徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団演奏会で久しぶりに辻井伸行のピアノを聴く

 翌朝は8時前まで爆睡していたが、無理が祟ったのかやや腰の具合が不穏なのが気になるところ。今日は14時からフェスティバルホールで開催されるハンブルクフィルのコンサートに出向くが、それ以外には予定はない。ホテルのチェックアウトが10時なので、それからの時間をどうつぶすかが問題。

 とりあえずホテルのチェックアウト時刻のギリギリまで粘ってからホテルを出ると、一旦大阪に出る。そこでキャリーをコインロッカーに放り込んで身軽になってからしばし辺りを放浪。朝食を摂る店を探して阪神百貨店地下をウロウロ。結局は南館地下のフードコート的な一角のカドヤ食堂で中華そばを頂くことにする。

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朝食の中華そば

 いわゆる魚介系醤油ラーメンというところか。味付けはシンプルだが悪くない。もっとも場所柄CPは今ひとつ。

 阪神百貨店を回ったのは初めてだが、阪神と阪急が統合されて久しいが、その影響はここの売り場構成に出ているようである。この手の百貨店にしては珍しいレストランフロアがないという構成になっているが、これは阪急百貨店が巨大なレストランフロアを有しているので、それとの競合を避けたのだろう。その分、地下の食品街に力を入れているのは、今時の百貨店ではいずれも同じ。なお地階と一階にトイレがないのにはまいったが、場所柄公衆トイレ的な使い方をされてもコストアップ要因になるだけだからとの計算か? ましてや今時トイレさえまともに使えない猿人レベルの輩も増えているというし。

 

 朝食を摂って阪神百貨店をウロウロしている内に11時を回ったので「つる家茶寮」にお茶をしに行くことにする。「生麩ぜんざい」を頂きながらホッとする一時。こういう一瞬が今は貴重かもしれない。

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いつものつる家茶寮

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この生麩ぜんざいが美味い

 

 しばしここで時間をつぶした後、昼時が近づいてきたので昼食を摂るためにも場所を移動することにする。地下鉄で肥後橋に移動し、フェスティバルゲート地下の「キッチンジロー」に入店。トンカツとエビフライのランチを注文するが、朝食からあまり時間が経っていないこともあって全部は食べられず。

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フェスティバルゲート地下のキッチンジロー

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今日のランチ

 昼食を終えるとホールへ移動する。今回は辻井のコンサートということで本来ならパスなのだが、ハンブルクフィルに興味があったために行くことにした。ただし辻井を考慮して安席確保で久しぶりの3階席。それにしてもやはりここの3階席は怖い。高いし急だしで目眩がする。

 

ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団

ケント・ナガノ(指揮)
辻井伸行(ピアノ)

ベートーヴェン:「エグモント」序曲
リスト:ピアノ協奏曲 第1番
マーラー:交響曲第5番

 一曲目のエグモントはナガノが思いの外、オケを煽っていた印象。ハンブルクフィルはかなりドッシリとした落ち着きのある音色を出すオケである。なかなかに堂々とした演奏であった。

 二曲目は辻井のピアノ。彼の演奏を聞くのは久しぶりであるが、かつての単に上手だけで弾いていた頃から比べると表現力の幅が増したのを感じた。彼もピアニストとして脱皮しつつあるように感じられた。特にアンコールのラ・カンパネラは情念のようなものまで籠もっていてなかなかに濃い表現。かつての辻井の演奏はキラキラしているだけでこの情念が感じられなかった。

 それと共に観客層の方もやや変化してきたか。かつては有名な辻井を見に来るという雰囲気のミーハーファンが大半であったが、今回は辻井の音楽を楽しむという音楽ファンが比率的に増えたように感じられ、かつてのようなマナーの悪さがあまり目立たなくなっていた。

 後半のマラ5はナガノのドッシリと構えたテンポが印象的。とにかく序盤は息が詰まるほど重苦しい展開で進む。何か人生に疲れ切って諦めつつあるかのようにさえ感じられる音楽である。それが楽章が進むにつれて段々と顔を上げていき、第4楽章で安らぎを得て、フィナーレではついに雄々しく立ち上がるというイメージ。非常に感動的な音楽となった。

 なかなかの熱演で場内は結構な盛り上がり。それに答えてのアンコールはハンガリー舞曲。あの思いっきり深い演奏をした後に、気分を変えてのハンブルクフィルの自在の演奏もなかなかに楽しめるものであった。


 この週末のコンサートもなかなかに豊作であった。満足をして帰宅することになったのである。