徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

リニューアルなった京都市美術館(京セラ美術館)を見学してから駅前ホテルで宿泊

京都の美術館へ

 久しぶりの美術館の見学を終えると比叡山から山道を下って京都へ。この後は京セラ美術館こと改装なった京都市美術館を訪問するつもり。コロナ対策で入館が予約制になっているので3時からの予約を入れているが、現地には予定より1時間早く到着してしまう。実は途中で比叡山中にあるラジウム温泉に立ち寄るつもりだったのだが、彦根まで往復したせいで十分な時間がなくなった上に、いざ現地にさしかかると多くの車が前に止まっていて、これは内部は密を避けられないと判断したためにパスした次第。おかげで途中の予定が飛んでしまったのである。

 また困ったのは車を停める場所。今回の遠征では事前にAkippaで各地の駐車場を確保しておいたのだが、この周辺にはまともな駐車場がなかったのでここだけは確保できなかった次第。この辺りは時間貸しの駐車場は各地にあるのだが、とにかく問題は異常な価格。30分で300円以上なんてのがザラで、しかも土日は恐怖の上限なし。少し停めただけで英世が一個大隊で飛んでいき、下手したら一葉や諭吉出撃の可能性さえというボッタクリの極致である。それだけの戦力の手持ちを有していない私は、あちこちをウロウロと探しまくり、ようやく美術館からやや離れた場所に1日上限1000円の駐車場を見つけてそこに車を置く。

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雨の京都市美術館

 しかしこの頃から雨が激しくなり始める。困ったのは3時まで時間をつぶす術が皆無であること。この辺りは喫茶店などがないし(ロームシアターにスタバはあるが、私はスタバで飲みたいものがない)、入るべき場所もない。

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雨の平安神宮

 

雨の中で時間つぶしをしてから京都市美術館へ

 ウロウロしていたら向かいの京都市勧業会館みやこめっせが目に入ったので、何かやっていないかと入館してみることにする。広大な建物は閑散として人気がないが、案内を見るとどうやら地下で入場無料の「幻想絵画展」なるものをやっているようなので覗いてみることにする。

 行ってみると要は「天野喜孝展」であった。それも販売がメインの展示会と言ったところ。大体50万円~と言った価格の作品が並んでおり、中には売約済みのものもあれば、リアルタイムで商談中の作品も。こういうところに来ると大抵は販売員が纏わり付いて鬱陶しいものだが(私も若い頃はよく版画売りに付きまとわれた)、私はいかにも「こういう絵には全く興味のない冷やかしです」という態度を示していたので販売員が寄ってこなくて助かった。連中から見ると、年配=この手の作品には興味なし、汚い身なり=とても50万円以上の金を出せるわけもないと言うわけで瞬時に冷やかしであると判断できたのだろう。実際に私は冷やかしだったし、互いに無駄な時間を費やさずに済んでまさにWin-Winというやつである(笑)。実は私が外出時に盛装しないのは、そのまま山城とかに行ってしまうというだけでなく、こういう理由もあったりする。そもそも服装が問題になるような高級店には入らないし、店員が来た時も「いやー、お金全くないんで」と逃げられるので。さらには「何か適当なものがないですかね」と聞いた時も、私の予算相応のものを紹介してくれる(笑)。だから基本私のドレスコードは新今宮基準である。私の考え方は、私が私自身であるということが最大のステータスであり、服装や車やカードなんていうものにはステータスは求めていない。まあ、だからこそ壮絶に女性にもてないのも当然だが。

 しかし本当のところの私は、もろにFF世代であり(ファミコン時代)、天野喜孝がキャラデに参加していた「機甲創世記モスピーダ」を名作として推薦している人間であり、天野喜孝には実は興味津々なのである(笑)。もっとも50万円なんて到底出せないのはその通りである。2千円ぐらいのポスターでもあれば買って帰ったろうが。まあとりあえずの適当な時間つぶしにはなったのである。

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リニューアルされた館内には地下から入館

 まだ時間は若干早めだったが、京都市美術館に向かったら既に入館が始まっていた。そこでスマホの予約票を見せて入館。館内で特別展×2と所蔵品展のチケットを購入する。窓口で「どの展覧会のチケットを購入されますか?」と聞かれて「全部」と答えたら「えっ!?」というような反応を示されたのだが、こういう奴は珍しいのかな?

