徒然草枕

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ペトレンコ、ベルリンフィル首席指揮者就任演奏会の第9をネット配信で聴く

ベルリンフィルのヨーロッパコンサートが5/1 18:00より無料中継

 コロナの影響で中止されるだろうと思われていたベルリンフィルのヨーロッパコンサートが、ベルリンフィルハーモニーでのペトレンコ指揮の無観客ライブとして公開されることになったとのことである。この模様はベルリンフィルデジタルコンサートホールで5/1の日本時間18:00(現地時間11:00)より生中継されるとのこと。無料放送とのことなので、ベルリンフィルデジタルコンサートホール非加入の方でも視聴は可能と思われる。ベルリンフィルデジタルコンサートホールは私は先日に加入したが、音質・画質共に良好であるのでお勧めである。

www.digitalconcerthall.com

 

 安全のために演奏は室内オーケストラ規模で行うとのことで、曲目はマーラーの交響曲第4番(室内オーケストラ版)とのこと。活動停止状態になっていたベルリンフィルもいろいろ手を打ちながら活動再開を図っていることが覗われ、これはドイツ自体が現在経済活動再開を模索しているのと呼応している。うまく行けば予想よりも早くドイツのオケは活動再開につながるかもしれないが、問題は日本の方がさっぱりの状況。恐らく今の日本の状態では、ドイツのオケを招聘したところであちらの渡航許可が出ないだろう。特に日本政府の出すデータが検査数が少なすぎて実態を反映していないと、国際的に全く信頼されていないことが致命的。

 さて今回は生中継に向けてペトレンコの予習というわけではないが、2019.8.23のペトレンコの首席指揮者就任演奏会のベートーヴェンの交響曲第9番を視聴。

 

ベルリンフィル・ペトレンコ首席指揮者就任演奏会(2019.8.23)

指揮:キリル・ペトレンコ

マルリス・ペーターゼン(ソプラノ), エリーザベト・クルマン(アルト), ベンヤミン・ブルンス(テノール), ユン・クヮンチュル(バス), ベルリン放送合唱団, ギース・レーンナールス(合唱指揮)

ベルク《ルル》組曲
ベートーヴェン交響曲第9番ニ短調《合唱付き》

 前半のベルクについては、正直なところ私にはよく分からない曲。ペトレンコとベルリンフィルの組み合わせらしいキレの良さは感じるが、残念ながらそれ以上のことはよく分からない。私にはどうしても単に奇々怪々な曲に聞こえてしまうのが本音。

 メインの第9であるが、これについてはペトレンコがキレッキレというか、いきなりかなりの快速テンポで突っ走る。弛緩しないというメリットはあるがいささかせわしない感がある。前進力ばかりが強くて、表現自体はやや素っ気なくサラッと流した印象を受ける。私的には特に第1楽章はもっとネチっこくやった方が好みではある。まあ第1~3楽章は第4楽章の前座と思っている者にはこの方が良いかもしれないが。

 ソロ歌手達を迎えての後半の第3楽章はやや落ち着いてゆったりと謳わせてくるが、それでもいささかテンポは速めか。そのまま最終楽章に突入しても快速テンポは変わらず。冒頭からやや速めのテンポで歯切れ良く進む。合唱参加後もよくある年末第九のようにガンガン行くわけではなく、適度に抑制をかけた引き締まった演奏。仕掛けもなかなか多い。やはりこの辺りは素人合唱団でなくてプロを起用している強みもあるか。非常に端正な印象であり、宗教曲のように思わせる荘厳さがある。

 演奏時間はトータル1時間ちょっとという、かっ飛び第9だった。やや小編成気味のオケと合唱といい、シンプルで誇張を廃したという印象のアプローチである。好き嫌いはあるところではあるが、これもアプローチの一つなのだろう。