徒然草枕

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ロレンツォ・ヴィオッティ/ベルリンフィルでマーラーの交響曲第3番を聴く

 さて長いお籠もりGWも終わり、明日からまた仕事復帰(本業の方)である。とは言っても、緊急事態宣言が今月末まで延長された以上、私の職場も恐らく今月一杯は半休業状態を余儀なくされるだろう。

 とは言いつつも、すべて在宅勤務で終わらせられるわけでもなく、明日はとにかく職場に顔を出す必要がある。正直なところここのところのお籠もりで完全にニートスキルが開花してしまっており、果たして社会人に真っ当に復帰できるかがやや怪しげなところである。

 などと今後のことを懸念しつつ、GW最終日はまたベルリンフィルデジタルコンサートホールを楽しむことにする。今回はマーラーの交響曲第3番。本来はヤニック・ネゼ=セガン指揮の予定だったらしいが、キャンセルとのことで急遽の代演は新鋭ロレンツォ・ヴィオッティである。

 

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(2020.2.29)

ロレンツォ・ヴィオッティ
エリナ・ガランチャ(メゾソプラノ)
ベルリン放送合唱団女声団員
ベルリン国立大聖堂児童合唱団

マーラー 交響曲第3番ニ短調

ヴィオッティの指揮は昨年に東京交響楽団で聴いたことがあるが、その時の印象は若手らしく非常にロマンティックな演奏をするが、軽率にはならず将来の巨匠の雰囲気を感じるというものであった。

 本演奏でも若さに任せて突っ走ると言うことはせず、ドッシリと構えてゆったりとしたテンポで美しいアンサンブルを聴かせるという演奏となっている。マーラーが抱えている葛藤を正面に出すよりも、後期の交響曲で顕著になってくる天国的イメージを前面に出した印象の演奏である。徹底的に美しく荘厳さも感じさせる音楽となっている。

 このタイプの演奏は一つ間違うと退屈なものになる危険もはらんでいるのだが、そうならないのは流石にベルリンフィルの技術。またメゾソプラノと合唱が加わるとより音楽が妙味を増すのは、ヴィオッティが若いながらもオペラのキャリアを経験していることも関係あるのか。

 とにかく終わってみると「美しいマーラーだったな」という印象が残る演奏であった。マーラーの初期交響曲でこういう境地を感じたことはあまりない経験。