徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

ベルリンフィルデジタルコンサートホールで聴くハイティンクの最晩年のブルックナーは流石に極上だった

 びわ湖ホールから、先月にライブ配信された「神々の黄昏」がBDで発売されるとの案内が出た。最初はDVDで発売と言っていたようだが、私も「今時DVD?」と言っていたのが届いたのか(笑)、高画質のBDでの発売となった模様。発売予定は6月末で販売はびわ湖ホールなどで行うとのことなので、まあ事態が落ち着いてからの話である。当然ながらYouTubeで配信された固定カメラのものでなく、複数カメラを切り替えて編集した物になるようで、2日間の公演のそれぞれが発売される模様。

 さて勤め先も半休業状態となってしまい、果たして事態収拾後にまともな会社員としてフル活躍できるであろうかと一抹の不安を抱きつつお籠もり生活を送っている私であるが、ここのところはとにかくベルリンフィルデジタルコンサートホールを聴くか、かつてAT-Xで撮りだめたアニメ作品を見るかという日々を送っている。そう言えばベルリンフィルデジタルコンサートホールは1ヶ月の無料視聴と言うことで楽しんでいたが、そろそろそれも切れる頃が近づいてきた。1ヶ月の料金は1700円ほどとのことだが、これからどうするか悩ましいところである。

 今日は2019年のハイティンクによるブルックナーの交響曲第7番を。ハイティンクはこの年に現役を引退しているので最晩年の演奏と言うことになる。

 

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(2019.5.11)

指揮:ベルナルド・ハイティンク
ピアノ:ポール・ルイス

モーツァルト ピアノ協奏曲第27番変ロ長調
ブルックナー 交響曲第7番ホ長調

 ブロムシュテットと並んで老巨匠となったハイティンクによるブルックナー。老巨匠が晩年に至った心境が垣間見られる。

 まず最初のモーツァルトについては、ルイスのピアノにはモーツァルト的な軽快さよりももっとロマンティックな境地が見られる。彼の演奏はアンコールでのシューベルトのアレグレットハ短調で現れたような甘美なものが本領なんだろう。バックのオケもハイティンクの指揮の下、かなり堅実かつしっかりした演奏をしているので、結構重量感のあるモーツァルトとなっている。

 さてブルックナーであるが、ほぼ同年代のブロムシュテットの演奏だと、とにかくドッシリと構えてひたすら低重心であるのに対し、ハイティンクの場合はそれよりは華麗で躍動感があるのが特徴か。ベルリンフィルらしくアンサンブルの美しさも際立つ。ゆったりと構えた中で極上の音を重ねていくという美しさが実に見事。そこに溢れる生命感にはハッと息を呑まされる。2015年にロンドン交響楽団を率いて来日した時の極上の演奏を思い出した。

 演奏終了後は老巨匠の熱演に場内は総立ちとなっての大盛り上がり。楽団員も巨匠に敬意を表してなかなか立ち去らない中、何度も「ああ、しんど」というような様子ながらもやり終えた感を漂わせて現れる巨匠の姿が何となく楽しげでもあった。最後には自ら楽譜を畳んで「もう帰らせて」という感じであったが、楽団員が引き揚げた後も観客は引き揚げず、結局はもう一度引っ張り出される羽目に。しかしそれもさりなんの名演であった。