徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

YouTubeでジャン・チャクムル/岡山フィルによるショパンのピアノ協奏曲を堪能する

 連日のようにコンサート中止情報が伝わってきて、その度ごとに郵便局に行っては特定記録郵便を送るという不毛な日々。つい先日も4/29の関西フィル定期の中止の知らせが舞い込んできたが、会員宛の払い戻しの連絡葉書が到着した。それによると払い戻しは前回の定期の分も合わせて6月の定期か7月の定期でということらしい。これは暗に5月の定期も中止になる可能性が高いことを匂わせている。実際に5/15,16の大阪フィルの定期の中止(デュトワ来日ならず、これは実に痛恨の極み。来年度か本年後半の特別公演辺りをお願いしたい)、さらには5/16,17の京都市響の定期も中止のアナウンスが出ているので、5/22の関西フィルの定期が出来るとは思いにくい。もっともそうなると、5/24の大フィルのチャイコチクルス第1回、5/30の関西フィルの指輪も怪しくなってくるが・・・。

 なお京都市交響楽団については、今年度上期の公演についてはどこまでが中止になるかが読みにくい状況なので、会員に対しては一件落着してからまとめて返金処置をとる旨が伝えられてきた。これは最悪は夏頃まではダメになる可能性があると覚悟しているということだろう。そうなると惨憺たる状況であるが、未だに自らの個人的利権を優先してまともな対策を打てない現政権を見ていると、状況悪化が年単位に及ぶ最悪の事態さえちらつく。無能なトップに有事に全権を与えることがいかに危険であるかを身をもって体験する羽目になろうとは・・・。

 

 さて関西のオケだけでなく、影響は全国に及んでいる。東京の惨状は言うまでもないが、私が以前から数回コンサートに出かけている岡山フィルも先の第63回定期に続いて、5/24に予定されていた第64回定期の中止のアナウンスが早々と出ている(シェレンベルガーの来日が不可能になったのだと推測する)。

 なおこの事態に際し、岡山フィルでは第62回定期演奏会での模様をYouTubeにアップしたようである。そこでそれを聴いてみることにした。

www.youtube.com

 

岡山フィルハーモニック管弦楽団第62回定期演奏会

指揮/ハンスイェルク・シェレンベルガー
ピアノ/ジャン・チャクムル(第10回浜松国際ピアノコンクール優勝者)

ショパン/ピアノ協奏曲 第1番

 
 ピアノは浜松で優勝したジャン・チャクムル。超絶技巧の持ち主である新鋭である。彼のライブは私も何度か聴いているが、その度にその技巧には唸らせられている。本公演でもチャクムルはショパンのピアノ曲をまるで何事でもないかのように軽々と弾きこなしている。ただ彼のすごいところは単に技術をひけらかすだけの演奏ではないこと。本公演でも彼の演奏は、その超絶技術は余裕分として置いておいて、さらに情緒の表現に力点を置いているのが分かる。超絶技巧の持ち主ゆえにテクニックに患わされることなく、表現に専念できているかのような感覚を受ける。曲想もあるが、私が以前に聴いた演奏よりもさらに甘美な演奏になったように感じる。構成の甘さなどの様々な難点も指摘されるこの曲であるが、チャクムルレベルの演奏になるとそれが気にならないのも驚き。ショパンのこの曲は、やはり超絶技巧の持ち主であったショパンが自身による演奏を想定して書いたものだったのだなということを改めて感じさせられた。

 それにしてもチャクムルはまさに恐るべき逸材である。今後どこまでさらに伸びるかは計り知れない。なおアンコールでシェレンベルガーのオーボエも聴けるのがうれしいところ。ややマイクが遠目のせいで音量が弱いのが難点だが、シェレンベルガーの味わい深い音色を堪能することが出来る。