徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

連日のベルリンフィル公演+MET「トゥーランドット」&「バウハウス展」

 翌朝は目覚ましをかけずに8時半まで爆睡していた。こういう時間に縛られずに寝ることもたまには重要。

 さて今日の予定だが、昨日に続いて今日もベルリンフィルのコンサートに出かける予定。さすがに2日続けてS席を確保する財力は私にはないので、今回はもっと安い席である。開演は昨日と同じく19時からなのでそれまでの時間がまるまる空いてしまった(今日は年有休暇を取得している)。そこで今日から始まるMETのライヴビューイングを見に行くことにする。演目は「トゥーランドット」。実は数年前の上演をWOWOWで放送したものを一度見ているので、今回はパスするつもりもあったのだが、部屋でボンヤリ過ごしていても仕方ない。

 それにしても今朝は寒い。とりあえず朝風呂で体を温めると10時前に出かけることにする。今日は朝食を取っていないので、ホテル近くの商店街の「神戸屋ウーピー」サンドイッチのモーニング(500円)を頂く。ところでウーピーの意味が不明。

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神戸屋ウーピー

 サンドイッチはまさに神戸屋のをそのまま出している雰囲気。可もなく不可もなくというところ。それにしても本当にこの界隈はワンコイン以下でモーニングを出す喫茶ばかりだな。

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サンドイッチのモーニング

 朝食を終えると大阪駅に移動。その途中の車内で昨日確保したムビチケで席を予約するが、驚いたことに最前列の辺りに数席残っているだけ。平日にこんなに客が来るのか。これには驚いた。

 劇場に到着すると年配客がズラリと並んでいた。なるほどリタイアして時間に余裕がある連中が大挙して出てきているらしい。ところで私のリタイア後は、時間はともかくとして、こんなところに来る財力はあるだろうか・・・。

 

METライブビューイング プッチーニ「トゥーランドット」

指揮:ヤニック・ネゼ=セガン
演出:フランコ・ゼフィレッリ
出演:クリスティーン・ガーキー、ユシフ・エイヴァゾフ、エレオノーラ・ブラット、ジェイムズ・モリス

 さすがに音楽面は主役陣の力量もあって圧巻の一言だが、今回さらに感心したのは演劇としての側面。トゥーランドットは男性恐怖症というか、十代の少女などによくある恋愛に対する憧れはあるものの男性はちょっと怖いという心情を徹底的にこじらせたと言って良い人物である。その辺りの微妙な心の揺れなどをすっ飛ばしたり、カラフが「あんな男のどこが良いの?」と見えてしまったら完全に失敗である。そうなるとやや強引なストーリー展開ばかりが目に付くことになってしまう。

 本公演では細かい所作や演出でトゥーランドットの感情の揺れが現れていて、それを追っているとかなり強引とも感じられたストーリーが無茶に見えない。これは驚いた。ガーキーは歌手としての力量だけでなく意外に演技力があるようである。またカラフの方も、英雄的とも思えるような行動力やトゥーランドットのことも思いやっているような様子が覗え、こんな男になら氷の姫が落ちるのも当然と納得させるところがある。

 音楽的にも本作品はそもそもプッチーニの最晩年作だけに音楽の完成度は高い。それをネゼ=セガンは的確な解釈でオケをコントロールしているので、実に見事な劇構成になる。ドラマと音楽が一体化したオペラという芸術の醍醐味を感じさせるのである。

 結果としてはパスしないで良かったというとこか。先の公演と演出は基本的に同じはずなのに、ここまで印象が違うというのはどういうことだろうか。まあこんなこともあるんだなと驚いた。

 

 映画を終えると下のフロアで遅めの昼食を摂ることにする。いつもここを通る時は週末の昼時のせいでどの店も大行列だが、今日は平日の上に昼時よりはかなり遅いので行列のある店はない。店を特に探す気もしなかったので、目の前にある中華料理屋「桃谷楼」に入店、「桃谷楼ランチ」を注文する。

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桃谷楼

 味はなかなか良い。中華料理は特に安物店と高級店の味の違いがハッキリしやすいジャンルなのだが(化学調味料に対する依存度の違いだと考えているが確証はない)、しっかりと高級中華の味がしている。最初に出た鳥のスープなども美味だし、次の炒め物や酢豚なども味が良かった。もっともこれで2480円というのは、さすがに場所柄もあるのだろうがCPは悪い。

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まずは前菜とスープ

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次が海鮮炒め

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メインは酢豚

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デザートの杏仁豆腐

 勘定を済ませて店を出て、エスカレータで降りかけたところで一つ思い出す。そう言えばこのフロアの飲食店は当日の映画の半券があれば割引などの特典があるんだった。しまった、損をした・・・。

 遅めの昼食を終えたところで15時過ぎぐらい。やはりもう一箇所ほど美術館にでも立ち寄ることにする。この美術館は駅から嫌な距離があるので車で行きたいところなのだが、車で出てしまうと大阪で困るというわけで、どうしても足が遠のきがちになる場所にある。

 

