徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

上映中止になっていたMETの「ポーギーとベス」を劇場再開でようやく見に行く

 昨日大阪から帰ってきて、正直なところ疲れがまだ体に残っているのだが、今日は再び神戸に出向くことにした。目的はMETライブビューイング。例のコロナ騒動で上映が流れた「ポーギーとベス」がこの週末に上映されることになったから。昨日大阪に出たついでに大阪の劇場に立ち寄れないかも考えたのだが、大阪ステーションシティシネマは11時から4時間と言うことで関西フィルとモロ被り、なんばパークスシネマの方は18時半からなので、終わってから帰ったら深夜になってしまう。しかもなんばパークス周辺には夜も開いている駐車場がない。かといって車を福島において地下鉄なんかで移動したら、何のために車で行ったのかが不明になってしまう。と言うわけで今日になって神戸の国際松竹に出向くしか手はなくなった次第。

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神戸国際会館

 例によって駐車場はタイムズの予約で確保済み。阪神高速を突っ走って三ノ宮に到着すると、契約駐車場に車を置く。上映開始は12時からなのでまだ時間があるので、最初は国際会館地下のスタバによって抹茶ラテを買ったのだがこれは大失敗。甘すぎて気持ち悪くなってきたので半分も飲めずに破棄。

 

三ノ宮で昼食を

 そろそろ11時になったので上映前に昼食を摂っておくことにする。立ち寄ったのは国際会館向かいのビルの地下にある「ロイン」。ステーキハウスであるが、昼食時には安価なランチメニューがあり人気と聞いた。入店するとランチメニューの中から「ミニステーキランチ(1000円)」を注文する。ちなみにこれで不足の人には「ミニステーキラージ」という意味不明(笑)なランチもある。

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国際会館向かいのロイン

 サイコロステーキとの表記があったが、ファミレスなどの整形肉とは違って、要はステーキなどを切り出した切れ端のようである。焼き具合は強火でザッと焼いたという印象。カチカチにならずに柔らかいが、いささか香ばしいと言うよりも焦げばしいという感がある。肉が薄手なのとソースの味付けの関係で、ステーキと言うよりは焼肉という印象。多分ステーキを食べたら美味しいだろう。

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ミニステーキランチ

 それにしても人気のランチと聞いていたのだが、開店直後とはいえ客が私の他には親子連れ一組というのはいささか寂しすぎる感がある。明らかに表を歩いている人数も少ないし、まだまだ飲食店は苦戦中のようである。

 

 昼食を終えると劇場に向かう。座席は一席飛ばしの閑散配置になっているが、その閑散配置がほとんど埋まらない状態。恐らく観客全員で20人に届いていない。

 

METライブビューイング ガーシュイン「ポーギーとベス」

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国際会館11階の国際松竹

指揮:デイヴィッド・ロバートソン
演出:ジェイムズ・ロビンソン
出演:エリック・オーウェンズ、エンジェル・ブルー、ゴルダ・シュルツ、ラトニア・ムーア 、デニース・グレイヴス、フレデリック・バレンタイン

 アメリカ南部の黒人たちの集落、キャットフィッシュロウ(なまず横町)で暮らす足の不自由な乞食のポーギーは、ベスに密かに思いを寄せていた。そんな時、ベスの内縁の夫であるクラウンが賭博のトラブルで殺人して逃亡、取り残されたベスをポーギーが匿うことになる。ポーギーの愛に安らぎを感じ、彼と共に生きていこうと決めるベスであるが、そこにクラウンが戻ってきて・・・という物語。黒人社会をガーシュインがジャズテイストで描いた人気作である。

 まともに生きたいと思いつつも、薬物依存がある上に男に頼らないと生きていけない性分のベスを演じたエンジェル・ブルーの演技は、ベスの内面の葛藤を滲ませており、悪女ではないがどうしようもない女性であるベスのキャラクターを見事に表現していた。

 存在感が目立ったのは、フランクと並んで本作の悪役であるスポーティング・ライフのフレデリック・バレンタインの怪演。どうしようもない超チャラ男キャラを怪しさ全開でありながら妙な愛嬌も感じさせる極めて印象的な悪役として表現していた。時にはその存在感は完全に場を支配していた。

 主役のポーギーを演じたエリック・オーウェンズは圧倒的といっても良い存在感であった。ポーギーの一途さ、心の機微を見事に描ききっていた。もっともあまりに堂々としているのでただの片足の不自由な乞食には見えなかった部分もあるが(笑)。もっともこのポーギーは荒くれ者であるフランクを結局は格闘で絞め殺しており、確かに実はただ者ではないのであるが。

 貧しさの中で互いに助け合いながら生きている黒人のコミュニティーの中の、どうしようもない連中による悲しい人間模様を描いたのが本作。まともな生き方をしたいと思いつつも結局はそれを果たせずに誘惑に負ける悲しいベスと、そんなベスを一途に思って生きる支えにしているポーギーの悲しさは胸を打つ。

 それにしても抜群だったのはガーシュインの音楽。作品に非常に合致して魅力的な音楽の数々は心を打つ。なお本作、アメリカ近代オペラの代表作と捉えられているが、ハリウッドのミュージカルとして演じても違和感のない内容であり、劇中のアリアのいくつは実際にいわゆる定番曲になっているとのこと。正直なところ私はガーシュインの音楽はあまり知らないし興味もあまりなかったのだが、本作を見て初めてガーシュインの天才を確信した。なおそのガーシュインの音楽に、見事で歯切れの良いダンスを組み合わせた演出も抜群であったと言える。

 なお作品中には権力を振りかざす白人警官なんかも登場(悪役というよりは単なる嫌な奴)しており、その辺りは図らずしも妙にタイムリーであるようにも感じられたが、これはむしろ余計な話か。


 ガーシュインってすごい音楽家だったのだということを初めて理解した。それだけでもわざわざ疲れを押して神戸まで出張ってきた価値はあったというところか。

 

帰宅途中で長田の名物菓子を購入する

 この後は帰宅するのみだが、途中で私がかつて住んでいた長田に立ち寄る。長田は実は有名な和菓子屋が何軒かあり、そこの定番土産を買って帰ることにした。立ち寄ったのはまず「長田のういろや」。ここで「抹茶ういろ」を購入。ういろといえば名古屋名物のクソマズい「ういろう」のせいで非常に印象が悪いが、そういう者はこの長田のういろを食べてみることをお勧めする。完全に別物である。名古屋の何やら羊羹の出来損ないのようなまずい菓子ではなく、ここのういろはもっともっちりとした柔らかいちまきに近いような菓子で抜群に上手い。その代わり完全な生菓子なので日持ちがしないのが難点(だから駅などの土産物にしにくい)。

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 さらにもう一軒「餅屋大西」に立ち寄って、この店の夏の定番である「つゆ草」を購入。いわゆる水饅頭であり大垣などでは名物のようだが、長田の人間としては水饅頭といえば大西のつゆ草というのは常識。冷やして食べると実に美味である。

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 今回購入したのは上記の2点のみだが、実は長田はこれにほうらく堂」「ほうらく饅頭」という薄皮饅頭もあり、これらを合わせて「三種の神器」とも呼ぶ和菓子の定番である。もし長田界隈に来ることがあれば、長田神社参道筋のこれらの店をお勧めするところである。

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