徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

関西フィルいずみホール公演の前に「佐竹本三十六歌仙絵」を見て、嵐山の福田美術館の名品を鑑賞する

京都ユニバーサルホテル烏丸は私の第二定宿となり得るか?

 翌朝は7時半頃に目が覚める。さて今日の予定であるが、京都地区の美術館を回ってから、大阪のいづみホールでの関西フィルコンサートに出向くつもり。ただやや寒さがあって体が冷えているのでまずはシャワーで体を温める。この辺りはやはり京都か。これからの季節は京都の厳しい冬がやって来るんだろう。

 朝食はレストランでバイキング。一応和洋両対応だがかなり簡素な内容である。とりあえずたっぷりと燃料補給しておく。

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朝食

 このホテルは初めての宿泊だったが、印象としては結構使えるなというところ。部屋は広めだし大浴場があるのが特に良い。夕食が付いてくるのはコストを抑えるのには良いが、これのせいで会社の研修所感が強くなってしまうので、良し悪しでもある。なお立地的に近くに飲食店が見当たらないのはマイナス。またコンビニが近くにあるのは良いが、それがヤマザキ比率の高いローソンなのもマイナス。トータルとしてみると、チェックイン四条烏丸に次いで第二定宿として使えるポテンシャルはある。今後も空きと価格次第だろう。

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ローソンが入っている

 8時半頃にホテルをチェックアウトすると京都駅の地下のコインロッカーに荷物を放り込み、最初の目的地へ向かう。ここはバスでないとアクセスしにくい場所なのだが、毎度の事ながらこのバスが異常な混み方である。

 現地には開館の15分前ぐらいに到着するが、この時点で200人ぐらいの行列が出来ていた。最近になってNHKがやたらに宣伝に力を入れていたのでその影響か。

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開場前にこの状態

 

「流転100年 佐竹本三十六歌仙絵と王朝の美」京都国立博物館で11/24まで

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 鎌倉時代に作成されたとされる三十六歌仙を描いた絵巻物を、後に分割して掛け軸にし直したものを展示している。この絵巻が分割された経緯についてはヒストリアで放送していたが、要は売りに出された時に高すぎて丸ごと購入できる者が国内におらず、海外流出が懸念されたために絵巻を分割して当時の一流の財界人がそれぞれ購入したということである。

 もっとも財界人というのは常に栄枯盛衰がつきものであるので、中にはその後の所有者が変更されたものもあるようだが、所有者自身が美術館を設立してそこの収蔵品になっているものも多いようである。

 さてその作品自体だが、鎌倉肖像の傑作と言われているが、残念ながらそこに描かれている人物の顔を私は知らないので、どれだけうまく描けているのかは判断できない。全く不可能な話ではあるが、モデルになっている人物の写真でもあれば分かりやすいだろうに。また非常に細かい表現をしているらしいことも何となく分かるが、これも残念ながら作品を手にとって間近で見られるわけでなく、さらには長い年月による劣化もあるので不明瞭な部分も多々ある。

 つまりは「傑作」と言われればそうなんだろうなと納得はするが、かと言って強烈に何かのインパクトを受けるという作品でもないというのが私の正直な感想。やはりあまりに玄人好みのような気がする。

 なおテレビで散々宣伝していた斎宮女御の絵が後期のみの展示というのはドッチラケだった。確かに複製画で見る限り、他の人物がすべて白地に人物だけが描かれているのに対し、彼女だけ回りの調度なども描かれており、明らかに別格扱いである。なお大和文華館の所蔵品のようなので、また向こうで展示される時に奈良まで見に行くか。

 

大観光地・嵐山の美術館へ

 展覧会の見学を終えると嵐山に向かうことにする。目的はこの地にこの10月にオープンしたという福田美術館を訪問すること。私のページにGoogleAdSenseでやたらにこの美術館の宣伝が入るので何だと思って調べたところ、なかなか面白そうであると判断した次第。

 地下鉄で太秦天神川まで移動すると、ここから嵐電に乗り換える。嵐山方面に向かう二両編成列車は乗客を満載している。

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嵐電嵐山に到着

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嵐山駅自体が観光センター

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辺りは観光客がウロウロ

 嵐山には10分ちょっとで到着するが、嵐山周辺の観光地度合いはかなりすごい。観光客目当ての店が林立して、外国人観光客が大勢闊歩している。目的とする美術館はそういう一角から少しだけ外れた鴨川縁にある。

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渡月橋

 

「開館記念 福美コレクション展」福田美術館で1/13まで

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 展示室に入るなり竹内栖鳳の獅子と虎の掛け軸が迎えてくれる。リアルで力強い描写は栖鳳ならでは、さながら第一展示室の門番と行った趣がある。

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栖鳳の獅子と虎

 その隣には大観と春草の掛け軸があり、大観が静かな竹林を描き、春草が荒々しい波を描いているというのが面白いところ。竹林の絵は大観にしては非常に緻密な絵。

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春草の波と大観の竹林

 同じ展示室には大観の富士を描いたいかにもという大作もある。さらには上村松園の美人画や下村観山の逸品も。

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大観の富士に

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松園の美人画

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下村観山の逸品

 これだけで既にお腹いっぱいだが、さらに別室には伊藤若冲の鶏を描いた屏風絵に北斎による掛け軸といったいずれも唸らせられる逸品が揃っている。

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さらに若冲の鶏に

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北斎の掛け軸まで

 挙げ句にモネやシャガールの秀品まで収蔵していた。このコレクションのレベルの高さには圧倒されたのである。

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なんと、モネまでありました

 観光客目当てのリゾート美術館と少々なめてかかっていたところがあったが、ここのコレクションには圧倒された。個人美術館でこのレベルは驚きではある。これだけのコレクションを蒐集するにはかなりの財力が必要だと思われるが、調べたところオーナーはアイフルの創業者とのこと。さもありなん。また後期の展示もあると言うことなので、スケジュールが合えば訪問したいところである。

