徒然草枕

クラシックのコンサートや展覧会の感想など、さらには山城から鉄道など脈絡のない趣味の網羅

カーテンコールでの山響のライブ配信で藤岡のシベリウスを堪能

 山響はコロナ以降積極的にライブ配信に取り組んでいるが、今回も特別企画としてライブ配信がカーテンコールで行われたので、それを視聴した。今回は一部の定期客を招待客として入れての演奏らしい。私の方は晩飯の寿司を食いながらの鑑賞(笑)。

山形交響楽団ライブ配信

[指揮]藤岡 幸夫
[ピアノ]田部 京子

・シベリウス/組曲「クリスティアン2世」作品27より"夜想曲"
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 作品37
・シベリウス/交響曲 第3番 ハ長調 作品52

 一曲目は初めて聞く曲であるが、とにかく美しい曲。その上にシベリウスにしては非常に素直な曲(笑)。それでいて随所にシベリウス節が登場しており、彼の曲だと言うことが一発で分かるという代物である。山響のアンサンブルが冴えるし、ここの持ち味でもある管楽器の美しさが引き立つ。非常に爽やかな開始である。

 ベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番は、古典的スタイルの中にロマンティックさが垣間見える作品。藤岡の指揮は冒頭から若干速めのテンポで軽快に始まる。無用に壮大なメロドラマにはしてしまわない適度なバランス。田部のピアノはいきなりかなり力強い。そして極めて軽快な演奏。清澄な音色で明快な印象のピアノである。もっとも下品な私の耳には、もう少し謳ってもいい気もする。やや一本調子なようにも聞こえる。ようやく謳いだしたのはカデンツァ以降。

 第二楽章はゆったりと美しいラルゴ。美しく鳴らしてくれるが、やや音色が硬質なのが気になるところではあったりする。そして軽やかなフィナーレ。こういうような曲調が一番しっくりくるようである。演奏の方も段々と調子が上がってきた様子で曲を閉める。総じて品のある演奏なのであるが、下品な私にはいささか食い足りない感もなきにしもあらずであった。

 ラストのシベリウスの3番は、いきなり冒頭から躍動感に満ち満ちており、山響の溌剌とした演奏に藤岡の指揮も熱を帯びている。そして美しくもやや混沌とした第二楽章へ。そして混沌は第三楽章でさらに極まって幽玄たる世界へ。そしてこの混沌の中から突然に浮かび上がるメロディは藤岡の解説によると亡き娘に捧げる賛美歌らしい。この辺りは意外にあっさりした処理をしている。シベリウスは藤岡も得意としている作曲家の一人だけになかなかの演奏。山響の演奏もなかなかにまとまりが良く、良い演奏を聴いたというところであった。