「開校100年 きたれ、バウハウス ー造形教育の基礎ー」西宮市大谷記念美術館で12/1まで

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 バウハウスはドイツで開校された造形学校であるが、建築を最終到達点に置いた総合芸術の学校でもある。初期には芸術的感覚の教育を行うらしいが、講師にはパウル・クレーやカンディンスキーなど蒼々たる一癖ある面々が揃って、独自の観点での教育を行っていたという。諸々の資料があったが、明らかに講師の志向がもろに出ていて面白い。個人的には紙から立体を作り上げるなんてのはなかなか私好み。

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決まったパーツでアルファベットのロゴを作るデザイン教育の一環

 初等教育を終えた後には様々な分野の工芸に分かれるとのことであるが、これが家具から陶器や版画などなかなか多彩。ただここで行われているデザインは、妙に現代アート的な感性に走っているものでなく、根底に合理性が見えるというところで私としては馴染みやすいデザインであった。

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バウハウスデザインの椅子、くつろげるが立ち上がるのは大変

 

 展覧会の見学を終えると大阪に戻ってくる。一旦ホテルに戻るつもりだったが、その余裕はなさそうだが、ホールに直行するのはまだ早すぎる。終演時間のことを考えると夕食を摂っておくべきかもしれないが、昼食が3時頃とかなり遅かったので正直なところまだ腹が減っていない。など諸々考えたところで、結局はお茶でもしていくかとの結論になる。立ち寄ったのは「つる家茶寮」で、馬鹿の一つ覚えの「生麩ぜんざい」を注文する。

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いつものつる家茶寮

 いつものことだが、ここの小豆を口にするとホッとする。それに生麩の美味さと言ったら・・・。とりあえずの燃料補給をしたところでホールに移動する。

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いつもの生麩ぜんざい

 フェスティバルホールは今日も観客が一杯だが、プログラムの関係かまだS席の一部に売れ残りがあるようで、昨日もホール内でも販売をしていた。どの程度が売れたかは定かではない。なお私は二日続けてS席などの大散財をする財力は当然のようにないことから、今回は貧民席であるD席。3階席の一番奥である。ちょうどこの前にウィーンフィルを聴いたのと同じ辺りの席。相変わらず3階席は怖いが、ここのところの立て続けの3階席で、さすがにいささか慣れた感じもする(と言ってもさすがに最前列には行きたくはないが)。前を見ると3列目までの席に観客が全くいないことから、S席の3階席はまるまる売れ残ったようであることが想像できる。やはり料金が高すぎるということはあるだろう。

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今日は3階席

 

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 来日公演

指揮/ズービン・メータ
管弦楽/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
チェロ/ルートヴィヒ・クヴァント
ヴィオラ/アミハイ・グロス

曲目/R.シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」Op.35
   ベートーヴェン:交響曲 第3番 変ホ長調 Op.55「英雄」

 

 さすがにベルリンフィルは上手い。それも半端じゃない。弦の緻密さは言うまでもないが、管楽器なんかも一人一人がソリストクラスの腕を持っている。そしてティンパニが神(笑)。1曲目のリヒャルト・シュトラウスはソロパートの上手さが非常に際立つ演奏。そして全体を通じて昨日と同じでとにかく美しい。圧倒されるほど美しい。ウィーンフィルとは違った意味での美しさだ。

 圧巻だったのは2曲目のエロイカ。管の人数は半分ほどになったにもかかわらず、管の音が十二分に伝わってくる。そして今まで以上に際立つ弦楽アンサンブルの緻密さ。もう冒頭から体がゾワゾワ来て魅了されてしまった。

 一流オケとそうでないオケの一番の違いはピアニッシモの美しさだと私は思っている。ベルリンフィルの演奏はピアニッシモでも埋もれないかすれない。その上にフォルテッシモになっても割れない濁らない。だから非常にダイナミックレンジの広い演奏となる。それがさらなる感動へとつながる。

 ベートーベンでこれだけ深く感動したのは久方ぶりのような気がする。例によってメータのテンポはかなりゆっくり目なのだが、それが緻密さと美しさにつながっている。終始一貫圧倒されながらうっとりという状況になってしまった。

 かなりベルリンフィルを堪能したというのが今日のコンサート。会場内も大盛り上がりで昨日に続いてのメータの一般参賀あり。

 

 なかなか堪能したのだが、落ち着いてきたら非常に腹が減っていることに気づいた。しかしホールを出たのは9時半頃(急に寒くなったことでクロークの行列がひどい)。今から新今宮に戻ったのでは10時を回ってしまって店がほとんど開いていない可能性が高い。これはどうしたものかと考えていたら、フェスティバルゲート地下の「キッチンジロー」がまだ営業中だったので飛び込む。

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開いててよかったキッチンジロー

 私と同じ状況の者もいるのか、その後もバラバラと客はやって来る。私はエビフライとトンカツのセットを注文。腹が減っているせいもあってとにかく美味い。空腹は最高の調味料と言うがその通り(決してここの料理がまずいとは言っていないので注意)。あまりに腹が減っているせいで、写真を撮るのを忘れてエビフライを先にかじってしまった(笑)。

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トンカツとエビフライ(少し短いです)

 夕食を終えるとホテルに戻る。ようやくゆったりと出来る時間。美術館に行った帰りに立ち寄った「あおやま菓匠」で買い求めた和菓子をつまむ。後は入浴して明日に備えることにする。

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今日のおやつ