度の高いアンサンブルであった。久しぶりにベートーベンを面白いと感じた。
これでこの週末の予定は終了。家路についたのであるが、とにかく暑くて参った。朝のうちはまだ風があったのだが、昼過ぎには風も完全に止まってひたすら蒸し暑さがこみ上げてきた。おかげでかなり体力を消耗することになってしまった。