徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

ロンドン交響楽団のライブ配信でベテランピアニストのウルトラセブン

ロンドン交響楽団ライブ配信(2014.1.21収録)

指揮:サー・ジョン・エリオット・ガーディナー
ピアノ:マリア・ジョアン・ピレシュ

メンデルスゾーン 「フィンガルの洞窟」
シューマン ピアノ協奏曲
メンデルスゾーン 交響曲第3番

 ロンドン交響楽団の今回の配信は2014年とやや古めの収録。指揮はジョン・エリオット・ガーディナーでピアニストはマリア・ジョアン・ピレシュとベテランコンビである。曲はメンデルスゾーンと「ウルトラセブン」ことシューマンのピアノ協奏曲。

 まずジョン・エリオット・ガーディナーによるフィンガルはかなり癖のある演奏である。テンポ設定やバランス設定などが普段聞き慣れているこの曲とやや異なる。テンポ変動などはかなり激しく、強弱のニュアンスなども強調気味であるが、弦楽がところどころノンビブラートを多用するためかその響きはロマンティックと言うよりはむしろ古典的に聞こえる。

 マリア・ジョアン・ピレシュは2017年に現役引退したとのことであるので、かなり最晩年に近い録音になる。冒頭からとにかくロマンティックというか情感タップリである。ただタッチはやや弱めで、所々運指に引っかかったように感じられる部分があるのは否定できないところ。ただそういうテクニック的な面を越えて、ベテランピアニストならでは味わいがあるのは間違いない。そのロマンティックさで有名なこの曲(私の世代なら、この曲の冒頭を聞いただけでキラキラをバックにしたアンヌの姿が浮かぶ)を自在のテンポで弾く内容はかなりのメロメロドラマである。それに比べるとむしろ後半の方は淡々として聞こえるか。

 最後のスコッチはなぜか弦楽陣が全員起立しての演奏(ホールが狭いという以外の何か理由があるのかは不明)。ノンビブの淡泊な音色に強弱変化及びテンポ変動も多いかなりロマンティックな演奏。だから古典派の影響を引きながらロマン派につながっていっているメンデルスゾーンの「古くて新しい」というところを表現したような興味深い演奏である。古典的な端正な雰囲気は保ちつつも、その中身はかなり劇的で激しい。かなりドラマティックな第一楽章の次は快速なテンポで駆け抜ける第二楽章。そして謳わせる第三楽章だが、ここではビブラートも使用しているようである。そしてアタッカで最終楽章へ。最終楽章はややアップテンポ気味で比較的あっさり風味・・・と思っていたら、最終盤で唐突にかなりコッテリとした味付け。とにかく変化が激しく、古典派とロマン派が入り乱れるような目まぐるしい演奏である。またビブラートとノンビブラートを表情付けに細かく使い分けているようにも感じられ、それがさらにダイナミックな変化につながっていた。ところどころに矛盾を孕んでいるようにさえ感じられ、ある意味ではそれがメンデルスゾーンそのものなのかもしれないなどと思わせられたりする。