徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

「ミュシャと日本」@岡山県立美術館&岡山フィルニューイヤーコンサート

 先日は西宮でフィルハーモニア管のコンサートに出かけたが、今日は岡山で展覧会とコンサートのハシゴをすることにする。午前中に家を出るとJRで岡山に向かう。

 

姫路-岡山の交通についての愚考

 姫路-岡山間は路線が大きく迂回している上に普通列車しかないことから、距離の割に時間のかかる「難所」として青春18切符ユーザーの間などでは有名である(新幹線で10分程度の区間に在来線は1時間以上かかる)。地元では「岡山まで新快速を」という運動もあるようだが、有力な競争相手となる私鉄がある阪神間と違い、JRに競争相手の全くないこの区間に新快速を走らせる経営的メリットは全くなく、JRの真意は「急ぐなら金を払って新幹線を使え」ということで一貫している。JR東などは首都圏の異様で不快なラッシュを解決するよりも、普通車に指定席を設けることでラッシュに拍車をかけながら儲ける方策を打ち出している。またJR西も現在新快速に試験的に指定席を導入しており、将来的な全面有料化を水面下で検討している。残念ながらこれが資本主義の論理でもあり、民間企業としての当然の対応ということになる。だからこそ「競争のない資本主義は社会主義以下の状態になる」と私が以前から言っているところである。

 河本敏夫健在の頃なら「政治力で無理矢理に」ということも可能であったろうが、それも今となって不可能である。それでも実現を目指すなら、JRに陳情しても経済的メリットがない以上無意味(沿線自治体が補助金を出すとでも言えば別だが)。それよりも神姫バスや両備バスに働きかけて、この区間に高速バスを走らせるようにする方が現実的だろう。もしこれが実現すれば、JRは対抗上速達性のアピールとして新快速の運行をする可能性がある。これらが姫路の京阪神一辺倒と岡山モンロー主義を打破して、両地域の交流を盛んして両地域の共存共栄関係が確立すればめでたしめでたしである。実のところ、私が日本再生と地域振興の方策として打ち立てている「日本中核都市構想」はこのような地方共栄都市圏の確立が不可欠である。

 いきなり話が横道にそれてしまったが、一応私は「日本の地域振興と交通について考える市民の会代表」を自称している人間である(笑)。何かかにかの度にこういう与太話を考えてしまうのだが、残念ながら構想を実現に近づけるための権力も財力もコネも何も持っていない。もし皆様の支持がいただけるなら、いずれは国政選挙にでも打って出て・・・などとまた与太話になってしまう(笑)。

 

 岡山までの長時間の乗車の車内では例によって最近購入した中華パッド(これの詳細については後日別の記事で記載予定)で持ち出し番組(NHKドキュメントや今朝の「健康カプセル」に深夜アニメなど)を見ながら時間をつぶす。そしてかなり疲れ切った頃にようやくターミナル駅の岡山に到着する。

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岡山ターミナルに控える四国方面行きマリンライナー

 

岡山のイオンモール内のレストランで昼食

 岡山に到着すると昼食を摂る店の物色だが、地下街の「はしや」は大行列。そこで南のイオンモールまで足を伸ばしてそこの飲食店街を散策することにする。それにしても私も各地のイオンモールをいろいろと訪ねている(笑)が、ここのイオンモールは特に巨大である。

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ここのイオンモールは特に巨大だ

 7階のレストラン街に上がると視察。ここと思った和食の店は行列が出来ているようなので、隣のあなご飯の店「めじろ屋本店」に入店する。

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めじろ屋本店

 焼きあなご飯と茶そばのセットに穴子の刺身を付ける。ただ出てきた料理を前にして失敗を痛感。私の体調はまだ完全回復とは遠いが食欲はそれ以上に戻ってきていない。出てきた料理の量は一見して現在の私の許容量を超えてしまっている。

