徒然草枕

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ベルリンフィルデジタルコンサートホールでペトレンコを聴く

 外出禁止令でオケの方もリハーサル自体が不可能になってきているので、先月は何件かあったライブ配信も今月は全く期待できない状態。そんな中、次々とコンサートの中止の報が舞い込んできて、その度に特定記録郵便でチケットを送り返している日々である。そろそろコンサート欠乏症が重症化しつつあるので、先月に1ヶ月の無料手続きをしたベルリンフィルデジタルコンサートホールを視聴することにする。

www.digitalconcerthall.com

 それにしても流石だと思うのは、映像も綺麗し音質も良いこと。また立ち上げ時に一瞬止まるようなことはあっても、一旦始まったら途中で音が途切れるようなこともない。さすがに有料サービスのことだけはある。このクオリティがないとなかなかお金は取れないだろう。YouTubeやニコニコ動画やカーテンコールなんかとはレベルが違う。

 

 

 で、今回聴いたのはキリル・ペトレンコ指揮の2020.2.15の公演。曲目はストラヴィンスキーの3楽章の交響曲、ベルント・アロイス・ツィンマーマンのバレエ組曲《アラゴアーナ》(ブラジル風奇想曲)、ラフマニノフの交響的舞曲というややマイナー曲の3本立て。

 ストラヴィンスキーについては初めて聞く曲なのだが、簡潔な音楽の中にストラヴィンスキーらしいやや古典を思わせる響きがある曲。ペトレンコの演奏は最初から切れ味鋭く、ベルリンフィルもなかなかに鋭い演奏。引き締まっていて聴き応えあり。意外と面白い曲だなと思わせる。

 ベルント・アロイス・ツィンマーマンについてはいかにも現代音楽の響きではあるが、曲自体はオーソドックスで特に奇々怪々なわけではない。バレエ組曲ということもあるのか、意外に馴染みやすい曲。

 そしてラフマニノフの交響的舞曲については、私は今までN響や他の日本のオケで聴いたことはある曲だが、その時にはあまり面白くなくて喧しいだけの退屈な曲という印象だった。しかしペトレンコがキレッキレでベルリンフィルもさすがに冴え渡る演奏。こういう演奏で聴くと全く別の曲に聞こえ「意外と面白い曲じゃん」と曲の印象まで一変してしまった。

 ペトレンコのキレッキレの演奏に場内も大盛り上がりの模様で、結局はペトレンコの一般参賀まであったという内容。やっぱりベルリンフィルは格が違うと感じずにはいられなかった。