徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

METライブビューイング「アクナーテン」を見てから湯木美術館に立ち寄る

 翌朝は7時半に起床する。いささか体が重いので、とりあえず熱めの風呂で気合を入れる。

 目が覚めたところで近くの喫茶店に朝食を摂りに行く。今日立ち寄ったのは商店街の入口のところにある「香豆里」。しかし店に入った途端にもわっとしたたばこの煙にいぶされる。この辺りの喫茶店は場所柄喫煙可のところがほとんどなので、どうしてもその時の客によってはこういうこともある。これはたまらんなと思っていたら、まもなく喫煙者の一人が出ていったことでようやく少しマシになる。ただいつもこの調子だとしたら、3か月も通ったらCOPDで肺をやられそうだ。

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香豆里

 注文したのはミックサンドのモーニング。モーニングはサンドイッチの種類などで様々あり、トーストとゆで卵のモーニングは一番安くて400円、ミックスサンドは一番高くて580円である。なおひどい店だとエッグサンドとハムサンドを1つずつ出してミックスサンドと名乗るような店もあるが、ここのはキチンとしたミックスサンド。サンドの味自体は良い。またコーヒーも苦みの薄い私好みの味。

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味はまずまず

 朝食を終えるといったんホテルに戻って原稿入力(笑)。10時にチェックアウトすると大阪駅に向かう。METライブビューイングは大阪ステーションシネマで。しかしご時世柄かやけに映画館内に観客が少なく感じる。

 

METライブビューイング フィリップ・グラス「アクナーテン」

指揮:カレン・カメンセック
演出:フェリム・マクダーモット
出演:アンソニー・ロス・コスタンゾ、ジャナイ・ブリッジス、ディーセラ・ラルスドッティル

 かなりの異色作である。現代音楽ではあるが旋律のない騒音ではないのでそっちは意外と引っかからない。ただ執拗に繰り返す同じフレーズはかなり脳に突き刺さる印象。その執拗に繰り返すフレーズに乗せて、ゆっくりとしたまるで現代舞踏のような舞台が繰り広げられる。

 本作を見ただけですぐに想像つくのは、演じ手の身体的負担の大きさである。ジャグリングが重要なモチーフとして用いられているが、このジャグリングを要求されるのが本職のジャグラーだけでなくて合唱団も含めてである。しかも全編ジャグリングだらけなので、明らかなミスも何度か見られたが、それはうまく誤魔化していた。またかなりの身体的負担が求められるのはジャグリングだけでなく、歌手のゆっくりとした動きもかなりしんどいだろうと思われた。その上にまるで機械のような超高音の連発の歌唱。これは歌手は体力勝負である。

 ナレーション的な説明がところどころ入るが、出演者にはセリフがないので一種の無言劇のような趣がある。それでも何となく全体のストーリーは分かるような構成になっている。要は急進的な改革を進めたアクナーテンが、最終的には神官ら保守派の反発を受けて排除されてしまうという物語である。それをグラスは古代エジプト語やヘブライ語のフレーズを繰り返す独特の歌唱劇として展開した。これはもはやオペラと呼んでよいのかという疑問もないではないが、終始圧倒されるような舞台であったのは間違いない。

 主人公のアクナーテンを演じたカウンターテナーのアンソニー・ロス・コスタンゾを始めとして、超音波系ボイスで圧倒的世界が展開されたので、何となく頭がトリップしてしまった感覚がある。とにかく異質でありながらも惹き込まれたのは事実。かなり長丁場の作品にもかかわらず異常に集中力の高い作品だけに、体感的には長いとあまり感じなかった。またグラスの音楽に対する理解の深いカメンセックが困難な曲にかかわらずオケを見事にリードしたことも特筆すべきだろう。


 とにかく「変わった作品」というのが正直な感想だが、不思議と嫌悪感は催さなかった。私も以前に比べるとかなり許容範囲が広がったのかも(笑)。

 この後は昨日香雪美術館でポスターを見かけた湯木美術館に立ち寄ることにする。吉兆が所蔵する茶道具などを展示する美術館とのこと。美術館は淀屋橋南のオフィス街の中のビルの2階にある。

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湯木美術館

 

「利休イノベーションー茶道具の変革ー」湯木美術館で3/22まで

 茶の湯を変革して、侘茶の体系を確立した利休やその弟子たちに纏わる茶器類を展示。

 展示されていた長次郎作の黒茶碗などがいかにも武骨で利休好みなのだろうが、正直なところあまりに武骨に過ぎて、私などは一緒に展示されていた黒織部の軽妙さの方に惹かれる。侘茶の創始者だけあって、いかにも「渋い」のが利休の好みであるが、私のようなふざけた人間にはもう少しユーモアが欲しいか。笑える織部の方が性に合う。

 それにしても器の類には全く興味のなかった私が、いつの間にやら茶器に魅力を感じ、茶入れの曲線などに美しさを見出すようになっていた。元をたどれば「へうげもの」の影響なのであるが、漫画の効果ってつくづく侮れない。


 美術館自体は小さな展示室が1つあるだけなので、展示点数としてはあまり多くない。美術館内の落ち着いた雰囲気は良いが、入場料の700円はいささか高く感じられ、CPという身もふたもない見方をするとあまり良いとは言えない。もっとも吉兆なんかに来るような者は、こんな程度のはした金なんて意にも介さないのだろうが。

 

 ところでよくよく考えてみると、今日は朝にモーニングのサンドイッチを食べただけで、あとは劇場内でホットドッグをつまんだだけ。昼食を全く摂ってなかった。気が付けばガス欠寸前である。そこで通りかかった「OMATCHA SALON」「抹茶そば」を食べることにする。

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お洒落な店構え

 そば屋というわけではなくて抹茶のスイーツがメインの店のようだ。店内がガラガラだったのに、入店した途端に「席を片付けるから表で待ってくれ」と追い出されて思わずムッとする(しかもそのまましばらく放置)。この手によくあるお洒落なことだけが売りの店かと感じたが、出てきたそばは存外まとも。最初の悪印象さえなければ評価も変わるところだが、まあこの界隈に来ることは今後ほとんどあるまい。

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存外まともな抹茶そば

 

 これで大阪での用事は終わったので、明日に備えて京都に移動することにする。今日は京都で宿泊予定。九条の京都ユニバーサルホテルを予約している。

 阪急で烏丸まで移動すると地下鉄で九条へ。このホテルは駅から微妙に嫌な距離があるのが難点の一つ。また一階にコンビニが入居しているのは良いが、それがヤマザキ比率の異様に高いローソンなので残念ながら今一つ使えない。そこで途中でセブンに立ち寄って飲み物類と夜食を購入しておく。

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京都ユニバーサルホテル

 ホテルについて一息つくと夕食を摂りに食堂へ。このホテル、珍しいことに夕食がついておりCPとしては高いのだが、これが会社の研修施設感を強める大きな要因ともなっている。実際、今回はどこかの高校運動部と思われる団体と一緒だったし。なお夕食は可もなく不可もなくの内容だが、無性に腹が減っていたのでドカ食いしてしまった。

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今日の夕食

 夕食後は地下の大浴場で入浴。これがあるのがこのホテルの大きなメリット。なおここのホテル、マンション形式で廊下は屋外と同じなのでエレベータまでの移動が寒い。

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大浴場で入浴する

 入浴を終えるとゆったりしたところで、またもひたすら執筆作業(笑)。ホント、この調子で本業の方に精を出していたら、今頃重役は無理でも部長ぐらいにはなっていたかも(笑)。

 夜も更けてきて疲れが出てきたところで今日は就寝する。