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穴子の刺身

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茶そばと焼き穴子丼のセット

 刺身はなかなかにうまい。てっさのような透き通った身とメニューには記してあったが、確かに身は透き通っているが、味としてはてっさとは大分違ってもっと強い。そばはまあ普通。ただ焼き穴子は残念ながらやや固めで今ひとつ。このあなご飯はだし汁を入れてアナ茶で頂く方法があるらしいが、タレの味がやや濃すぎるぐらいなので明らかにそっちの方があっさりして美味い。

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アナ茶

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デザートに抹茶豆乳プリン

 

 昼食を終えると美術館に移動するようにする。この間は岡山名物の路面電車で。これを運営する両備グループはタマ駅長で有名な和歌山電鐵も経営していることで知られている。やはり路面電車というのは便利な交通機関である。拠点都市間輸送の高速鉄道と都市内輸送の路面電車の併用というのも、私の中核都市構想の肝である。

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路面電車で移動する

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車内風景

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運転席

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岡山県立美術館

 

ミュシャと日本 日本とオルリク 岡山県立美術館で2/11まで

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 チェコ出身のミュシャとエミール・オルリクを中心にチェコと日本の美術界における交流を示す。

 19世紀末。ジャポニズムがヨーロッパを席巻するが、チェコも例外ではなくその洗礼を受けている。チェコを巡る芸術潮流としては、アール・ヌーヴォーを始め、象徴派その他諸々存在したのであるが、その全流派がいずれもジャポニズムの影響は受けているというのであるから、その影響の大きさが分かるというものである。ジャポニズムの中で特に影響の大きかったのは北斎と尾形光琳とのこと。本展冒頭はそのジャポニズムの象徴である北斎や琳派の酒井抱一などの作品などが登場する。

 次の第1章に登場するのはジャポニズムの影響を受けたチェコの作品。チェコでは日本関連の商品を扱う専門店まで登場して大盛り上がりだったらしい。その宣伝のポスターや明確に日本の浮世絵版画の影響を受けた作品などが登場する。これらを見ると、彼らがジャポニズムを取り込みながら、自らの文化の中で巧みに消化していることも分かる。

 第2章はミュシャが登場である。ミュシャはジャポニズムも取り込みながら、ミュシャ様式と言われるアール・ヌーヴォーを代表する装飾的スタイルを確立する。なおこのミュシャスタイルは明治の日本に大きな影響を与え、明星など当時の雑誌のほとんどはミュシャスタイルのイラストが溢れていた。そのような日本の作品も併せて展示してある。

 そして第3部でオルリクが登場する。オルリクは日本の浮世絵に魅せられ、木版画の技術を学ぶために来日までした画家である。彼は日本を題材にした木版画を制作しているが、西洋的なリアリティを含みながら西洋の伝統的な銅版画などとは違う木版画独自の表現を使用した、詩情の溢れる作品となっている。彼の作品は逆に日本の版画界にも影響を与えたという。

 第4章はオルリクの後継者としてヴァルター・クレムやカール・ティーマンの作品を紹介している。彼らはオルリクの影響を受けて木版画に取り組んだという。やはりそれまでの西洋の版画とは違う独特の詩情があることが感じられる。

 チェコと日本の芸術的交流を示す興味深い展覧会。影響が一方的でなく相互作用を及ぼし合っているところが興味深いところである。異文化の接触の幸福なケースを感じさせる展覧会である。


 確か本展の当初のタイトルは「チェコとジャポニズム」だったはずだから、後で無理矢理にミュシャをねじ込んだ感がある。確かに人気を考えるとミュシャが入るのと入らないのとでは動員が変わってくるから、この判断は営業的には間違ってはいない。実際にショップなどではミュシャグッズが花盛りになっていた。もっとも展示の方はミュシャに関してはいかにも後で付け足した感が強く、ミュシャに関する展示内容もありふれたものであったのは否定できない。

 

ホール向かいの喫茶店で一服

 展覧会を終えるとホールに向かうことにするが、まだ開演までにかなり時間がある。そこで喫茶店で時間をつぶすことにする。Google先生にお伺いを立てたところ、ホールの向かいに喫茶店があるようなのでそこに立ち寄る。