 リニューアルされた館内は地下から入館してかつての1階ホールに上がる形になっている。ここから左手の会場で開館記念展、右手の会場で収蔵品展、奥の東山キューブで杉本博司展が開催されている。リニューアル前の京都市美術館は建物内の閉塞感が強く、実際に大混雑の展覧会に出かけると換気の悪さから気分が悪くなることも少なくなかったのだが、リニューアルによってかなり広々とした印象になってかつての圧迫感はなくなった。とりあえず開館記念展から見学することにする。

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広々としたホール

 

「京都の美術250年の夢 最初の一歩:コレクションの原点」京都市美術館で9/6まで

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 京都市美術館が開館されて3年目の1935年の所蔵品展に展示された所蔵作47点を一挙展示して、京都市美術館の原点に迫るという展覧会。展示作は帝展入展作品とか院展出品作品とかが中心で、そこに作家自身から寄贈された作品なども加えて、かなり「手堅い」作品で形成されていたことが分かる。

 一番私の印象に残ったのは中村大三郎の「ピアノ」。着物でピアノを弾く女性の姿を屏風に描いた作品であるが、「ピアノの絵を屏風に?」と疑問を持ったのであるが、実際に展示されている絵画を見れば、見事なほどにピアノが立体に見えるのである。屏風の妙味はその奥行きを活かして風景などを立体的に見せるテクニックなのであるが、その立体感を実に計算して絵画を作成してある。二次元では実現できない真に迫る立体感というのを表現できている。「上手い使い方だな」とつくづく感心した次第。

 これ以外には菊池契月の「散策」なども展示されていた。洋犬を連れて颯爽と散歩する女性の姿を描いた作品であるが、何とも言えない清澄さと爽やかさがある。昭和初期のまだ大正の自由の気風がいくらか残っている時代の空気を感じさせる。この後間もなく日本は戦時に突入し、女性はもんぺを強要される時代になることを考えると、最後のよい時代だったのかもなんてことが頭をよぎる。


 特別展の見学を終えると美術館の奥へ。美術館の奥には庭園に面してガラス張りの明るい開放感のある空間が存在する。この奥が東山キューブになるらしい。今回のリニューアルのキーワードはやはり「開放感」だろう。かなり美術館全体の印象が変わったように思われる。

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美術館奥は開放感のある空間

 

「杉本博司 瑠璃の浄土」京都市美術館で10/4まで

 古美術と現代アートを融合させた独特の空間を構成している。キーワードは「京都」「浄土」「瑠璃-ガラス」とのことだが、確かにガラス(と言うよりも正確にはアクリルだが)を使用した作品とか、さらには古美術や仏像を融合させた妙な印象の作品が多々。圧倒されたのは三十三間堂の写真パネルを並べた空間だが、ただこれは彼の芸術に圧倒されたと言うよりも三十三間堂の空間に圧倒させたというのが正解。

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アクリルを使用した作品

 またプリズムによって分離した光を使った作品などもあり、まあ面白くはあるが、だから何なの?という感覚はないでもない。現代アート特有の「思いついた者勝ち」という点はハッキリしているが。

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プリズムを使用した作品

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このプリズムを使用したらしい

 直島にあったお堂の模型なんかもあり、まあ彼の作品が光というものに執着したものであるということは理解できた。

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直島のお堂の模型

 まあ現代アート系の展覧会なのでこんなものだろう。私の評価しては「まあそれなりに面白かった」というところ。

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庭園内のこのガラスの茶室も作品らしい

 杉本展の次はまたホールに戻ってくると、今度は右側の所蔵品展に入場することにする。

 

