徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

お知らせ

アニメ関係の記事は新設した「白鷺館アニメ棟」に移行します。

白鷺館アニメ棟

海外でも無観客ライブ配信が出てきているようです

 日本で各地のコンサートが全滅状況で、無観客ライブ配信が行われていますが、同様の状況は海外でも発生している模様。YouTubeにも複数上がっているようです。


The Philadelphia Orchestra: BeethovenNOW: Symphonies 5 & 6


MSO Live | Rimsky-Korsakov's Scheherazade

 

 フィラデルフィア管弦楽団のライブを聴いてみました。3/12のライブとのことです。指揮はヤニャック・ネゼ=セガンで曲目はHabibiのJeder Baum spricht(すべての木が話す-Google翻訳)にベートーヴェンの交響曲第5,6番。

 Habibiなる人物が不明なのだが、ザッと調べたところによると作曲家兼ピアニストのIman Habibiのことと思われる。Jeder Baum sprichtは現代音楽的な奇っ怪なものではなく、結構普通の管弦楽曲で実際に木々がざわめいているような雰囲気のある曲。ネゼ=セガンはこの曲から続けて「運命」に突入する。

 フィラデルフィア管弦楽団は以前に来日公演を聴いた時に、あまりに屈託のない陽性な音を出すなと感じたのであるが、この運命においても全くその通り。見事なほどに屈託皆無の運命である。前進力があって軽快な力強い音楽であり、正直なところ「運命」の演奏としてはいささか疑問がある。

 このカラーがプラスに働くのは次の「田園」において。生き生きとした演奏が曲想と合致するので、下手すると退屈になりかねないこの曲が、実に瑞々しく躍動感溢れるものとなっている。

 この陽性の音色はオーマンディー時代のゴージャスなフィラデルフィアサウンドの残り香だろうか。しかしどんな曲でも常にこのサウンドとなれば、やはり深刻な曲の場合にはどうしても軽薄さにつながってしまう。以前に私が来日公演を聴いた時に不満を感じたのもまさにその点だった。まるで映画音楽のように聞こえたブラームスを私は「ぬるい」と感じたのだが、そのことを思い出した。