 立ち寄ったのは「CoMA COFFEE STORE」というコーヒーショップ。正面には入口がなく、裏手に回って階段を上った奥というアクセスの悪いところにあるのが特徴の店。店内は窓に向かったカウンター席が8席というこじんまりした店である。雰囲気的には隠れ家的な印象。

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ビルの2階にある店だが

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入口は裏手の階段を登ることに

 アイスの水出しコーヒー(550円)を注文。窓からボンヤリと路面電車を眺めながら待つ。落ち着くと言えば落ち着く雰囲気なんだろうか。

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表をたま列車が通りかかる

 やがて運ばれたコーヒーはサッパリとしてクセのないもの。これが水出したる所以か。コーヒーがあまり得意でない私が、シロップなしで飲めるのだからそのサッパリ具合が分かるだろうというもの。私的にはこういうのはありだが、コーヒーマニアなどはどうなんだろうか? ところできび団子が1つ付いてくるのはさすがに岡山。

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サッパリとした水出しコーヒー

 アイスコーヒーでくつろいだ後、向かいに見えるホールに入場する。8~9割ぐらいは入っており、意外に観客が来ているという印象。

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岡山シンフォニーホール

 

岡山フィルハーモニック管弦楽団 ニューイヤーコンサート

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指揮/ハンスイェルク・シェレンベルガー
ヴァイオリン/福田廉之介
アルマヴィーヴァ伯爵/松本敏雄、バルトロ/柴山昌宣
ロジーナ/柳くるみ、フィガロ/山岸玲音、
ドン・バジリオ/片桐直樹、ベルタ/畑山かおり
構成・司会/柾木和敬

ロッシーニ/歌劇「絹のはしご」序曲
パガニーニ/ヴァイオリン協奏曲 第1番
ロッシーニ/歌劇「セヴィリアの理髪師」ハイライト

 一曲目はアンサンブルの今一歩の甘さなどはあったりするが、まずまずの演奏であると言える。

 二曲目の協奏曲は福田の独奏が見事である。ただ後ろを気にして若干表現に抑制を描けていた節が見られる。シェレンベルガーは福田がテンポ変動などを仕掛けそうなカ所ではアイコンタクトを取ってかなり慎重な指揮をしていた印象を受ける。福田の演奏自体はまだまだ余裕が感じられ、彼自身もまだまだ伸びしろを秘めていそうである。

 後半はセヴィリアの理髪師のダイジェスト。出演歌手にちらほらと弱さが感じられる者がいないではないが、ソリストもオケも演奏自体はまずまずだったと感じられる。

 ただ致命的な問題は、設備の関係か予算の関係か、はたまた最初から不要と考えていたのか字幕を用意していなかったこと。そのために事前にあらすじを紹介されても、今どういう台詞を歌っているのかがほとんどの観客には不明(それが分かる者が館内に1人でもいるかどうかが怪しい)では、どうしても盛り上がりに欠けるというものである。また場面のセレクトも、音楽的にはともかくとして芝居として見た場合「どうしてそこ?」というチョイスが多く、舞台としての一連の流れがないブツ切れの感が非常に強くなる。結果としてダラダラと歌が続くという印象になってしまった。これがせめてヴェルディの作品なら、アリアだけでも単品で聴かせる力があったかもしれないが、残念ながらロッシーニではそこまでの力がない。つまりはイベントとしての企画に問題があったと言わざるを得ない。

 2時間半を越える長時間コンサートになったが、帰りの時刻が気になったのか後半になると途中でバラバラと席を立つ観客も現れだしたのが気になったが、残念ながら観客を最後まで引きつける魅力に欠けたのは厳然たる事実である。演奏自体に致命的な難があったわけではないので残念なところだ。


 コンサートを終えると足早にホールを後にする。路面電車に多数の乗客が飛び乗るが、終演時刻が予想よりも遅かったためか、電車が終点に到着すると駆け足で駅に向かう客が多い。かくいう私も急ぎ足で岡山駅に舞い戻ると、帰宅の列車に飛び乗ったのである。