徒然草枕

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カーテンコールで聞く朝比奈/大フィルのブルックナーはなかなかの名演

 先々週から土曜日ごとに公開されている朝比奈隆指揮大フィルの過去の名演集の今回は第3弾。以前より「朝比奈と言えばブルックナー」と言われる定評のあるブルックナーの交響曲第8番である。

curtaincall.media

 

朝比奈隆指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団

ブルックナー/交響曲 第8番 ハ短調(ハース版)(2001.7.7収録)

 朝比奈のブルックナーについては定評があるという話は聞いていたが、実際にこうして演奏を聞いてみて納得した。朝比奈/大フィルの演奏はゴリゴリとして泥臭いところがあるのであるが、それがブルックナーの音楽自体が持つ泥臭さと見事にマッチしている。

 ゴリゴリした演奏は、ブルックナーの交響曲の場合にはかえって絶妙な味付けになっている。実のところブルックナーはあまりに流麗に演奏しすぎるといささか眠くなるようなところがあるのだが、それが適度な「眠気覚まし」になるのである。特にブルックナーの一番の魅力とも言われながらも実は一番観客を眠りに誘ってしまう「落としどころ」でもあるアダージョなんかで効果絶大である。

 またやや荒っぽい感じがあるこの時期の大フィルの金管も、そもそも金管バリバリのブルックナーになると、これが荒っぽさでなくてパワーにつながるというところがある。とにかく万事に渡って相性の良さを感じる。

 重厚という感じではないが、躍動感があって生命感のある演奏である。そのために私のようなブルックナーファンではない(と言うか、本音を言うとブルックナーはむしろ苦手)という者にとって非常に聞きやすく、聞いていて楽しめるという演奏である。


 なるほど、評判というのは単なる伊達ではなかったんだなということを認識した今回。もっともこの手の演奏は好みが分かれるが、やはり頭から酷評する者がいたとしても不思議ではない。結局は趣味の世界とは究極的には好き嫌いという話に尽きるのだから。

 なお6/21にカーテンコールで山響ライブ配信の第2弾があるとのことなので、コンサートに行きたくても行けない状況にウズウズしている方にお勧めする。

www.yamakyo.or.jp