「コレクションルーム 夏期」京都市美術館で9/22まで

 先ほどの47作品から始まって、その後に着々と点数を増やしてきた当館の所蔵品から夏の季節を現す作品を選りすぐって一挙展示。日本画から洋画、さらには彫刻に工芸品など時代も様々な名品が揃っている。

 いきなり竹内栖鳳の熊の絵が出迎えてくれるが、さすがに「獣の栖鳳」らしく独特の生命感を感じる作品である。

 その後は夏の風景を描いた作品が続くが、これらは照りつけながらも爽やかのある夏の日差しをいかにして表現するかという辺りが見所。

 さらには上村松園の作品のコーナーもある。彼女の美人画はその清澄さが魅力。さらに伊藤小坡の作品もあったのはうれしいところ。

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上村松園の作品

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この清澄さはさすが

 その後は時代が下ってくると共に洋画なども登場する。さらに時代が下ると最後はシュルレアリスム的な作品にまで到達するが、それと共にどうでも良くなってくるのは相変わらずと言ったところ。

 久しぶりに京都市美術館の名品を堪能と言うところか。ただ正直なところここまで来るとかなり疲労が溜まってきて、作品に対する集中力も大分欠けてきている。そろそろ限界のようだ。

 

京都駅前の「高級」ホテルで一泊する

 美術館を一回りしたがかなり疲れた。結局のところこの周辺をウロウロしただけで1万3千歩以上を歩いている。ダメージは下半身のだるさに表れているが、ずっと重めのリュックを背負っていたせいで肩の痛みも半端ない。喫茶室で一休みすることも考えたが、満席で順番待ちの模様なので諦めることとした。雨も強くなってきているしホテルに急ぐことにする。

 宿泊ホテルはホテルエルシェント京都。当初は新幹線で訪問するつもりだったことから確保した駅前の高級(あくまで私基準)ホテル。貯まっていたじゃらんポイントを使用したので宿泊料はなし。というわけでGoTo適用外である。

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私が泊まった「高級」ホテル

 ホテルの駐車場があるのだが、満車表示が出ているので焦る。しかしちょうど出ていく車があったようですぐに空きが出たので無事に車を止めることができる。

 フロントから広々としておりこの辺りは高級ホテルか。部屋はまあ普通のシングルルームだが、ユニットバスがやや広め。なお私はすぐに大浴場に入浴へ。浴場の入場制限について一切言われなかったので大丈夫なのかなと思っていたが、風呂に行ったらその理由はすぐに分かった。風呂はカランが10以上あるかなり広いもので、ちょっとした温泉旅館レベル。ルートインやスーパーホテルのような4人程度が限界の中浴場とはレベルが違う。この辺りが「高級」ホテルか。

 

夕食は京都駅で

 汗を流してしばらくくつろいだところで夕食のために外出することにする。もう体がクタクタでなるべく歩きたくない状況だったので、京都駅南側のレストラン街で探すことにする。

 入店したのは「京ダイニング八条」ビフカツの定食を注文する。最近流行のレアカツというやつである。赤身で固い上に味が薄いオージーを美味しくいただくための工夫。わさびをつけて醤油でサッパリ頂くも良し、ソースでこってり目でいただくも良しである。ただ私としては、ビフカツはデミグラスというイメージが強いんだが。

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京都駅八条口の「京ダイニング八条」

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レアカツの定食

 夕食を終えるとホテルに戻る。部屋に入るとしばし原稿執筆。しかし疲労がかなり溜まっていて考えがまとまらない。よくよく考えると今朝は完全に寝不足の上に彦根まで無駄に往復した上に比叡山の山道走行でかなり疲労している。そしてそもそも昨日の関ヶ原ウォークでも1万3千歩だったのが、実は今日の美術館ウォークで1万4千歩もいっている。疲れが限界に来ているようだ。どうにもならないのでちょっと横になろうとベッドの上に横たわったのだが、直ちにそのまま意識を失ってしまう。