徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

関西フィル第312回定期演奏会のために大阪に出向く

 東京は本格的に感染爆発、大阪も60人越えで実質的に感染爆発というかなりヤバい状況の中で大阪に出向く羽目になってしまった。1ヶ月ほど前に関西フィル事務局から「次の定期演奏会に来られますか?」と電話確認が来た時には、あまり深く考えずに「やるんなら行きます」と言ったものの、まさかここまで急激にヤバい状況になってくるとは。とりあえず考えられる限りの対策はした上で出向くしかない。当然のように一番危険な鉄道を避けるために車で往復することにする。

 金曜の仕事を終えるとすぐに車で大阪に向かう。夕方の阪神高速は例によって渋滞があるが、幸いにして致命的な遅れは生じずに目的地に到着。駐車場は今回はタイムズでもakippaでもどちらも事前予約が出来なかったので、時間制駐車場を出たとこ勝負にすることにしている。とりあえずザ・シンフォニーホール周辺の駐車場を調べて第1希望から第3希望ぐらいまで用意しておいたのだが、難なく第1希望の駐車場に車を停めることが出来る。まあこういう時に日頃の行いが出るというものだろう(笑)。

 駐車場に車を置くとホール周辺で夕食を摂る店を探すが、今日は小雨がぱらつく悪天候の上に昨今のコロナ患者急増の影響か、この界隈もいつになく人通りが少ない。店を覗いても開店休業みたいな店が多いし、実際にご臨終してしまったらしき店もある。相当影響は出ているようだ。観光地なんかが悲惨な状況になっているのは想像に難くない。しかしこの時期にGoToキャンペーンなんて明らかに常軌を逸しているし、もうこうなったら直接支援しか手はないだろう。

 

無事にコロナ禍を生き抜いた「やまが蕎麦」で夕食

 ラーメンやカレーという気分でもなかったことから、結局は「福島やまが蕎麦」に入店して「ざる定食(750円)」を摂ることに。どうも最近はそばを食べる頻度が増えてきた。私も老化してきてかつてのように肉をガッツリという気にはならなくなってきた。

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よくぞ持ちこたえてくれた

 この店に来るのも半年ぶりに近いのではなかろうか。正直なところ「よくぞ生き残ってくれた」というところ。久しぶりだが相変わらずそばが美味い。もっとも今日は昼が軽かったせいもあって、おにぎりをつけてもやや量的には不足気味。帰ってから何か食べるしかないな。

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ざる定食

 

編成は以前よりも大型になったが、厳戒態勢は変わらず

 夕食を終えるとホールへ。ホールは相変わらずの厳戒態勢。入場時にもソーシャルディスタンスを守ってチケットは自ら千切って箱へ。手はアルコール消毒をしてから入場、プログラムも手渡ししないし、トイレ前にはソーシャルディスタンスを守っての行列のマークがあり、喫茶スペースは完全封鎖。場内は「大声でのおしゃべりはおやめください」の放送が常に流れているという厳戒態勢である。

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入場は厳戒態勢なので時間がかかる

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封鎖された喫茶室

 ステージは以前よりはやや奏者を接近させた配置にしているが、まだ1プルトに楽譜台を2つずつ置いている状態。どうにか10編成を配置したようだが、予定していた「仏陀」の演奏は無理とのことでプログラムは変更になっている。

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10編成をステージ上に配置

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楽譜台は1プルトに2台

 観客も閑散配置。1700席のホールに700人ほどしか入れていないという。ここまでしてこれで感染が起こるようなら、もう感染を防ぎながら社会生活をすることは物理的に不可能だろう。私も消毒薬のスプレーと滅菌用ウェットティッシュを持参して自衛しているが、実際にどこまで有効なのかは分からない。

 

関西フィル第312回定期演奏会

指揮:藤岡 幸夫(関西フィル首席指揮者)
ヴァイオリン:岩谷 祐之(関西フィル・コンサートマスター)

チャイコフスキー:弦楽セレナーデ ハ長調 作品48
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47

 一曲目はコロナ以降とみに演奏機会が増大している「オー人事」ことチャイコの弦楽セレナーデである。最初はどうも関西フィル弦楽陣らしくないやや硬めの音色に聞こえたが、尻上がりに調子が良くなってきたようだ。デュメイに鍛えられて以降進境著しい弦楽陣が、段々と持ち味のネットリとした艶のある音色を出して来た。閑散配置のせいでアンサンブルは通常よりも困難になっているのは演奏の端々に覗われたが(序盤やや硬質な音色に感じられたのも、微妙なアンサンブルの乱れのせいかもしれない)、その点での決定的な破綻はなかった。また藤岡もいつにも増して見やすい指揮を意識していたように思われる。結果としては非常にまとまりのある美しい演奏になっていた。

 さて関西フィルファンにはお馴染みの岩谷をソリストとして迎えてのシベリウス。前回は演奏会では2管編成に弦は6編成というかなり変則的な構成だったせいで、弦と管のバランスが微妙だったが、今回はその点ではオケの方はバランスが取れるようになった。ところでこの曲はとかくソロがか細くなってオケに埋もれてしまいがちになる危険がある曲だが、岩谷の演奏はなかなかに力強くオケに埋もれるということはなかった(通常よりも若干小さめの10編成も功を奏しているか)。ただプレトークで藤岡は岩谷の演奏を「悪魔的」と評したのだが(以前に木嶋真優の時もそう評したことがある。藤岡が好きな言い回しなのか?)、その割には意外に大人しい演奏だったようにも感じられた。技術的安定感でしっかりと押していったという印象。歌いはするものの意外と遊びは少ない。むしろバックのオケの方が途中でかなり荒れ狂う場面があった。藤岡の指揮がいささか暴走気味だったかも。

 やや地味目の印象のコンサートであるが、しっとりカッチリとまとめた演奏は関西フィルらしいか。何となく指揮者の藤岡の感情が行間から滲み出てくるようなところもあったが、この異常事態にはやはりいろいろと感じるところはあるだろう。

 

 コンサートを終えると深夜の阪神高速を突っ走って帰宅。さすがに仕事終了後に大阪までの往復はキツい(幸いにして公演中にうつらうつらすることはなかったが)。こういう時には気合いを入れるために水木の兄貴の「熱風伝説」を。「マシンは僕だ~」(これだけで何の主題歌か分かる人は私と同年代のオタク)と絶叫しながら帰宅の途についたのである。