 

嵐山で元祖桜餅を頂く

 美術館の見学を終えると移動だが、その途中で桜餅の店「こときき茶屋」を見かけたので入店する。桜餅に惹かれたというか、抹茶に惹かれたというか。どうも山種美術館でお茶して以来、抹茶付いている。先頃亡くなった某大女優のように「私の血液には抹茶が流れている」とでも言うか。いや、それだと血液が緑色になってしまって昆虫かガミラス人である。

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元祖桜餅の茶屋

 ここの桜餅は餅と餡が別になっているという変わったタイプ。この店は「本家桜餅」と名乗っているが、桜餅の元々の形態はこうだったということだろうか。葉っぱに包んだ餅が出てくるが、葉っぱごと食べられますとのわざわざの説明付き。いちいちこれをめくろうとする客が少なくないのだろうが、桜餅は柏餅と違って葉っぱごと食べるのが前提である。桜の風味が心地よい。餡は甘すぎずの上品な味。

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ホッとする一品

 桜餅で一息ついたところで移動にする。当初予定でもう一軒美術館に立ち寄ろうと思っていたが、時間的にもう無理なので次回に回すことにする。思いの外、嵐山は京都から遠かった。とりあえずこの後はいずみホールで開催される関西フィルのコンサートに出向く予定なので、京都駅に舞い戻ってキャリーを回収すると新快速で大阪に移動する。

 

京橋で昼食を摂ってホールへ

 京橋で降りるとホールに向かう道すがらで昼食を摂る店を探すことにする。結局立ち寄ったのはオフィスビルの3階にある「香港食卓」。ランチ用の炒飯とエビチリのセットを注文する。まあ可もなく不可もなくの内容。場所柄か大阪にしてはCPは今一歩。

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オフィスビル内の中華料理屋

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可もなく不可もなく

 昼食を終えるとホールに向かう。既にホールの前には開場待ちの人だかりが出来ていた。

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いずみホール

 

関西フィルハーモニー管弦楽団 いずみホールシリーズVol.46

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ヴァハン・マルディロシアン(指揮、p)
関西フィルハーモニー管弦楽団

グリーグ:ホルベルク組曲 op.40
     ピアノ協奏曲 イ短調 op.16
シベリウス:交響詩「エン・サガ(伝説)」 op.9
      交響詩「タピオラ」 op.112

 一曲目のホルベルクは磨き上げられた関西フィルの弦楽陣が威力を発揮する曲。シットリじっくりと描ききったという印象。それにしても完全に古典スタイルの曲である。

 二曲目のグリーグのピアノ協奏曲はマルディロシアンの弾き振り。マルディロシアンのピアノはその厳つい顔に似合わぬ(笑)かなりロマンティックな演奏。弾き振りにもかかわらず、そのテンポ設定は結構変則的で細かい変化が随所にある。それにピッタリと合わせた関西フィルも見事。マルディロシアンとコンマスが頻繁にアイコンタクトを取っていたようである。マルディロシアンは見た目に反して(笑)意外に器用で繊細な男のようである。情緒タップリで非常に表現幅の広いグリーグであった。

 休憩後はシベリウス。マルディロシアンの指揮はシベリウスが曲で展開した風景をそのまま描くと言った印象。「エン・サガ」の方は北欧の霧の中から突然に沸き起こる英雄譚のような印象を受ける。「タピオラ」はシベリウス晩年の難しい曲であるが、それをそのままありのままの風景として表現しているように感じられる。タビオが森の神とのことだが、確かに幽玄として奥深い北欧の森の風景そのまま。マルディロシアンの表現スタイルは濃厚でありながら、あくまで自然だったのが印象に残る。


 マルディロシアンの演奏は初めて聴いたが、なかなかにピアニストとしても指揮者としても注目株というように感じられた。なおピアノ演奏に関しては、どうも当意即妙の即興的な演奏が彼の本来ではという印象を受けた。現音も得意レパートリーとしていると冊子にもあったが、そうだろうなと納得できるところ。

 

夕食は新世界でふぐを頂く

 コンサートを終えると宿泊ホテルに移動。今回も宿泊は定宿化しているサンプラザ2ANNEX。チェックインを済ませて部屋に荷物を置くと夕食のために新世界に繰り出す。

 何を食うか考えながらプラプラするが、どうもピンとこない。串カツも考えたがそういう気分ではない。昼が中華だったから中華もなし。段々と面倒くさくなってきて、目の前に浮かんでいるふぐ提灯につられて「づぼらや」に入店する。

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巨大ふぐ提灯が目印

 関西人なら誰でもCMを見たことはあるという有名なふぐ専門店である。とりあえず「てっさ御膳(3100円)」を注文する。

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てっさ御膳

 てっさに小鍋や唐揚げなど一渡りが付いてくる。相変わらずふぐの唐揚げは鶏の唐揚げのような感覚。てっさはうまいが、正直なところ驚いたり感動するレベルではない。改めて私が以前から言っている「カワハギの刺身はてっさよりも美味い」ということを再確認してしまったような気がする。最後はてっちりの小鍋を頂いて終了。うーん、美味くはあるのだが、想定内というか驚きがないんだな・・・。この店で感動するものを食べようと思うと、倍ぐらい出さないと無理なのかな?

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てっちり小鍋と唐揚げ

 夕食を終えるとスーパーで買い物をしてからホテルに戻る。ホテルに戻るととりあえず入浴。ホッとする瞬間である。後は部屋に戻ってウダウダしていたが、やはり疲れがあるので早めに就寝することにす
る。