徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

お知らせ

アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

NHK交響楽団第1922回定期演奏会

 芸術の秋などと言うが、このシーズンになると美術館もコンサートも目白押しである。この時期は毎年東京方面に遠征するというのが私の年中行事。この週末は年有休暇も取って東京へと繰り出すことにした。NHK交響楽団から始まって読響・都響の所謂御三家に東京フィルをプラスした贅沢なコンサート三昧に各種展覧会を絡めようという例によっての意欲的な(無謀なとも言う)遠征計画である。

 計画実行は金曜日から翌週火曜日にかけて。この火曜日は天皇即位の儀式に絡んでの特別休日。これに際して職場の方からは働き方改革の一環で月曜日は年有を取って休めとの指示が出ている。この時期のこの連休を活かさない手はないというわけである。

 

神戸で昼食を摂ってから東京へ飛ぶ

 東京までは旅費の節約もあってスカイマークで飛ぶ。金曜の仕事を午前で終えると神戸空港へ。この日の昼食は途中でミント神戸のレストラン街に立ち寄る。入店したのは「神戸Pasta de Pasta」ワタリガニのクリームパスタをLサイズで注文する。まあ可も不可もなくのパスタだが、気分には合致してたので良しとしよう。

f:id:ksagi:20191022225318j:plain

ミントの神戸Pasta de Pasta

f:id:ksagi:20191022225347j:plain

ワタリガニのクリームパスタLサイズ

 昼食を終えるとポートライナーに飛び乗って神戸空港へ。しかしこの飛行機というのは何度乗っても慣れないというか気色悪い。出来ることなら乗りたくないのが本音だが、旅費の節約のことを考えると贅沢は言っていられない。しかも今日は関東方面が天候不良の模様で、羽田に近づいたところでかなり気色の悪い揺れをする。毎回のことであるが、こういう状況になる度に私の脳裏には真っ逆さまになって海に突っ込む飛行機と、その晩のニュースの映像、そして私の葬式の映像が浮かぶのである。いい加減気分悪くなった頃にようやく羽田空港に到着する。

 時間に余裕があれば先にホテルに立ち寄ってキャリーを預けたいところだが、時間に余裕がないので渋谷に直行することにする。キャリーは渋谷駅でコインロッカーに放り込む。ここからGoogle先生の指示に従って歩いてNHKホールを目指すのだが、Google先生が指示したルートが車用ルートだったため、とんだ遠回りをさせられそうになって途中でルート変更というドタバタも。ようやくNHKが見えてくるが、考えてみるとまだ夕食を何も摂っていない。まだそんなに腹は減っていないが、何も入れていないと途中でガス欠になる恐れがある。何か適当な店はと辺りを見回したところ、モスバーガーがあったのでジャンクな夕食を軽く摂っておくことにする。

f:id:ksagi:20191022225416j:plain

NHKホールの前は行列

 ジャンクでスローな(モスバーガーは決してファーストではない)夕食を終えるとNHKホールへ。ちょうど開場時刻でゾロゾロと入場中。ここに来るのは久しぶりだが、正直なところあまり来たくないところである。相変わらず内部は異常に広い。普通のホールに比べて奥に異常に深い上に、普通のホールにさらに両翼を加えたような特殊な構造となっている。この器の異常な大きさが絶望的なまでの音響の悪さにつながっているのである。これだけの容積で反響音なんか望めるわけもなく、さながら音響のブラックホールと言ったところ。紅白の大観衆を収容することを第一優先に設計しているホールなので、音響に関する考慮は一切ないと言って良い。またホール自体が古くなっているせいか、椅子も古いので体を動かすときしむなんてこともある。

 

NHK交響楽団第1922回定期演奏会

f:id:ksagi:20191022225501j:plain

指揮:トゥガン・ソヒエフ
ピアノ:ニコラ・アンゲリッシュ

バラキレフ(リャプノーフ編) 東洋風の幻想曲「イスラメイ」
ラフマニノフ パガニーニの主題による狂詩曲
チャイコフスキー 交響曲第4番ヘ短調

 一曲目のイスラメイからソヒフエの色彩的な演奏がかなり冴える。煌びやかで鮮やかな音色は実に印象的で、N響がこんなキラキラした演奏を出来るんだと驚かされる。

 ラフマニノフはアンゲリッシュの軽妙なピアノと共にN響の音色が実に鮮やか。アンゲリッシュのピアノは過剰に感情に溺れることのないやや淡々としたところのあるものだが、それがむしろバランスとしては良い。

 後半のチャイコフスキーは一転して、ロシアの憂愁が漂う演奏。ソヒフエはテンポを落としてしっとりとした表現を行う。この曲は概して空騒ぎの強い演奏になることが多いのであるが、ソヒフエのアプローチはそれと対極的で、この曲に潜む深刻な憂鬱感のようなものを正面に挙げてきたという印象。非常に深い解釈である。

 ソヒフエはN響に対して抜群のコントロールを行っていた。N響もこのような様々な音色を出せるんだと言うことに改めて驚かされたところ。ソヒエフ、なかなかの巧者である。


 コンサートを終えると渋谷でキャリーを回収してからホテルに向かうが、さすがに6時前にハンバーガーとポテトをつまんだだけなので腹が減ってきている。そこで途中で閉店間近の上野の駅ナカを襲撃して、3割引ちらし寿司を夕食に、1割引カツサンドを明日の朝食に仕入れる。

f:id:ksagi:20191022225521j:plain

夕食の3割引寿司

 

南千住のホテルで宿泊する

 今日の宿泊ホテルはホテルNEO東京閉鎖後に私の東京での定宿となっているホテル丸忠CENTRO。3畳ほどの部屋にベッドとテレビや冷蔵庫だけというシンプルな部屋(最近私が利用するのはこういうホテルばかりだ)で、風呂・トイレ共同というパターン。個別空調であるのがありがたいところ(集中空調の場合、このシーズンは暖房・冷房の選択がこちらの好みと合わない場合が多い)。設備はやや古めだが不潔感はない。ただ壁はやや薄めというのはこのクラスのホテルのお約束。

f:id:ksagi:20191022225544j:plain

ベッドだけの狭い部屋

f:id:ksagi:20191022225556j:plain

テレビと冷蔵庫は装備

 男性入浴時間が23時からなので、入浴を済ませると先程購入したちらし寿司を腹に入れてこの日は就寝するのだった。